兵站線の構築から軍需物資の確保まで。WWIIシューターとミリタリーストラテジーを組み合わせた50対50 のFPS『Hell Let Loose』開発中

まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第482回目は『Hell Let Loose』を紹介する。本作は第二次世界大戦をベースにした、リアル志向の1人称視点ミリタリーシューターである。プレイヤーは6人小隊の一員として、50対50の大規模戦に参加する。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第482回目は『Hell Let Loose』を紹介する。

本作は第二次世界大戦をベースにした、リアル志向の1人称視点ミリタリーシューターである。プレイヤーは6人小隊の一員として、50対50の大規模戦に参加する。重々しい戦車が戦場を制圧するなか、兵站線を構築して前線に物資を送り込んだり、どこに人員を割くのか管理したりといった、ストラテジー要素が絡んでくるのが特徴。戦争の歯車として、激しい交戦のなかに身を挺する兵士たち。彼らが生み出す、計画された混沌を再現しようと挑戦しているのが『Hell Let Loose』である。歩兵戦だけでなく、戦車による砲撃、迫撃砲の呼び出し、駐屯地の建設、軍用車両による人員・物資の移動などにより、戦況がダイナミックに発展し続ける。

森林地帯から市街地までを含んだ4平方キロメートルのマップは、いくつかの戦闘区域に分割されている。ひとつの区域を占領すると、兵力、軍需物資、燃料という3種類のリソースのうち1つが生産されるようになる。どのリソースも1000からスタートし、兵力はプレイヤーのリスポーン、軍需物資は砲撃・機銃掃射・爆撃の使用、燃料は各種車両の呼び出しにより消費されていく。敵の燃料庫を攻めて戦車の増援を止めるのか、爆撃を続けるために軍需物資を蓄えた後方区域の守りを固めるのか。立地的な有利・不利だけでなく、リソースの確保も考慮した上で、どの区域に進軍するのかを考える必要がある。覚えるのは簡単でも、マスターするのは難しい。個人スキルだけでなくチームワークががないと勝利には結びつかない。

開発中のサン・マリー・デュモンマップ

戦闘マップは衛星画像および当時の航空写真をもとに1:1スケールで再現されており、上のサン・マリー・デュモン以外にも、スターリングラード攻防戦、ガダルカナル島の戦いなどをテーマにしたマップが予定されている。操作ファクションには英国軍、ドイツ国防軍、ソビエト連邦軍、さらには大日本帝国軍も。マップだけでなく武器の挙動もリアル志向。クロスヘアはなく、銃のジャミングやバレルのオーバーヒートにも悩まされる。プレイヤーが操作する13種類のクラスの装備、弾薬数、役割も史実に基づいた内容になっているという。クラスにはライフル兵、機関銃兵、衛生兵、工兵、支援兵、偵察兵、狙撃兵などがあり、それぞれの役割に沿って行動する。なお経験値をためて武器やパークをアンロックするような、「個」に意識を向かせる要素があると、開発陣が思い描くようなチームベースのゲームはつくれないということで、個人戦績の優先を促すインセンティブやプログレッション・システムは排除。あくまでもチームワークとコミュニケーションを重視し、全体を見渡す指揮官のもとで連携して戦う。

銃撃戦が基本ではありながらも、貢献の仕方は無数。支援部隊として兵站線を構築し、駐屯地やスポーン地点を設置することや、工兵として地雷・有刺鉄線を仕掛けチョークポイントをつくることも重要な役割だ。土嚢を積んで機関銃用の陣地を設けたり、監視所を建てて後部の守りを固めたりと、シューターとストラテジーにくわえてビルディング要素も関わってくる。また戦況を左右する車両の種類も豊富。中型トラックのオペル・ブリッツ、重戦車のティーガーII、中戦車のシャーマン・ファイアフライやパンター、装輪装甲車Sd Kfz 234、ついでに戦車搭載型のロケット砲カリオペまで、全20種類以上が用意される。

『Hell Let Loose』を開発するのは、20人規模のインディースタジオBlack Matter。オーストラリアを拠点としつつ、世界各国のメンバーが集っている。Unreal Engine 4を使用しており、対象プラットフォームはPC。販売価格29.95ドルにてSteamでの早期アクセス販売を予定している。現在開発はアルファ段階にあり、Kickstarterキャンペーンのクラウドファンディングでは初期目標13万6000オーストラリアドルのところ、2週間を残して3900人以上の支援者より22万4000オーストラリアドル(約1970万円相当)の資金調達に成功している。

クリア済みのストレッチゴールとしては、ノルマンディー上陸作戦のユタ・ビーチ、ヒュルトゲンの森、ベルギー・フォア村マップの追加や、迫撃砲、火炎放射器、機動火砲、軽戦車の追加が決まっている。なお、ストレッチゴールのほとんどは達成しなくても実装されるものだが、目標額をクリアしたことで、通常よりも早くプレイヤーに届けることが可能になるという。早期アクセス版の配信時期は2018年Q2の予定である。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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