発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第407回目は『Dandara』を紹介する。
ブラジルに拠点を置くインディースタジオLong Hat Houseが開発中の本作は、メトロイドヴァニアゲームに影響を受けた2Dアクション・アドベンチャーゲームだ。もともとはiOS/Android向けとして2015年から制作が進められていたが、のちにPC/コンソールにも対応することになり、先月にはNintendo Switch版が発表されている。
本作の舞台は、我々の常識とはいささか異なる奇妙な世界。方向性を見失った世の中では、抑圧された人々の存在が忘れ去られようとしている。主人公のDandaraは、そんな世界を作り替えてバランスをもたらすために立ち上がる。
この世界のもっとも奇妙な点であり、また本作の最大の特徴となっているのは、重力が360度すべての方向にあることだ。つまり天井であろうが壁であろうが、着地した場所には重力があり、その場に立つことができる。また、敵もマップのあらゆる面を平然と歩いている。Dandaraはグラップリングフックのような能力(本稿ではグラップリングフックと呼ぶことにする)を持っており、これでマップを縦横無尽に飛び回る。どの方向にも重力があるといっても、グラップリングフックは白い色がついた面にしか刺さらないため、彼女が立つことができるのはその部分のみということになる。なお、歩いたりジャンプしたりといった移動手段は用意されていない。
マップはダンジョンのような場所から街や建物の中までさまざまな環境があり、プレイヤーは敵を倒しながら、時にパズルを解いて出口となるポータルを目指し、部屋から部屋へと探索をおこなう。道中に登場する敵には、槍を持って突進してきたり、シューティングゲームのような弾を撃ち出すものなどがおり、プレイヤーはグラップリングフックで素早く移動して攻撃を避けつつ、手から放つショットで攻撃する。閉ざされた空間でのボス戦では、特にこのヒット&アウェイのスキルが求められるだろう。敵の中にはDandaraを目視してから攻撃態勢に入るものもおり、相手によってはステルスプレイのようにグラップリングフックを駆使した位置取りが攻略のカギとなりそうだ。なお、Dandaraのショットは溜めてから撃つことによって、より強力なワイドショットに変化する。また弾数に限りはあるが、敵に大ダメージを与えるサブウェポンも使用可能。
マップの中にはテントが設置されている部屋もあり、ここに降り立って焚き火に火をつけると進行状況がセーブされてチェックポイントとして機能する。また、テントでは敵を倒した際に得られるお金を消費してDandaraのHPの上限を引き上げたり、回復アイテムや上述したサブウェポンなどを購入することもできる。
本作はマップのあらゆる面から面へ飛び回りながら敵を攻撃するスピード感あふれるゲームプレイが魅力だが、冒頭で述べたように当初はiOS/Android向けを想定していたこともあって、その操作性はシンプルにまとめられ、またエイムにはアシストが働くなど余計なストレスがかからないよう配慮されている。もちろん、現在ではゲームパッドでのプレイにも最適化されている(Nintendo Switch版はタッチ操作とパッド操作の両方に対応)。本作は今年の夏に発売予定だ。