発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第354回目は『Highrisers』を紹介する。
『Highrisers』は2DサバイバルRPGだ。それぞれ異なったスキルを持つ4人のキャラクターを操作して、奇妙な生物が歩き回る都市から脱出することが目的である。地上はとても危険なため、プレイヤーはビルから外へ出ることはできない。したがって、ビルの屋上にあるヘリコプターを修理して移動するしか方法はないのだが、ヘリコプターは長い距離を飛ぶことができないため、ビルからビルへと飛び移りながら脱出を目指すことになる。
当然ながらビルの中にも奇妙な生物が徘徊しており、彼らは陽が暮れると地上から高層階へと登ってプレイヤーに襲いかかってくる。この状況で生き延びることは簡単ではなく、ビルの中を探索して食料や武器を手に入れる必要があるし、バリケードを作って夜明けまで耐えなければならない。
食料はビル内の植物や残り物から確保できる。武器はクラフティングすることで手に入れることができ、簡単なクラブから火炎放射器、さらには敵を迎え撃つためのタレットといった複雑なものまで作り出せる。こうして、身を守りながらビルを探索してヘリコプターを修理、隣のビルへと移ったらまたヘリコプターを修理するためにビルを探索する、というのが本作の流れだ。
ビルの中という狭い空間で戦いながら、生き残るためには単純な戦闘やクラフティングだけではなく、化学や工学といった研究も重要となる。4人のキャラクターと彼らが得意としている技術はそれぞれ異なっている。Ikeはヘリコプターの操縦経験者である軍のメカニックだ。彼の特徴はメカニック、航空学、さらに軍人としてトレーニングを受けている。本作でもっともスタンダードなキャラクターと言えるだろう。若い女性ハッカーであるJesは、ハッカーらしく電子工学を得意としている。俊敏さを生かした近代ゲリラ戦術とクラフトのための道具を集めるのも彼女の重要な特技で、サバイバルの中心となるキャラクターだ。科学者のAnnは化学と薬学が得意だ。またプロセス工学、つまり設計や制御といった工程も彼女の仕事となっており、ヘリコプター修理のための設計も彼女の担当となる。プロセス工学を磨くことで、ヘリコプターに気球をくくりつけて飛ばす、といった斬新な設計も可能になる。最後はネイティブアメリカンのMoだ。彼は高い身体能力を持っており、近接戦闘が得意だ。もちろん彼も戦闘だけではなく、バリケードを作るための建築技術や、伝統技術といった強みを持っている。伝統技術では罠を仕掛けたり、クラフトで作った道具に付加能力を加えることができるようになる。それぞれのキャラクターはスキルツリーを持っており、何を重視するかはプレイヤー次第となっている。
キャラクターが操作できるのはビル内のみでありながらも自由度の高いサバイバルが可能だ。むしろビル内という制限があるからこそ、化学から建築までさまざまな知識が組み合わさって、生存のために協力し合うというサバイバルの真髄を体験させてくれる。本作はKickstarterでの資金集めも成功し、Steam Greenlightを通過したことからも期待度の高さがうかがえる。本作はPC、Mac、Linuxで発売予定だ。