発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第348回目は『Renegade Line』を紹介する。
『Renegade Line』はドイツのインディーデベロッパーRaw Vengeance Gamesによる3人称視点のオンラインシューターだ。12月17日よりKickstarterキャンペーンが開始されたばかりである。時代設定は第二次世界大戦直後となり、今はなき『Battlefield Heroes』を彷彿とさせるカートゥーン調のビジュアルを採用している。トレイラーではうさぎ耳の被り物をつけた男性キャラクターが登場するように、ほどよく肩の力が抜けた世界観が展開されそうだ。
『Renegade Line』はクラス制のシューターとなっており、ゲーム内には4種類のクラスが用意されている。「The Spotter」は体力・移動速度ともに平均的なSMG兵であり、敵チームをスポットする偵察兵としてのタレント(本作におけるスキルの名称)と、回復・蘇生というメディック系のタレントを持ち合わせている。「The Tank」は体力値の高いタンク系クラスである。マシンガン、ショットガン、その他重火器を操ると同時に弾薬箱を持つサポート系クラスでもある。「The Thief」はステルス行動とナイフの扱いに長けており、「The Sniper」は名前通りの狙撃兵である。各クラスには7つのタレントが用意され、その組み合わせにより幅広い戦略を生み出せる。
各タレントを強化するにはタレントポイントが必要となる。タレントポイントはキャラクターレベルが上がると手に入るもので、レベル30までにはすべてのタレントをアンロックできるという(最大レベルは100)。レベル30からはランクマッチに参加できるようになる。デベロッパーの思惑としては、カジュアルな遊び方だけでなく、本格的なランク戦、クラン戦、さらには賞金つきトーナメントの開催まで漕ぎ着きたいと考えているようだ。e-Sports的なイベントが定着するかは、本作がどれだけプレイヤー人口を集められるかにかかっているだろう。
また本作のようなF2Pモデルのゲームに欠かせないのが、キャラクターカスタマイズ機能の存在だろう。まずプレイヤーはキャラクター作成時に所属ファクションを選択する。選択肢は善良な市民である「Residents」と、彼らを襲うギャング集団の「Wickeds」。アカウント毎のファクションは固定だが、キャラクタースロットは4つ用意される。各クラスごとに1体はキャラクターを作成できるということだ。有料でのスロット追加も可能である。キャラクター自体は髪型、表情、体格など細かくカスタマイズできる。作成できるのは男性キャラクターのみだが、Kickstarterキャンペーンのストレッチゴールである29万ユーロに到達すれば、女性キャラクターの選択オプションが追加される予定だ。
マイクロトランザクションとして有料購入できるのはコスメアイテムとエモートに限られる。特殊武器や車両は販売せず、Pay-to-Winにはならないという。ゲーム内の有償通貨および無償通貨で購入できるコスメアイテムにはキャラクター用、武器用、車両用のものがある。キャラクター用のコスメは細分化されており、頭部アクセ、眼鏡、タバコなど口元のアクセ、ネクタイ、シャツ、ジャケット、グローブ、ベルト、ボトムス、シューズなど種類は多岐にわたる。他のプレイヤーとコスメアイテムをトレードできる闇市場の実装も予定されている。
ゲームモードとしては、リリース時に8v8のチームデスマッチ、ドミネーション、サーチ&デストロイという3つのオーソドックスなルールが用意される。リリース後にもプレイヤーが飽きないようにゲームモードの追加を予定している。検討中のアイデアとしては、かくれんぼ系(Hide and Seek)、カーレース、プラットフォームチャレンジといった銃撃戦以外のモードが含まれている。
マップ数についてはリリース時には2つから3つ、リリース後には半年ごとに新マップの配信を予定している。マップには戦車、航空機、ボートなどの乗物が配置されたものと、歩兵戦に特化したマップの両方を用意するという。将来的にはマップエディタの提供も予定しており、デベロッパーによる公式マップだけでなく、コミュニティ製のマップも利用できるようになる。
Kickstarterキャンペーンの進捗としては、初期目標の5万ユーロ(約615万円)に対し、12月17日にキャンペーンが開始されてから2日間で2万ユーロに達している。好調な滑り出しだ。ストレッチゴールである25万ユーロに到達すればメインメニュー画面のかわりにMMORPGのようなハブエリアを実装するという。
『Renegade Line』のベータ版公開は2017年2月を予定。対象プラットフォームはPCであり、Mac/Linux向けのリリースも検討されている。対応言語については、有志のコミュニティがローカライズできるようツールを用意するとのこと。『Battlefield Heroes』が2015年7月にサービス終了したこともあり、F2Pモデルかつ3人称視点のクラス制シューターを欲している方は注目すべきタイトルだろう。