『The First Berserker: Khazan』先行プレイ感想。『アラド戦記』のソウルライク……ながら原作知識関係なく連続ジャスガからの反撃が気持ちいい死にゲー
『アラド戦記』の世界観をベースにしたアクションRPG『The First Berserker: Khazan』が、2025年初頭に発売される。東京ゲームショウ2024への試遊出展も決定したなか、先日行われたメディア向け試遊会に参加。約2時間の試遊で得たインプレッションをこの記事でお伝えしよう。なお、試遊には開発中のゲームデータが使用されているため、製品版では変更されるかもしれないことに留意してほしい。
『The First Berserker: Khazan』で主人公を務めるカザンは、『アラド戦記』に登場するジョブ「鬼剣士」の起源とも言えるキャラクターだ。竜の討伐に成功したカザンは帝国の大将軍として名声を集めていたが、反逆の濡れ衣を着せられて雪山に追放されてしまった。道中で発生した事故に生き残った主人公は、自分を没落させた事件の真相を探るために復讐の戦いへと身を投じていく。本作で描かれるのは『アラド戦記』より数百年前の時代。『アラド戦記』を知らなくても、いわゆる「ソウルライク」の探索とアクションを楽しめるタイトルになっている。
「死にゲー」としての純度の高さを感じるマップ探索
今回の試遊では、ストーリー序盤を体験するモードとボスと戦うモードをそれぞれプレイすることができた。まずはストーリー序盤を体験するモードをプレイしたが、冒頭の舞台となる雪山のマップだけでもかなりのボリュームであった。英雄として知られた将軍が本当に反逆を企てたのか疑問に思う兵士たちや復讐を決意するカザンなどのカットシーンは見応えがあり、本作の世界観に没入することができた。キャラクターが3Dセルアニメ風グラフィックになっているところが本作の大きな特徴で、重傷を負いながらも立ち上がるカザンの姿がカッコいい。
マップの攻略を進めていく過程は『ダークソウル』シリーズ(いわゆるソウルライク)とよく似ており、篝火のような体力を回復できる拠点を見つけて探索できる範囲を広げていく。雪山のマップはストーリー冒頭で訪れるため、そこまで複雑な構造ではなかった。シンプルでありながらも脇道にはストーリー進行には直接影響しない強敵が潜んでいたり、脆そうな氷の上を歩くと氷が割れて落下死してしまう罠も仕掛けられていたりする。ああ、宝箱を目前に落下死するむなしさよ……単純に敵が強いだけでなく探索時も気を抜けないところに、「死にゲー」としての純度の高さを感じた。
スタミナ管理が肝の戦闘は敵と一時的な共闘関係になることも
ダークファンタジーのマップを探索していく『ダークソウル』シリーズのような特徴がありつつも、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』のように、本作の戦闘はHPといわゆる「スタミナ」に相当する気力を削り合うシステムとなっている。アクションする度に気力を消費するため、本作の戦闘では攻撃や防御をずっとし続けることはできない。相手の気力を削り切ることでダウンを取ることが可能。ダウンしている相手に対しては、追撃として「ブルータルアタック」を叩き込むことができる。
ブルータルアタックの威力は絶大だ。ストーリー序盤を体験するモードでは主人公は剣と斧を両手に戦っていたが、通常攻撃で与えるダメージは2500ほどだった。ところがブルータルアタックになると、1万7000を超える大ダメージを与えることができる。剣と斧を二刀流のようにして戦う主人公のアクションは流れるようであり、左手で剣を突いたあとに右手で斧を振り下ろすブルータルアタックは爽快感にあふれていた。
逆に主人公の気力が尽きてしまうと相手からブルータルアタックを喰らうことになってしまうので注意が必要だ。本作の戦闘は気力の管理が肝となっており、相手の攻撃を着実に防ぐことが勝利のカギとなっている。防御方法は複数が用意されているが、序盤からとりわけ重要だったのはジャストガードだ。相手の攻撃に合わせて正確なタイミングでガードすることでジャストガードが発動し、敵の気力を通常時よりも大きく削ることが可能となっている。
戦闘の難易度は、かなり高いと感じた。序盤から複数の雑魚敵が同時に登場する。たとえば、盾を持った兵が近距離戦を仕掛けてくる一方で後方には弓兵が控えているなど、序盤からプレイヤーへの殺意満々だ。兵士のほかには猿や熊などのモンスターが登場し、動物ならではの素早い動きでこちらを翻弄してくる。ゲーム全体を通しての総数はわからないが、敵キャラクターは冒頭のマップでも十分にバリエーションがあった印象を受けた。
雪山のマップを探索していると、帝国兵士たちと巨大な猿が戦闘をしているシーンに出くわした。主人公そっちのけで死闘を繰り広げている様子に唖然としたが、HPと気力の両方のゲージが両軍に表示されており、本当にお互いが命をかけて戦っている。そこに主人公も加わって、三つ巴の様相を呈してきた。どう戦うかはプレイヤーの自由だが、私は帝国兵と一緒に巨大な猿を排除すべきだと考えた。しばらく様子をうかがってから、帝国兵の猛烈な攻撃で気力が尽きた巨大な猿を、主人公のブルータルアタックで葬り去りさった。
巨大な猿を倒した瞬間、主人公と帝国兵は敵対関係に戻る。一瞬でこちらに斬りかかってくる帝国兵の切り替えの早さに不意打ち喰らってしまったが、巨大な猿との戦いで消耗した帝国兵をなんとか一掃することに成功。漁夫の利を得たような形ですべての敵を殲滅したことに少々の罪悪感を覚えながら、本来ならば敵であるはずの帝国兵と一時的な共闘関係が発生するシチュエーションは面白い。
死に戻りで学んだ経験が勝利につながるボス戦
雪山の最奥には、鬼のような姿をしたボスキャラクターが待ち受けていた。この鬼は道中で戦った猿とは比較にならないほどの巨体で、攻撃範囲と破壊力に優れた攻撃を放ってくる。上から叩きつけるようなストレートや下から突き上げるアッパーなどはもちろん、遠距離攻撃も併せ持つ極めて厄介な相手だ。主人公が背後に回った際は、ヒップアタックで潰してくる狡猾さも見せる。鬼と正面に戦うことが多くなるが、通常のガードだけでは主人公の気力が持たない。
そこで重要になってくるのが、ジャストガードだ。うまくジャストガードを決めれば相手の気力を削ることができるし、主人公の気力の消費も少ない。鬼のパンチのモーションを盗んでジャストガードで防ぐ。ときおりガードできない攻撃も鬼は織り交ぜてくるので、そちらは回避する。相手の攻撃を見極めて気力を削り、ブルータルアタックを叩き込んだときは、まるで自分が戦いの達人になったような気がした。相手の攻撃を見て対応できるようになることは、本作のボス戦攻略のカギとなるだろう。何度もゲームオーバーを繰り返したが、チェックポイントがボス戦の近くにあったので挫けずに済んだ。序盤のボスにしては強すぎる気もするが、死に戻りの経験を活かして勝利したときは達成感に包まれる。
今回のメディア向け試遊会では、主人公のスキルが解禁された状態まで進めた場面でのボス戦も体験することができた。通常攻撃以外の高火力なスキルが使えるようになったことで、本作の戦闘はより一層スピード豊かなものへと変わる。リーチが長いスキルは使いやすく、相手の連続攻撃後に繰り出すことで気力をより削りやすい。
スキルの発動には「闘志」と呼ばれる専用のポイントを消費する形になるため、使いどころを考えていく必要がある。「闘志」は攻撃や防御などで貯まるため、スキルはかなり頻繁に使っていっても大丈夫だ。ハンマーと杭をひたすらに打ち下ろしてくる巨大な鹿のボスモンスターと戦ったときは、ジャストガードとスキルで相手を攻めることができた。
気力を削ることがボス戦のカギとなるのは間違いないが、最後に戦った人間のボスキャラクターは勝手が違った。近接攻撃特化のボスかと思いきや、気力が尽きようとする頃に主人公から遠くに移動する。そこから遠距離攻撃を繰り出しつつ、気力を回復させてくるのだ。これまでのボス戦とは異なるその行動に圧倒され、試遊時間内にボスの隙を見出すことはできなかった。製品版で戦う機会があれば、攻略法を編み出して必ず倒したいところだ。
『The First Berserker: Khazan』は、PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)向けに開発中。発売時期は2025年初頭を予定している。2024年9月26日~2024年9月29日に幕張メッセで開催される東京ゲームショウ2024ではHall 8のネクソンブースに本作が試遊出展されるので、興味がある場合はぜひ足を運んでみてほしい。