凍てついた惑星にて、血肉に飢えたサンタから逃走するレトロホラー『Planet of Bloodthirsty Santa』開発中

まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第496回目は『Planet of Bloodthirsty Santa』を紹介する。本作は荒いポリゴン・テキスチャ、ひずんだ音声・サウンドエフェクトによりレトロな雰囲気をつくりあげたUnity製のサバイバルホラーゲームである。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第496回目は『Planet of Bloodthirsty Santa』を紹介する。

本作は初代PlayStation時代を彷彿とさせる荒いポリゴン・テキスチャ、ひずんだ音声・サウンドエフェクトによりレトロな雰囲気をつくりあげたUnity製のサバイバルホラーゲームである。主人公は凍てついた惑星に降り立った探検隊員として、血肉に飢えたサンタの魔の手から逃れつつ、資源探査を進める。カメラ視点は一人称・三人称の両方に対応。グラフィック設定により「VHS風」「レーザーディスク風」「16mm風」といったポストエフェクトをかけられるという、懐かしさあふれる作品だ。

主人公Bethが所属する宇宙探検隊は、希少な鉱物が眠っているという情報をもとに未知の惑星へと着陸する。当初は無人かと思われていたが、廃墟となった村落や巨大な雪だるま、クリスマスツリーなどが散見されることから、かつては誰かが住まわっていたと見て間違いなさそうだ。街灯サイズのキャンディーケイン(赤白のステッキ状のお菓子)を目印代わりに探索を続けるBeth。道中には大きなおもちゃの工場が建っており、また山頂にはサンタの城がそびえ立っている。組織立った製造業が営まれていたのだろう。だが家屋に残されたノートに目を通したところ、どうやら途中からサンタという人物の様子がおかしくなったようだ。誰よりもやさしかったサンタが夜中に村内を徘徊。エルフを尾行したり、窓から家の中を覗いたりといった怪しい行動が目立つようになったという。たしかに、深雪に残された血しぶきからは事件の香りがする。

ゲームプレイとしては、低重力を生かした跳躍で崖から崖へと飛び移りながら銀世界を探索。建物を見つけては先住者が残していったノートや鉱物を収集していく。突如として現れる赤い服の大男に遭遇したら全速力で逃げよう。とても正気とは思えない形相ゆえ、助けに来てくれたわけではなさそうだ。もしや、彼こそがサンタクロースなのだろうか……

『Planet of Bloodthirsty Santa』の対象プラットフォームはWindows/Mac。最初のステージをプレイできる無料デモ版はitch.ioにて配信中だ。完成版はクラウドファンディングプラットフォームのPatreonにて、開発者であるPuppet Comboに5ドル以上寄付したユーザ向けにダウンロード可能となる(2017年12月配信予定)。Puppet Comboは80年代〜90年代スラッシャー映画風のサバイバルホラーゲームを愛するインディースタジオ。これまでにも『Nightripper』『Babysitter Bloodbath』『Power Drill Massacre』といったスラッシャー系のレトロなホラーゲームを配信している。気になった方はPatreonページから作品リストを確認してみよう。

なおサンタクロースが邪悪な存在として描かれる作品としては、フィンランド産の映画「レア・エクスポーツ」やブラックコメディ「サタンクロース」が、サンタクロースの格好をした殺人鬼モノとしては「悪魔のサンタクロース/惨殺の斧」(2012年にはリメイク版も公開されている)などが存在する。今年はそうしたクリスマス映画を鑑賞しつつ、本作のデモ版で身を震わせてみてはいかがだろうか。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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