白く抜け落ちた記憶を“色”で蘇らせていく、ひと夏の少女の思い出を彩るインタラクティブ作品『Ephernera』が開発中

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第341回目は『Ephernera』を紹介する。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第341回目は『Ephernera』を紹介する。「Indie Pick」はインディーゲームの紹介コーナーだが、本作は開発チームが“notgame”と銘打って開発を進めているインタラクティブ作品だ。ナラティブ体験作品ともされており、ジャンルとしては『Dear Esther』『Proteus』のようなウォーキングシミュレーターにも近いかもしれない。

https://youtu.be/TbyPwlTlQHY

タイトルにもある「Ephernera(エフェメラ)」とは、すぐに捨てられてしまうような“はかないもの”を意味する単語。今回の作品『Ephemera』では、ひと夏の記憶を辿る物語が描かれることになる。だがまるで遠い日の記憶が色鮮やかには蘇らないように、少女の記憶は白く抜け落ちている。プレイヤーは少女を通じて、記憶の世界をペンキで塗ったり、あるいは社員で撮影して色付けしていく。

トレイラーでも確認できる淡い水彩画調のグラフィックはとても美しい。2015年には資格を失った少女の冒険を描く『Beyond Eyes』がリリースされていたが、同作に似た表現だと言えるだろう。本作のデザインはLazlo Bonin氏、またアニメーションはJazz Eladas氏が担当している。この見るにはかないビジュアルと美しいサウンドに、Fanny Giguere氏による消え入りそうなフランス語でのナレーションが挿入される。

トレイラーを見た限りでは体験したいと思わせる魅力を放っている『Epherner』だが、とはいえストーリーやプレイ性に関しては謎も多く、今後の続報に期待したい。『Ephernera』のリリース時期は未定。対象プラットフォームはWindows/Macで、すでにSteamでの配信が決定している。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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