『バイオハザード レクイエム』はCERO Z国内版の表現も「頑張ってる」。怖さ追求したら“逆に面白くなった”新ゾンビの苦労など、裏話いろいろ開発者インタビュー
『バイオハザード レクイエム』ディレクター・中西晃史氏へのメディア合同インタビューの模様をお届けする。

カプコンは2026年2月27日、『バイオハザード レクイエム』を発売予定だ。対応プラットフォームはPC(Steam)/PS5/Nintendo Switch 2/Xbox Series X|S。本作は『バイオハザード』シリーズ30周年を記念する最新作であり、シリーズを象徴するキャラクターであるレオン・S・ケネディが主人公のひとりとして復帰することでも注目を集めている。
主人公はFBI職員グレース・アッシュクロフトと、対バイオテロ組織「DSO」に所属するエージェントのレオン・S・ケネディ。ふたりは廃ホテルで起こった連続変死事件を追うなかで、それぞれの過去と向き合い、やがて交錯する運命へと導かれていく。シリーズの原点のひとつであるラクーンシティも再登場し、グレース編では逃げ隠れを主体としたサバイバルホラー、レオン編ではよりアグレッシブな戦闘が展開される点が特徴だ。

本稿では、『バイオハザード レクイエム』の先行試遊後に実施されたディレクター・中西晃史氏へのメディア合同インタビューの模様をお届けする。

「オールドバイオスタイル」のグレースと、“ハード”になったアラフィフレオン
——試遊プレイではグレースとレオンで、ゾンビに掴みかかられた時の反応が違うのが印象的でした。主人公をふたりにした理由を教えてください。
中西晃史(以下、中西)氏:
このふたりは全然違うゲームを並行して遊ぶようなものなので、プレイヤーが戸惑うんじゃないか、集中できないんじゃないかという懸念がありました。ただ作ってみたら今までなかった体験になったので、そこを出発点に制作しています。それぞれのゲームプレイの配分を変えることで独特のテンポ感だったり、違った味が出てきたりもするので、プレイヤーが最後まで油断せず、飽きずに楽しめるように、主人公ごとにそれぞれ特化したゲームプレイを作っていきました。
——グレースとレオンの違い、バランスについてはどのように設計しているのでしょうか。
中西氏:
まずグレースの方は少ないリソースでマップを探索し、自分のテリトリーを広げていくという「オールドバイオスタイル」になっています。敵に対しては銃や破血アンプル(編注:グレースが用いる新アイテム)を使って倒すのも、ゾンビの特徴を利用してやりすごすこともできますし、緊急時は敵を突き飛ばす体術や破血アンプルで怯ませて逃げることも可能です。そういった「敵を全滅させる」のが前提ではないゲームプレイをコアとして設計しています。

対してレオンは複数の敵を相手にするので、まずひとりを怯ませて蹴っておいて、そのうちに他の敵を撃つとか、複数の敵を巻き込む体術があったりとか、ゲームデザイン上の役割に応じてふたりのアクションや機能が異なっています。
——レオンのキャラクターについてこだわった部分、そして新装備である「トマホーク」を実装した理由をお聞かせいただけますか。
中西氏:
前作の『RE:4』はおかげさまでレオンのアクションが好評をいただいて、良かった部分は引き継いでいこう、というのがスタートでした。そのうえで、ゲーム内の歴史で言うと『RE:4』から『レクイエム』では20年くらい違うので、2026年現在の「アラフィフレオン」はどうなのか、そこを掘り下げようという方針で開発しています。
レオンは過去のゲームではそれぞれエンディングを迎えているわけですけど、その過程で悲劇的なことも多かったと思うんです。おそらくゲームで描かれているもの以外にもいろんな場面があって、20歳そこそこから30年くらい戦い続けている。というのをシミュレーションするうちに、さすがに今のレオンは少し疲れて、やや厭世感を持っているようなところまでいってるんじゃないかと考えました。
それを表現するために鬼気迫るような雰囲気と、その背負っている重さの象徴としてトマホークを入れています。スプラッター的に血が飛び散るのも“ハードなレオン”を演出する一環なので、その表現がプレイして伝わったらいいなと思います。

——戦い続けて疲れているというと『6』のクリスも想起されますが、『レクイエム』ではレオンなりの責任の重さを表現したかったということでしょうか。
中西氏:
根本的にレオンは仕事やミッションに対して前向きな人物です。目の前の救える人を救おうとしているのは昔から変わっていなくて、そこがクリスとは違うところですよね。理想のレオン像に従っているような。なので単純に疲れているだけではない複雑さがあるかなと思います。
そしていい年になったレオンが、自分のルーツであるラクーンシティに戻る。『RE:2』時代のピュアなレオンではないので、いろいろ思うところがあると思うんです。大人になってから母校の小学校を訪れたような(笑)そこを描きたいというのは『レクイエム』の重要な部分ではありますね。

——『レクイエム』に至るまでのレオンの物語も、設定としては存在しているのでしょうか、また『リベレーションズ』のように、間のストーリーが描かれることもあるのでしょうか。
中西氏:
もちろんゲームを作るとなったらしっかり考えますが、それ以外も『バイオ』のユニバースとして、それぞれのキャラクターが描かれていないところで何をしているのかはある程度考えています。『リベレーションズ』的な作品も、また作るチャンスがあれば面白いと思いますね。
——本作はレーティングがCERO Zのみで、先日公開された映像ではレオンが敵の頭を潰すなど、ゴア表現も印象的です。『ヴィレッジ』以前のように、CERO Dの通常版とCERO ZのZバージョンに分けなかった理由はありますか。
中西氏:
『RE:4』の時点でCERO Zのみにしているので、今回も基本的にそれを踏襲しています。先日のバイオハザード ショーケースも、国内で流れた映像はすべて国内向けのCERO Z版の映像になっています。「これでCERO Zなの」という表現も出てくるので、意外と頑張っているんじゃないかなと。グロいものをひたすら作りたいというわけではないですが、ショッキングなシーンとか、緊迫した戦いを描くうえである程度そういった表現は必要だと思うので、演出面で余すところなく体験できるようにという意図もあります。

それぞれの「30年の歴史の解釈」があるレオン
——過去インタビューで、レオンのビジュアルは「イケオジ」がコンセプトであるとのことでしたが(関連記事)、ビジュアルはどのように制作されたのでしょうか。またレオンの発表時には、海外でもそのまま「IKEOJI」とするようなネットミーム的な盛り上がりがありました。印象的な反応はありましたか。
中西氏:
レオンのビジュアルは結構時間をかけて磨いています。社内にレオンのファンが多くて、特に女性ファンからはものすごく厳しい視点で、首のシワ1つに対してもツッコミがあるぐらいで。これを過去お話ししたときに、海外の女性ファンの方に「カプコンの女性開発メンバーグッジョブ」って言っていただきました(笑)
このこだわりもあって、レオンは開発を通してすごく洗練されていて、結果誰でもキュンとするようなビジュアルに仕上がったかなと思います。
——社内の指摘の中で印象に残っているもの、驚かされたものはありますか。
中西氏:
多かったのは行動に対してですね。「レオンならこの場面でこうは動かないだろう」みたいな、その人なりのレオンの30年の歴史の解釈があるんですよね。ビジュアルよりも内面に関しての方が意見があって、最終的には議論を重ねて「これだ」というものになっています。プレイヤーの皆さんも今作のレオンを見たときに、自分なりに解釈してもらえればいいのかなと。

——レオンの体術に関して、試遊の範囲ではベリィトゥベリィ(スープレックス)やネックブリーカードロップといった、派手なプロレス技が見られなかったのですが、これは本作の雰囲気を考えてでしょうか、それともレオンの年齢的な問題でしょうか。
中西氏:
年齢や雰囲気というよりは、体術が強すぎると、敵に対してプレイヤーが上になりすぎて緊張感が弱まってしまうんですね。あくまでレオンにとっても敵は脅威、油断すると殺される存在であるべきで、それをギリギリで切り抜けられるというテイストを目指しています。とはいえゲームとしては、体術が決まったときというのはうまくいった瞬間ですよね。なので最低限の爽快感も出しつつ、バランスを見て技は選んでいます。あとはイケオジがやりそうかどうかも重要かなと(笑)
予測できない「シナジー」を生むゾンビたち
——巨大な赤子のような敵や、異形の老婆のような怪物が登場しますが、本作のクリーチャーのコンセプトを教えてください。
中西氏:
今回のゲームに登場するのはいわゆる「ウイルス系」の敵なんですが、そのウイルスがどう変異していくかというのがベースにあります。序盤の敵は人間らしい見た目も多いですが、ゲーム全編通してはそうではないものもいろいろ出てきます。「ザ・バイオハザード」なクリーチャーを目指してますね。

——今作はラクーンシティが登場しますが、『1』や『2』で出てきたようなクリーチャーが再登場するなどの展開もあったり……?
中西氏:
はっきりは言えないのですが、皆さんが期待するような要素はなくはないかなと。逆にラクーンシティに関係ない敵が出たら「なんでやねん」となると思うので(笑)
——試遊では、音に敏感なゾンビが他のゾンビを襲うような、同士討ちに見える場面もありました。こうした敵同士の相互作用は他にもみられるのでしょうか。
中西氏:
敵同士の関わりはチーム内で「シナジー」と呼んでいて、できるだけゲーム中で見られるように開発しています。相互作用が強すぎてカオスになっていたケースもあったのである程度抑えたりもしていますが、本作の特徴的な要素のひとつかと思います。
――ゾンビによっては生前の習慣を受け継いでいるものもいますが、そうした敵の動きやリアクションはひとりひとり個性的になるように作られているのでしょうか。
中西氏:
もちろんアイデアベースでは、敵に全員個性があると楽しいなという意見はありました。とはいえプレイヤーが理解しやすい情報量のラインもあるので、最終的には、一部の敵が初見ではよくわからない行動をとるけど、やっていくうちに対処法に気づけるくらいのバランス・個性感で着地させています。ただ開発チームのこだわりとして、一部普通のゾンビでも専用ボイスが用意されていたりと、敵の行動や反応に関してはプレイするたびに新しい発見があるかなと。

——生前の動きは怖さや不気味さもありつつ、習性を利用して誘導できるなどゲームプレイにも変化が生まれているのが面白いです。
中西氏:
それが伝わったなら本当に良かったです。いつものゾンビって両手広げて襲ってきてと、だいたいやってくることがわかると思うんですが、予測できるって恐怖を描くうえですごく不利なことなんですよね。なので予測できないように生前の動きを取り入れています。彼らのバックボーンも感じられますし、新しい敵が出てくるたびに「これは何なんだろう」とプレイヤーが想像できる余地を作ろうというのが今回のゾンビのコンセプトなので、それを感じてくれたら嬉しいですね。
——ゾンビの習性やゾンビ同士の「シナジー」について、作るのに苦労した点を教えてください。
中西氏:
まず苦労したのが、想定していないことが起こるケースですね。たとえば音に敏感なゾンビが、こんな小さな音でも反応してしまうんだということがあったりとか、面白くもあるのですが通常のプレイに支障が出ないようにある程度調整しています。
もうひとつ大変な部分として、基本的により怖くなるように敵の特徴づけをする中で、どうしてもネタっぽく、面白くなってしまう瞬間がありました。笑いと恐怖は紙一重というので初めから覚悟はしていましたし、その境界線を狙ってはいたんですが、ちょっとセリフ回しが違うだけで急に面白くなってしまったりなど、予想以上に難しくて。敵に関しては見た目、動き、ボイスなど全て組み合わせたときのバランスを見つつ、丁寧にいろんな角度から調整しています。
——調整するうえでの明確な判断基準はあったのでしょうか?
中西氏:
まずゲームというメディアの特性上、プレイヤーが受け取って処理できる情報量はどうしても限界があるので、そこを超えていないかという点ですね。あとはロケーションによってどういう体験を作りたいかというのが最初にあるので、その目指すところに不要であれば引き算して、足りないところは伸ばすという考え方で調整しています。

——敵の極端な反応や面白い様子が見れるシーンもあるのでしょうか。
中西氏:
大胆にはやっていませんが、今回も難易度によって敵の配置や登場する場所を変えたりしているので、場合によっては今まで出会いがなかった敵同士の絡みが見れたりはしますね。
パニックでもついていけるように、あえて情報量を減らす
——試遊していて、一人称視点と三人称視点どちらにも良さがあり、違和感なく遊べるのが印象的でした。それぞれの視点ごとにゲームプレイの調整はされているのでしょうか。
中西氏:
元々目指す体験があって、視点が変わっても同じ体験ができるようにという方針でした。それぞれの視点での体験を損なわないように、部分的ではありますが敵やシーンごとの調整も加えています。どちらの視点でも『レクイエム』を味わえるようにしているので、プレイヤーの好みで選んでもらえればと思います。

——全身が見えない一人称視点で、主人公ふたりの違いを表現するために苦労したことは何でしょうか。
中西氏:
同じ一人称視点でも銃の映り方や位置を変えています。たとえばグレースだったら緊張感をもって銃を握ってたり、手がちょっと震えてたりします。グレースは恐がりなので、そのキャラクターを出せるようなカメラ位置・演出にしています。同じように、レオンであれば体術の時に一瞬カメラが引いて全身の動きを見せるなど、それぞれのキャラクターが伝わるように調整をしました。

——グレース編では、血液を使ったクラフトや「アンティークコイン」で自分を強化する要素がありました。グレースを強化していくと、最終的にレオン並みにたくましくなる可能性もあるのでしょうか。
中西氏:
リソースをすべて強化に振っていけば強くはなっていきます。とはいえ急にレオンみたいにはならないので、あくまでグレースの範囲での成長ですね。どちらかというと、体力が増えるとか、破血アンプルで怯ませるとか、生き残る手段・チャンスが増えるという方向性になっています。
——試遊していて、インベントリがアイテムで圧迫されてしまうことが多かったのですが、うまく整理するコツはありますか。
中西氏:
アイテムボックスを活用することですね。最近の『バイオハザード』に慣れている方からすると、アイテムボックスをうまく使う発想に至らないこともあるんですよね。カバンはのちのち大きくなっていきますが、小さいうちは持っていくものを選ぶことが必要になっています。旅行の計画を立てるように、何が必要かを考えて持ち物を選んだり、それが計算通りにうまくいったりとか、そういう昔ながらの『バイオハザード』の要素も、慣れてくると面白みがあるかなと。

——アイテムボックスを通して、グレースとレオンがアイテムをやり取りするようなことはできるのでしょうか。
中西氏:
アイテムボックスを通しての移動はできない仕様にしています。アイデア自体はあったのですが、管理面で複雑になりすぎてしまうんですね。『バイオハザード』は情報量が多すぎるとプレイヤーが付いていきづらいときがあって、パニックになるとアイテムを見逃したり字を読めなかったりすることもあります。なので、プレイヤーが管理しないといけないものは意図的に減らして情報量を絞っています。ただ、グレースが拾わなかったアイテムを後でレオンが拾うといった関わりはあります。
——エンドコンテンツ的な要素はあるのでしょうか。
中西氏:
『バイオ』はシリーズ通して、1週目が終わった後の遊び、やりこみがありますが、今回も本編が終わった後は長く遊べるような仕組みはご用意しています。
——ありがとうございました。
『バイオハザード レクイエム』はPC(Steam)/PS5/Nintendo Switch2/Xbox Series X|S向けに2026年2月27日に発売予定だ。
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