『TransPlan』は、スマートフォンなどで手軽に遊べ、じっくり時間をかけて解いていく純粋なパズルの形式を持ったパズルゲームだ。デベロッパーは、PCやスマートフォン用ゲームなどを制作しているKittehface Software。Steamにて販売中のPC(Windows)版の価格は298円。スマートフォンやタブレットでプレイできるモバイル版として、iOSとAndroidは無料でダウンロードできるが、広告を非表示にするには有料のアドオン(240~249円)を購入しなければならない。
PC版とモバイル版のゲーム内容はほぼ同じだが、モバイル版は本体を縦か横にすることで画面レイアウトが切り替えできる。また、操作はマウスとタップで若干の違いがある。
手軽、そして純粋
ゲーム画面には、1枚の方眼紙に鉛筆と定規を使って描いたようなブロック・球・円弧などが置かれている。まるでノートに研究か何かを描き留めた図面のようなビジュアル。そのためか、各ステージの名称は「プロジェクト」と呼ばれている。
ゲームの目的は、青い物体を青いエリアに移動すること。
画面上のブロックは、クリックすると落下し、円形のものなら転がるなど、すべて重力に従った動きを見せる。しかし困ったことに、プレイヤーがブロックを自由自在に移動させることはできない。自然落下に頼るしかないのだ。
そこで、邪魔なブロックを消す消しゴムと、ブロックを止めるピンを活用する。特にピンは重要で、留めた所を軸にしてブロックがシーソーのように動いたり、その動きを利用して球を転がしたりはじき飛ばしたりできる。ただし、消しゴムに使用回数制限はないが、ピンはプロジェクトによって止められる本数が決まっている。
自然落下を消しゴムとピンで制御し、各プロジェクトに設けられた基準数以内の手数でのクリアを目指す。間違った手順を踏んでしまった場合は一手戻したり、リセットで最初からやり直すことも可能。手数の基準数は決められているが、これを守る必要はなく、時間制限もない。失敗しながら何度も挑戦することで答えが見えてくる純粋なパズルゲームといえる。
各プロジェクトは、基本操作を覚えるための「基本」「見習い」、一つのテクニックをテーマにした「パチンコ」「投石器」など複数のグループに分かれている。それぞれのプロジェクト名は、解法に関するヒントにもなっている。全プロジェクト数は80以上。どれも手数は多くないので2~3時間あれば全プロジェクトをクリアできるだろう。
「らしくない」魅力
本作を「純粋なパズル」と説明したが、実は魅力について語るとまったく逆である。パズルらしくない要素が含まれているのだ。
パズルゲームで問題を解く方法といえば、ルールから可能な手順を論理的に計算で割り出していくものもあれば、とにかく思いつく方法を探りながら見つけ出していく論理よりも行動や探索で解けるものもある。前者より後者は不利なように思えるが、このゲームで重要なのは後者だ。
各プロジェクトに置かれているブロックは、落下・傾斜・回転などの動きや、どこまで転がれば止まるかといった法則は決まっているが、重力に従った物理的な動きを最初から予測・計算するのは難しい。そこで、クリアするためには、実際にブロックを落下させて結果を見ることが重要になる。まさに論理よりも行動であり、落下させたり転がしたりすることで動きを知り、消しゴムやピンを駆使し、何度も試して答えを見つけ出していく。様々なブロックを組み合わせながら、それらが作る仕掛けを解き明かす感覚のような、「純粋なパズル」らしくない要素もまた『TransPlan』らしさである。
パズルらしくない要素はもう一つある。それは爽快感だ。球やブロックを落下させ、坂を転がったりシーソーに弾かれて空中を舞ったりして、目的の場所にピタリと止まってクリア。何度も試行錯誤を繰り返した後で、これを見たときの気持ちよさは爽快の一言。それが、ときには思いどおりに、ときにはまったく予想だにしなかった動きでプレイヤーを楽しませる。
ただし、その思いがけない動きのおかげで、ブロックがエリアに少しかかったからOKという、ごり押しや実際の解法ではないと思われるクリア方法もある。偶然の要素も楽しみの一つという考え方もできるが、パズルとはかけ離れすぎる時があるのも否めない。
そういった点も含め、論理よりも試したり探ること、成功した時の爽快感、そこに「パズルらしいのにパズルらしくない」ものを味わえるのが『TransPlan』なのだ。パズルは難しくて苦手という人も、手軽に楽しめるのではないだろうか。