孤島しかない世界。飛行機ひとつで兄を探す『ABOVE』開発中。コクピットではなく見下ろし視点でフライトを描く

 

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第543回目は『ABOVE』を紹介する。

本作は飛行機が題材ながら、コクピット視点ではなく見下ろし型視点で展開されるという、異色のフライトアドベンチャーゲームだ。舞台となるのは、大洪水によって陸地の大半が海の底へと沈んだ世界。人々は果てしなく続く海の上で、残された島々にすがりつくように生きていた。主人公Maryは、そんな島のひとつに築かれた、保守的なコミュニティの中で暮らす若き女性。海で行方不明となった兄弟Elmを探すため、掟を破って複葉機で未知の世界へと飛び出した。主人公の要の移動手段となる複葉機は、アクロバティックな飛行から空中戦闘までこなすオールマイティな乗り物だ。探索中に入手/クラフトしたパーツと交換することで、機体の性能を向上させることもできる。海上に点在する島々を訪れ、そこに住む人々から情報を得ながら兄弟の行方を探っていこう。

世界は脅威に満ちている。海には巨大な怪物が潜み、空には空賊が待ち構える。また、島に住む人々も全員が友好的とは限らない。旅の相棒である複葉機の助けがなければ、冒険の完遂は非常に困難なものとなるだろう。複葉機はただ飛ぶだけではなく、高度を変えて自在に空を舞うことができる。橋の下をくぐったり、狭い崖の間をすり抜けたり、宙返りのようなアクロバット飛行さえも可能だ。くわえて銃を取り付ければ、脅威に立ち向かう力を得ることもできる。ただし当然ながら、飛行には燃料を消費する。そして、時にはエンジンなどのパーツが破損することもある。そんな時は最寄りの島へと駆けこもう。島の工場で燃料補給を受けたり、パーツの交換を行うことができる。

複葉機を島へと着陸させれば、徒歩での移動へと切り替わる。ちなみに当初は陸上用のランディングギアしか所持していないため、着陸可能なスペースがある島にしか降りることが出来ない。旅を進めて、海上停泊用のフロートを入手できれば探索の幅は更に広がるはずだ。

さて、世界には沢山の島がある。工場や灯台などの施設があり、人々が小さな集落を作って暮らしていたり、謎に満ちた遺跡や、自然に満ちた無人島などさまざまだ。新たな人々との出会いを、あるいは島に隠された秘密を求めて探索していこう。しかし、特に利用する機会が多いのは工場のある島だろう。工場では燃料補給の他、より高性能なパーツへの交換や、資源を消費してのクラフトを行うことができる。木材を初めとするクラフト用の資源は、複葉機にフックを取り付けて海上に浮かぶ木箱を回収するなどにより入手が可能なようだ。さまざまなパーツを手に入れて複葉機を強化し、時に新しい機体へと乗り換えながら、冒険の旅は続く。兄弟を探すうちに、Maryはやがて人類全体に関わる壮大な陰謀へと巻き込まれていく。殺人をもいとわないカルティストたちを追い、その背後に隠された謎を解き明かそう。

本作の開発を手がけるのは、デンマークのインディースタジオMighty Moth Games。10年以上にわたりゲーム開発に携わってきたベテランたちによって2017年に設立された。『ABOVE』が同スタジオの処女作だが、GDCを初めとする複数のイベントでの受賞歴があり、海外での注目度も高い。ゲームデザインに違いはあるものの、川を下っていくアドベンチャー『The Flame in the Flood』を彷彿とさせる意欲作だ。

『ABOVE』の対象プラットフォームはPC(Steam)/Mac/Linux/PlayStation 4/Xbox One/Nintendo Switchで、リリース時期は2019年Q1を予定している。