発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第345回目は『The Tenth Line』を紹介する。
『The Tenth Line』はアメリカ生まれの2D RPGだ。ゲームのテーマは「日本風の32bit RPGにひねりを加えて現代的に蘇らせる」というもの。その言葉どおり、本作は90年代後期を強く思い起こさせるRPGとなっている。
主人公となるのは小国「Easania」の姫君。甘やかされて育った彼女は、ある日謎の教団によって拉致されてしまう。途中でなんとか抜け出した姫君だったが、教団の魔の手がふたたび迫る。姫君は道中で出会うさまざまな人々に、富と名声を与えることを約束し、護衛を依頼する。彼女たちが住まう世界もまた終焉の脅威におびやかされていた。姫君たちは、教団の妨害を避けつつ、世界を救う旅へと出ることになる。
『The Tenth Line』は2DアクションとコマンドRPGを融合させた作品だ。2Dのフィールドを移動していき、敵シンボルに当たったりイベントが発生したりすることによって戦闘へと切り変わる。こうしたゲームの流れは『Child of Light』に近い印象を受ける。
本作の戦闘はターンベースが採用されており、プレイヤーはターンごとに持ち技を選び攻撃していく。プレイヤーにターンが回ってくるたびに「SP」が補充されるが、技ごとに消費SPが異なるので、次のターンにどの技を発動させるかも意識しながら攻撃していく必要がある。戦闘中に使用する技はカードのデッキのようにカスタムすることができ、SPや威力を考えてうまく編成することが重要になってくる。敵に攻撃をする際には、ボタンをタイミングよく押すことでパーティーメンバーとコンボを繰り出すことができ、アクションゲームのような爽快感も同時に楽しめる。
育成システムも独自性が高いものを採用している。パーティーメンバーにはそれぞれスキルボードのようなものが用意されており、アイテムを消費することでキャラのパラメータをアップさせたり、新たなスキルを取得したりしていく。アイテムの種類によって強化されるパラメータやスキルが異なるので、自由度の高い育成が可能だ。アイテムには、戦闘中の使用やキャラ育成以外にも使い道があるようで、アイテムを拾っていくことにも楽しさが生まれそうだ。
さまざまなケモノが登場する世界観や、ドット絵で描かれるかわいらしいビジュアルなど、本作の見どころは多くあるが、特に魅力的なのがその壮大な音楽だ。Alan Monteiro氏が手がけるBGMは、壮大でかつ耳に残る音楽ばかりだ。ジャンルは民族音楽風のものからオーケストラのようなものまで幅広い。トレイラーやゲームプレイの音楽を聞くだけでもBGMの美しさが感じ取れるだろう。
開発を手がけるのはサウスカロライナ州に拠点を構えるスタジオSungazer Software。デザイナーであるElliot Mahan氏を中心に構成されており、『The Tenth Line』がスタジオとしての処女作になるのだという。2015年の1月からプロジェクトがスタートしており、現在も開発は進められている。先日にはSteam Greenlightに登録された。
対応プラットフォームはPC/PlayStation 4/Xbox Oneで、2017年春のリリースが予定されている。