第二次世界大戦を題材としたフライトシミュレーター『303 Squadron: Battle of Britain』5月25日発売。空だけでなく陸のドラマも描く

今回のIndie Pickで紹介する『303 Squadron: Battle of Britain』は、第二次世界大戦を題材としたフライトシミュレーターゲームだ。『303 Squadron: Battle of Britain』では、空での白熱のドラマだけでなく、陸での人間ドラマも楽しめるという。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第542回目は『303 Squadron: Battle of Britain』を紹介する。

本作は第二次世界大戦を題材にした、コンバットフライトシミュレーターだ。プレイヤーはポーランド人航空兵から編成されたイギリス空軍の第303戦闘機中隊の一員として、史実に基づいた戦いへと加わることになる。空中戦をシミュレートするだけでなく、パイロットの地上での生活までも描いているのが特徴だ。

プレイヤーが搭乗することになるのはホーカーハリケーン。スピットファイアの競争作として知られ、バトル・オブ・ブリテンなどで広く活躍したレシプロ単発・単座の戦闘機だ。このホーカーハリケーンをエンジンにいたるまで分解し、修理やカスタマイズをすることができる。また、拠点となるRAF(イギリス空軍)ノースホルト基地内は小規模なオープンワールドとなっており、自由に歩き回って隠された追加のサイドミッションを探すことも可能なようだ。

1940年8月。ポーランド亡命政府とイギリス政府の協定により、第303戦闘機中隊が編成された。その一員として、プレイヤーであるパイロットがノースホルト基地に到着したところから物語は始まる。基地内で指定された人物たちと会話し、飛行機を整備してミッションへと向かうのが本作の基本的な流れとなる。

ミニマップ内にマーカーが表示されるとはいえ、基地の敷地は広大で、徒歩だけでの移動は困難を極めるかもしれない。そんな時は、パイロットに貸与された自転車でマップを駆け回るのだ。また、基地内にはアンロック可能な追加のサイドミッションや、その他多くのインタラクティブな要素が隠されているようだ。それらを探して回るのも楽しみのひとつだろう。もちろん同僚のパイロットたちと会話を楽しむことも可能だ。仲間を失ったあとの悲しみと、勝利の栄光。怒りや、献身と犠牲。そしてユーモアを交えて語られる彼らの人生の一端に触れよう。

ミッションを受けたなら、そのまま戦闘機へと飛び乗って空中戦に赴くのも良いが、あるいは愛機を自分好みにカスタマイズすることで生還率を上げることが出来るかもしれない。愛機は自動車整備シム『Car Mechanic Simulator』を彷彿とさせるほど細かくカスタムすることができ、各部のパーツを分解・交換・修理することが可能だ。エンジンひとつ取っても、カバーを外してダイナモやスーパーチャージャー、燃料フィルターといったレベルまで分解することができる。パーツの交換も可能で、例えば機銃ならば、射程距離は長いが弾速が遅いものから、その真逆の性能を持つものまでさまざまなタイプが用意されているようだ。自分のプレイスタイルに合わせて各部のパーツを交換していこう。

愛機の整備が終わったなら、いよいよミッションへと挑むことになる。史実に基づいたさまざまな戦いで、自らの腕を証明しよう。戦闘機搭乗時の視点はコックピット視点と三人称視点の二つが用意されており、ミッション開始時にどちらかを選択することになる。広く視界を確保して戦況を把握するならば三人称視点が便利だが、リアルさを重視して、あえてコックピット視点でプレイするのも良いだろう。

ミッションを開始したなら、仲間のパイロットと共に戦闘機を駆り、敵機を撃墜しながら作戦目標を遂行していこう。戦闘周りのシステムは他のコンバットフライトシミュレーターと類似しているが、敵パイロットに機銃を命中させるとキルカメラ演出が表示されるといった要素もある。一発の弾丸がコックピットごとパイロットを貫き、戦闘機が黒煙をあげて墜落していく様子が映されるなど、凝った演出は激しい戦闘を盛り上げてくれることだろう。空中戦だけでなく、さまざまな側面からパイロットたちの活躍を描いた本作で、激動の時代を生きた英雄たちの物語を体験してみてはいかがだろうか。

本作の開発を手がけるのは、ポーランドのポズナンに拠点を置くインディースタジオAtomic Jelly。インディーゲームの開発のみならず、商業的または芸術的なプロジェクトをトリプルAタイトルへと仕上げるなど、幅広い経験を持つ才能ある開発者で構成されている。過去にはSteamにて人間の体内を舞台にしたFPS『Project Remedium』をリリースするなど、クールでクレイジーなアイディアに基づく興味深いゲームをリリースするという目標を着実に実行しているようだ。本作もまた第二次世界大戦を題材としたありふれたコンバットフライトシミュレーターでありながら、機体カスタマイズや地上でのパイロットの生活も描くなど他とは違う味付けが施してあり、うまく差別化できている印象だ。

『303 Squadron: Battle of Britain』の対象プラットフォームはPC(Steam)で、2018年5月25日に早期アクセスでの販売開始を予定している。のちには、PlayStation 4/Xbox One/Nintendo Switch向けにも発売する予定があるようだ。

Kouzou Suzuki
Kouzou Suzuki

子供の頃からアイディア勝負の変わったゲームを好む。気が付くとインディーゲームの魅力に取り憑かれており、人々を同じ沼へと引きずり込むべく記事の執筆を開始。

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