美少女育成SLG『白桜ガールズファイト!』レビュー、現役JKに愛情をたっぷり注いで「ガールズファイト」での優勝を目指せ


古今東西、ゲーマーとは何かを育てずにはいられない人種である。プレイヤーキャラを始め、モンスターや昆虫、時にトップアイドル、はたまた”娘”に英才教育を授けたり……。今回紹介するゲーム制作サークル773の『白桜ガールズファイト!』は、そんなゲーマーの”育成欲”を満たしてくれる一品だ。愛情をこめて育てる対象は現役女子高生たち。見た目はもちろん、性格も国籍もバリエーション豊かな15人の女子高生から、お気に入りの3人を選んで飴と鞭で鍛え上げ、学園最強のチームを作りだすのが本作の目的となっている。

 

美少女ゲーお約束、強引に始まるガールズファイト

プレイヤーは白桜学園にやってきた新任の体育教師。就任のあいさつはおろか職員室にたどり着きもしない内に、生徒会副会長を名乗る少女につかまり、そのまま「ガールズファイト」のチームまとめ役を押し付けられてしまう。「ガールズファイト」とは、3年前に1度開かれたきりの女生徒による学園内異種格闘技戦。白桜学園は同サークルの別タイトル「まんけん!」と舞台を共有しており、そちらでは同学園は男子生徒も登場する共学校なのだが、なぜ女生徒限定なのか、なぜ異種格闘技戦なのか、そもそも君たち学生でしょ授業は一体どうなってるの、といった疑問はすべて心の奥に封じ込めて、選手として育てる3人を選んでほしい。

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就任早々、マネージャ職をぐいぐい押し付けてくる副会長 烏山千歳。3年前に一度だけ開催された「ガールズファイト」。つまり前回の現役学生はほぼ卒業しているはずなのに、まるで毎年恒例イベントかのようなセリフは気にしてはいけない。
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マネージャ名、選手の育成に関わる特技、CPU対戦の強さが変化するゲーム難易度の3つを登録すれば、いよいよカワイイ選手たちを選べる。一人称が「俺」なので女性名をつけた筆者は大失敗。

最初にプレイヤー自身のマネージャ登録書の作成を求められるが、これはチーム全体の傾向と選手選びに大きく影響する。どんな選手をそろえたいのか最初に方針を決めておいたほうが、後々の試合運びは楽になるだろう。筆者は初プレイ時、完全に顔の好みだけで選手をピックアップし、彼女らの特徴を無視してテキトーに育てたため、リーグ半ばで敗退という屈辱を味わった。
15人の少女たちはそれぞれ得意な戦闘スタイル・格闘スタイルを持っているが、合わせてチェックしたいのが773公式サイト「キャラクター紹介」ページのパラメータだ。同じ打撃特化型の生徒でも、ずば抜けて筋力とHPが高いガチムチな子や、精神力の値だけが高いなど、初期能力には大きな差がある。体育教師たるプレイヤー自身の特技は、トレーニング時の能力アップ率に関わってくるので、不得意な分野を伸ばしてバランス型に育てたいのか、初期値の高い能力をさらに伸ばした特化型選手にしたいのか、よく考えてからスカウトしよう。

真面目に勝ちを狙ったメンバー構成もよいが、もちろんあなた好みの生徒だけを集めた脳内ハーレムチームを作るのもよし。彼女たちは個性豊かという表現ではおさまらない、かなりぶっ飛んだ性格や設定の子も多く、セリフや反応を見るのもなかなか楽しい。白桜学園は「古き良き町並みを持つ地方都市、白桜町」にあるごく普通の高校のはずだが、どこのインターナショナルスクールですかと言いたくなるほど留学生が多い点は、そっと心の奥にしまい込もう。

 

個性的にもほどがある「ガールズファイト」生徒の一部をちょこっと紹介

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高校生なのに博士と呼ばれる天才少女。リングの上にも白衣であがるマッドサイエンティストかつサディストの彼女は、筋肉増強剤を試合中にキメることもいとわない。シャラポワもびっくりである。

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笑顔はかわいいが、悪の結社打倒のため改造人間になったと信じるアレゲな2年生。見ての通りパワー型で、当たれば重い一撃を繰り出し、HPも高いため育てやすく初心者向け。

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唯一のオカルト担当である超能力もち深層の令嬢、もとい霊嬢である。背後のペット”ハウンド”は誰にも見えず、試合中は大活躍するため思わずチートではと思ってしまうことも。ただ病弱キャラゆえHP・筋力・丈夫さは15キャラ中最低ランク。

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精神力以外すべてのパラメータがバランスよく、育て方次第でいかようにも伸びる初心者にも扱いやすいキャラだ。性格は大人しく控えめで口調も優しい。筆者イチオシのお気に入り

 

「ガールズファイト」は毎週金曜日に、チームA~Eによるリーグ戦形式で開催される。月~木曜の5日間にどれだけ効果的な育成メニューを施し3人を鍛え上げられるかは、マネージャであるプレイヤーの采配にかかっている。毎日3人の体調報告が行われるため、調子がよければ新技習得・特訓といった重めのトレーニングを。「なんだか体が…」と不調を訴えれば休憩をはさむなど、こまめな管理が必要だ。ときには疲れた彼女たちにマッサージを行うチャンス(?)もある。

 

技の習得には必要回数が設定されており、何度もトレーニングが必要なことも。試合までの残り日数を計算して、計画的に彼女たちを鍛えていかねばならない。

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ちょっと調子がわる~いという選手に、マウスカーソルを合わせてマッサージ。体のどこをマッサージしたかはご想像にお任せする。

 

カードの読み合いバトルで問われるマネージャの判断力

ゲームのメイン要素であるガールズファイトの対戦は、カードバトル形式で行われる。ゲーム内でも説明されるのだが、あまりにサラっと簡単に流されるので、正直1回でシステムをきちんと理解するのが難しい。できれば何度でもプレイ可能な解説込みの模擬戦を用意して欲しかった。ただ、制作側でも分かりづらいという認識はあったのか、DLファイル内に用意されたオンラインマニュアルには、戦闘パートのより詳しい解説がなされている。
本作の魅力は選手のパラメータ数値をやみくもに伸ばしても、それだけでは試合に勝てないところ。カードの切り方1つであっさり敗北する読み合いがあるので、本作を初めてプレイする際にはぜひオンラインマニュアルに目を通してほしい。
3人の対戦順を決めると試合開始。ごく簡単に言えば、相手より強いカードを出せば技を確実に決め、試合を有利に運べるわけだが、相手の手札は当然「???」と伏せられている。おもにカードに書かれた数字の大小と選んだ技の難易度でターンごとの勝敗が決まるため、できれば最大値「5」のカードを切りたいが、手札にすべて1が並ぶ不運も時にはある。また、技は難易度が大きいほど失敗しやすく、小技を確実に決め制限時間内にHP削りきるのもコツである。

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中には相性が悪くこちらが不利な対戦相手と組むことも。勝ち抜き戦なので、言葉は悪いが試合後半を楽にするための「負け試合要員」として送りだす覚悟も時には必要だ。

不利なカードばかり並んだ時にどうしのぐか。勝てない相手とわかっていても、次にどう繋げていくか。キャラの見た目に漂うギャルゲー臭とはうらはらに、判断次第で余裕で勝てたはずの試合を落とすこともあり、なかなか奥深い戦闘パートに仕上がっている。さらに、ギリギリの試合で思わぬ助けとなるのが、3人の選手間の「結束力」や、学園内にいる「ファン」からの応援だ。トレーニングパートではAP(アクションポイント)を消費して学園内を散歩しファンを増やしたり、、選手との個別ミーティングを行いチームの結束力を高めていける。確率的に言えばアテにできるものではないが、あと1回しのげればいけそうなのにという所で応援や仲間のサポートを受け、辛くも勝利という手に汗握るシーンは何度か遭遇した。APは余らせても仕方ないので、積極的に使って試合を有利に運びたい。

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チームメイトの結束が強ければ、様々な形で支援を受けられる。勝敗を左右する大事なタイミングに応援をもらうと、先生うれしくて目頭が熱くなります。
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勝てばより多くのAPを取得でき、親睦を深めたり特訓できる回数が増える。

選手と育成方針次第で戦い方はそれぞれ。ランキングもあり

本作はゲーム開始時に難易度をEASY・NORMAL・HARDから選択でき、NORMAL以上ならクリア時にスコアランキングへの参加も可能だ。15人全ての選手とのイベントシーンやセリフをみたいなら、EASYを何度も遊ぶのもよし。スコアを他プレイヤーと競いマネージャとして名を残したいなら、NORMAL以上に挑戦するのもよし。選手との恋愛めいたイベントなどは特になく、「ガールズファイト」での優勝という目的に絞ったシンプルなゲームではあるが、やりこみ要素はそれなりにある。
1ゲーム2時間程度で周回できるので、女子高生と青春の汗を流したいプレイヤーは、この機会にちょっと遊んでみてはいかがだろう。なお見事大会で優勝すれば、とある″オマケモード″が用意されているのでそちらもお楽しみに。