宇宙ステーション経営SLG『Astrobase Command』開発中、不安定な密閉空間であなたは住人の「人間心理」を管理する
発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第424回目は『Astrobase Command』を紹介する。
『Astrobase Command』は宇宙ステーション経営シミュレーションゲームだ。舞台となるのは1970年代の宇宙。プレイヤーは宇宙ステーションを作り出し、そこに人を住まわせて管理する。宇宙ステーションといえば聞こえはいいものの、完全な密閉空間であり、体力的にも精神的にも不安定になりやすい。特に不安定になるのは、人間関係だ。反社会的な集団を形成するか、知能が高い頭脳集団を生み出すか、すべてはプレイヤーの“管理”にかかっている。
宇宙ステーションに住むキャラクターはそれぞれ心を持っており、常に何かについて考えている。プレイヤーはそうした性格を“変える”ことはできない。プレイヤーができるのは、性格が合わなさそうな人々を引き合わせなかったり、相性がよさそうな人々を同じチームにいれたりするといった「編成」だけだ。人間関係の発展は、種を残すことにもつながっていく。長く宇宙ステーションを経営していきたいなら、できるだけ多くの人々を幸せにする環境を作る必要があるだろう。
性格には正しいというものはなく、それぞれのキャラクターが心に強さと弱さを持っている。そうした強さを引き出すか、もしくは弱さを露呈させてしまうかは編成次第。仕事の要領はよくないが、昇進させ責任感を持たせることで能力を発揮する者、有能であるがプレッシャーにひたすら弱い者などそれぞれに特性があるので、人事についてもプレイヤーのセンスが問われるだろう。また住人は「記憶」を持っており、過去におこったことを覚えている。よい思い出も悪い思い出も記憶という器に注がれていくので、時にそういったしがらみに苦しめられることもあるだろう。イベントによっては記憶を喪失させるものもあるという。
職業や役職は、作成した宇宙ステーションの特性に基づいて割り振られるというのも興味深い。電気の使用が多ければエンジニアが多くなり、食料の消費が激しくなれば食料に関係したスタッフも多くなる。そうした職業のバランスをいじることで意図的に科学寄りにすることも原始的にすることも可能だ。人間関係から生活基盤の構築まで、すべてはプレイヤーが間接的に管理することで大きく変化していくのだ。
開発を手がけているのはカナダのモントリオールに拠点を置くJellyfish Games。スタッフはどのメンバーもAAAスタジオに在籍した経歴を持つ。システム主導のゲームを開発することを哲学としており、本作の開発にもそうしたこだわりが込められているだろう。すでに本作の開発には4年以上の年月がかけられているとのこと。
『Astrobase Command』は、今年の8月から早期アクセスが始まり、2018年の11月の正式版リリース目指して制作されている。対応プラットフォームはPCとなっている。現在はKickstarterにて、4万カナダドルの獲得を目指すクラウドファンディングを実施中だ。