邪悪なモノがひそむ森で戦う『No Mercy: For Lorne Hope』が開発中。手描きグラフィックが暖かい『Castle Crashers』風の協力アクション


発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第408回目は『No Mercy: For Lorne Hope』を紹介する。

アメリカ・オハイオに拠点を置くインディースタジオMultivarious Gamesが手がける『No Mercy: For Lorne Hope』は、『Castle Crashers』のようなゲームプレイに、『風ノ旅ビト』や『Braid』のような解き明かすべき物語が用意された横スクロール・アクションゲームだ。Kickstarterで開発資金を集めることに成功し、現在開発が進められている。

本作の世界のあらゆるバランスは、聖地の守護者(Shrine Keeper)たちが保つ役目を負っている。そして彼らが護る森には邪悪なモノ(Corruption)がはびこっていたが、はるか昔に封印されており外の世界に漏れ出すことはなかった。しかしある時、一体のゴーレムがその封印を破ってしまったことにより、世界は何百年ものあいだ溜め込まれた邪悪な混沌にさらされようとしていた。

本作の主人公はElliotという少年だ。彼は邪悪なモノに襲われた親友のLorneを探していたが、その途中でゴーレムとの戦いに敗れてしまう。彼は右腕を失い、意識がもうろうとしていたところを、ある旅人に介抱される。その旅人はElliotに新たな腕を授け、森の奥深くへと姿を消していった。意識を取り戻し回復したElliotはLorneを探す旅を再開するが、彼の義手は魔法を使う能力を宿していた。助けてくれた旅人はいったい何者だったのだろうか。彼はその旅人のことも同時に探そうと森を進んでゆく。

ゲームにはElliotのほかに、Ray・Belle・Orionという3人のキャラクターが登場し、Elliotの冒険に加わることになる。彼らが戦う理由はそれぞれ異なるものの、邪悪なモノを打ち倒すという最終的な目標は同じだった。そして森を本来の姿に浄化して、世界のバランスを取り戻すのだ。

本作は、冒頭に挙げた『Castle Crashers』のような見下ろし型視点の横スクロールで展開する協力プレイゲームで、一人でプレイする場合にはCPUがほかのキャラクターを操作する。現時点では主人公のElliotと、森の妖精Rayのゲームプレイが披露されている。攻撃手段にはメインとサブがあり、Elliotはパンチとフックが付いたチェーンで戦う。パンチは文字通りシンプルな打撃攻撃だが、チェーンは振り回して周囲の敵にダメージを与えることができる。またスペシャル技として専用ボタンを押すと、チェーンが長く伸びて敵やアイテムを掴んで引き寄せることができる。掴んだ相手がゴーレムのような重い敵だと、逆にElliotが引っ張られてしまうので、使う相手やタイミングはよく見極めたい。なお本作では敵の攻撃をガードすることはできないが、ローリングのような回避技が用意されている。

一方のRayのメイン攻撃は魂のようなものを撃ち出す遠距離攻撃で、溜め撃ちすると大きな弾に変化する。サブ攻撃はElliotと同じく周囲への攻撃となるが、あまり攻撃範囲は広くない。そしてスペシャルボタンを押すと、接近した敵を吹き飛ばすことができる。こちらも溜めることができ、その場合は敵にダメージを与えたうえで大きく吹き飛ばせる。また本作にはゲージを消費する「No Mercy」技もあり、ゲージ満タン時に専用ボタンを押すとスペシャル技が特殊攻撃に変化する。Elliotの場合は、周囲に呪文のような光る文字の環が広がって範囲攻撃ができる。Rayの場合はマップ中に魂が大量に現れる。この時点では敵にダメージはないが、スペシャル技を溜めるとそれらの魂が一斉に集まってきて、解放するとこちらも強力な範囲攻撃になる。ゲージは敵を倒すと入手できるアイテムで回復可能だ。

本作は、ゲームのアクセシビリティを高める活動をおこなっているAbleGamers Charityと協力し、障害者でも楽しむことができるよう配慮して制作が進められている。主人公のElliotや、まだ詳細はわからないがOrionが、片腕を失うなどのハンディキャップを持ったキャラクターとして描かれているのも、こういった活動に敬意を表してのことだという。

『No Mercy: For Lorne Hope』はストーリーだけ聞くと重くシリアスなゲームに感じられるが、描き味を残した柔らかい手描きグラフィックや、どこか軽妙でホッとさせられるキャラクター同士の会話が、本作の暖かい雰囲気を演出している。そしてバトルシステムにも工夫が見られ、キャラクターごとの特徴を活かすよう立ち回る楽しさがある。あとはストーリー展開や敵のバリエーションなどで、奥深く歯ごたえのあるゲームプレイになるよう期待したい。本作はすでにSteam Greenlightで十分な支持を集めており、今年の夏にまずAct 1がWindows/Mac向けにリリースされ、第4四半期にAct 2、2018年3月にAct 3が配信される予定となっている。

プレイアブルキャラクターのほかにも、さまざまな個性的なキャラクターが登場する