スクエニ騙し合い非対称マルチ『KILLER INN(キラーイン)』はなぜ「狼8人と羊16人」なのか? “変則マルチ”ゲームルール理由訊く
本作の開発陣にインタビューを行う機会に恵まれた。さらに、弊誌は後日メールインタビューも実施。興味深い数々の回答を得られたので、この記事で紹介したい。

『KILLER INN(キラーイン)』は、スクウェア・エニックスとTBS GAMESが共同で開発中のマルチプレイ向けゲームだ。狼チーム8人と羊チームの16人に分かれて競う本作はいわゆる「人狼ゲーム」を題材としており、プレイヤーは互いの正体を隠しながら勝利条件の達成を目指す。
AUTOMATONは合同で、本作の開発陣にインタビューを行う機会に恵まれた。さらに、弊誌は後日メールインタビューも実施。興味深い数々の回答を得られたので、この記事で紹介したい。
人狼ゲームとシューターの融合で高いリプレイ性を追求
――『KILLER INN』は、いわゆる「人狼ゲーム」とシューターを組み合わせたようなゲームになっています。開発陣の人狼ゲームへの想い入れを教えてください。
開発陣:
『KILLER INN』を語るうえで、人狼ゲームやマーダーミステリーゲームの存在は欠かせません。会話や推理を楽しむゲームとしてどちらも広く愛されているジャンルですが、本作はマーダーミステリーゲームにより強い影響を受けています。マーダーミステリーゲームの素晴らしいところは、ミステリードラマに入り込んだようなリッチなストーリーを体験できることです。その一方で、犯人探しやトリック解明にプレイヤーが密接に関わることから「1回しか遊べないゲーム」とも呼ばれます。そうしたマーダーミステリーゲームのリプレイ性の低さに、私たちは歯がゆさを感じていました。
本作のコンセプトは、繰り返し楽しめるミステリー体験です。プレイする度に犯人や結末の変わる体験を本作で味わえるようにすることで、リプレイ性の高い作品になりました。
――人狼ゲームの要素のあるシューターとして、『KILLER INN』ならではの特徴はどのようなものでしょうか?
開発陣:
アクションゲームとすることで、『KILLER INN』ならではのミステリー体験が可能になっています。人狼ゲームはプレイヤー同士の議論を中心とした頭脳戦が勝敗を分けますが、そこに敷居の高さを感じる人も少なくないでしょう。人狼ゲームやマーダーミステリーゲームに通じるミステリー体験をより多くの人に味わっていただけるように、本作はアクションを重視して開発を進めています。
ミステリー作品では犯人があっさり負けてしまう展開はよくありますが、謎さえ解ければ勝ちということは実際にはないでしょう。犯人からすれば、トリックを見破った探偵は討ち滅ぼさなければならない敵以外の何者でもありません。天才的な推理で犯行が解き明かされたとしても、物理的に排除できるなら行動に出るはずです。議論と投票による人狼ゲームのような敵の排除ではなく、本作では実際に戦って決着をつけます。いわば、実力主義のミステリー体験が本作の特徴といえますね。
――本作に登場するマップはどのようなものが登場しますか?
開発陣:
複数のマップが本作に登場する予定ですが、クローズドβテストでは選択できるマップは1つだけです。ほかのマップからすると比較的小さめなマップとなっていて、ほかのプレイヤーと遭遇しやすいものになっていますね。廊下などの通路が多いため、気がつけばほかのプレイヤーが傍にいたということもあります。
正式リリース時には、クローズドβテストのマップよりも広いマップが登場する予定です。視界の開けた場所の存在するマップでは、スナイパーライフルといった長距離用の武器が猛威を振るうようになりますね。マップによって有効な武器や立ち回りが変わってくるでしょう。


――狼8人対羊16人の人数構成については、どのような理由で決まったのでしょうか?
開発陣:
ゲームプレイやキャラクターのスキルなどの理解が進んだうえで、もっとも楽しんでいただけるような人数構成を目指しています。プレイする機会が相対的に多くなる羊側の勝率が60%程度になるような組み合わせとしては、狼8人で羊16人の24人対戦が最適な人数構成だと考えています。クローズドβテストも24人対戦で実施される予定です。より少人数での対戦を搭載することも、今後の可能性として存在します。


――プレイヤー同士のコミュニケーションツールは、どのようなものが搭載されているのでしょうか?
開発陣:
クローズドβテストの段階では、ボイスチャットやテキストチャットなどの機能を使ってプレイヤー同士でコミュニケーションを取ることができます。そのほかには、エモートとスタンプも搭載していますね。
正式リリースに向けて、新たなコミュニケーションツールの搭載も検討中です。たとえば自分が狼を特定したときの場合、確定した狼にピンを付けてほかのプレイヤーと共有するような仕組みですね。ボイスチャットなしでも、ワンタッチで容疑者の情報を共有できるような機能の搭載を考えています。
固有スキルによって特徴が際立つキャラクター
――キャラクターによって固有の能力に違いが存在しますが、どのようなことを念頭にキャラクターが設計されたのでしょうか?
開発陣:
キャラクター設計の思想としては、狼であっても羊であっても使用感が大きく変わらないようにしています。どのキャラクターについても、狼と羊どちらかの陣営でのみ強いというキャラクターにはなっていません。レベルを上げることで習得できるキャラクターのパッシブスキルが本作に登場するのですが、狼の場合と羊の場合でその効果を発揮できる場面が変わってくるようになりますね。
スキルはそのキャラクターを特徴づけるものですので、いつでもその内容を確認できるようになっています。マッチング前のキャラクター選択画面で、そのキャラクターのスキルを確認することができます。マッチ中は、マップを開いたときのステータス画面からキャラクターのスキルを確認可能です。
――パッシブスキルは、キャラクターによって習得できるタイミングに違いが出てくるのでしょうか?
開発陣:
現時点では、全キャラクター共通で一定のレベルに到達するごとにパッシブスキルを習得することができるようになっています。複数のパッシブスキルが存在しますので、1つ目のパッシブスキルを習得したあとも2つ目のパッシブスキル習得を目指してレベルアップしていくことが重要になっていますね。クローズドβテストで特定のキャラクターの特定のパッシブスキルが習得レベルと比べて強すぎるという声が多い場合は、習得レベルを変更することも検討します。
証拠を調べて狼を絞り込んでいくゲームプレイ
――試遊では、犯人の髪の毛の色から容疑者を絞り込んでいくことがありました。髪の毛のないスキンヘッドのキャラクターの場合はどうなるのでしょうか?
開発陣:
弁護士の「マリック」のように、髪の毛のないキャラクターは殺害現場に髪の毛を残しません。したがって、マリックが狼として羊を殺害していたとしても、髪の毛の証拠からは彼は犯人の候補になりませんね。髪の毛を証拠として残さないキャラクターは、その代わりに指紋といったほかの証拠を犯行現場に残しやすくなっています。指紋は髪の毛よりもレアな証拠になっていて、犯人特定につながりやすい証拠です。
髪の毛の証拠から狼探しが始まったとしても、マリックのプレイヤーは「自分は髪がないキャラクターだから狼ではない」といえるのは強みかもしれません。しかし、指紋は言い逃れが難しい。そうした意味で、マリックは一長一短のキャラクターだと思っていただければ幸いです。
――対戦中の早い段階で死んでしまうと操作できなくなってしまうのですが、どうしたらいいのでしょうか?
開発陣:
クローズドβテストの段階では、死亡後も観戦し続けることができるようになっています。観戦したくなければ、次のマッチに新たに参加することもできるようになっていますね。ゆくゆくは死亡後もなんらかの形でチームに貢献できる仕組みを搭載したいと考えています。
死亡後もチームに貢献できるシステムを検討しているのは、友人とプレイしたときのことを考えているからです。友人と一緒にプレイしている場合は、自分が死んでしまったからといって別のマッチに移行するわけにはいかないんですよ。この点は、正式サービスに向けて検討を続けていきます。
――ショップなどのセーフティーゾーンでは狼が羊を攻撃するとペナルティの通知が流れるようになっていましたが、ほかにはどのようなペナルティが存在するのでしょうか?
開発陣:
狼側のペナルティとしては、狼がセーフティーゾーンで羊を攻撃した場合は狼であることが即座に羊にバレてしまいます。その結果として狼が羊から排除される可能性が高くなるでしょう。そのほかの狼側のペナルティとしては現時点では存在しません。羊側は誤って味方の羊に致死量の攻撃をしてしまうと、退場処分のペナルティが発生します。


クローズドβテストはチュートリアルなしでいきなり対戦へ
――クローズドβテストはどのような仕組みになっているのでしょうか?
開発陣:
クローズドβテストに参加してくださった方は、最初からオンライン対戦をプレイできます。いわゆるチュートリアルモードは搭載されていません。というのも、まずは何も知らない状態で本作をプレイしてほしいんです。どういう要素が直感的にわかりにくかったかや、混乱したかなどのフィードバックを得ることで、ゲーム内にどのようなサポートが必要かを把握するというのもクローズドβテストの目的の1つです。
――最後に読者の方へのメッセージをお願いいたします。
開発陣:
『KILLER INN』は、知恵と力を振り絞って戦うアクションゲームです。人狼ゲームやマーダーミステリーゲームを題材としていますが、狼の正体が判明すること自体は戦いの終わりを意味するものではありません。むしろ、そこからエキサイティングな展開が次から次へと繰り広げられていきます。もうじき始まるクローズドβテストで、ぜひ体験してください。
──ありがとうございました。

『KILLER INN(キラーイン)』は、PC(Steam)向けに開発中。クローズドβテストは2025年7月26日7:00~7月29日6:59の期間限定で開催される予定だ。Steamストアページにて、クローズドβテストの参加申込を受け付けている。