気のあう仲間と遊びたい、ローカルマルチプレイに対応しているモバイルゲーム5選

 

子供のころ、ファミコンカセットを選ぶ基準は「2人同時プレイできるかどうか」でした。誰かと一緒に遊べる作品が大好きで、ゲームに興味を持たない母親を強引に誘って『ソンソン』をプレイした記憶もあります。大人になった今もその気持ちは変わらず、最近であれば『Broforce』や『BattleBlock Theater』がお気に入りです。

iOSやAdnrdoidでも、複数のプレイヤーと一緒に遊べるゲームはたくさんあります。しかし、そのほとんどがオンラインのFPSやストラテジーであるという厳しい現実が立ちはだかるのです。そこで本稿では、あまり注目されないモバイル向けのローカルマルチプレイ対応作品を紹介します。

 


『Heads Up!』 撮影機能付き推測ゲーム

 

 

Heads Up!』は、2003年からアメリカで放送されているトーク番組「The Ellen DeGeneres Show」から生まれた推測ゲームです。配信元は番組制作と同じWarner Bros. Entertainmentで、アメリカのApp Storeでは『Minecraft – Pocket Edition』をおさえて1位をキープし続けています。

遊び方はトレーラーを見ていただくとわかりやすいかもしれません。回答者は頭上にデバイスを置き、ヒントやジェスチャーから答えを考えます。わからなければデバイスを上に、正解すれば下に傾けて次の問題に進みます。テーマは「動物」「有名人」「映画」など、初期状態では7つ用意されており、アドオンを購入すればさらに増えます。また、自分でお題を決められるカスタムテーマもあり、一緒に遊ぶ友人と問題を考えるのも一興です。

『Heads Up!』には、ヒントを与える側のプレイヤーを動画で撮影する機能があります。テーマによっては間抜けな姿が映像で残るため、たとえゲームそのものが盛り上がらなくとも、その場に笑いの残滓が残ることは間違いありません。

 


『Tank of Tanks』 1台のiPadで遊ぶシンプルな戦車アクション

 

 

1台のiPadで最大4人まで参加できる戦車ゲーム『Tank of Tanks』は、フィンランドのインディーデベロッパーOtto-Ville Ojala氏によって生み出されました。彼はローカルマルチプレイに対応したゲーム開発を得意としています。1つのボタンだけで操作するシンプルさと、とにかくほかのプレイヤーを倒してスコアを稼げばいいというわかりやすさは、パーティーゲームとして必要な要件でもあります。

ボタンを押せば直進しながら弾を発射し、離せばその場で回転する仕組みとなっているため、思い通りに操作しにくいというもどかしさがあります。これは悪い点というわけではなく、プレイヤースキルで勝敗が左右されにくいという良い点であり、本作を面白くするための工夫といえます。

 


『PinWar』 思わずデバイスをかたむけてしまう対戦型ピンボール

 

 

PinWar』は、1台のiOSデバイスを使い、2人で対戦できるピンボールです。開発はフィンランドのインディーデベロッパーPrank。対戦とはいっても交代でプレイしてスコアを競うのではなく、エアホッケーのようにボールを打ち合う1vs1の勝負です。

バージョン1.3段階で26台のテーブルが用意されており、どれもが通常のピンボールではありえないデザインとなっています。また、さまざまなパーツを組み合わせてオリジナルテーブルも作成できます。

何人かの友人と勝負しましたが、私もふくめて全員が「相手側にボールが転がるようiPadをかたむける」という行動をとりました。まるでテーブル・フットボールを遊んでいるかのように、物理的な妨害や反則で勝利をつかもうとしてしまうのです。シンプルでわかりやすいルールであるため、ついつい本気でプレイしてしまう……昔懐かしい「2Pプレイヤーに物理攻撃」の発展形です。

 


『Gunslugs』 2人で遊べば盛り上がる2Dアクション

 

 

Gunslugs』は、Orangepixel開発の横スクロール2Dアクションです。操作性もふくめて非常に難度の高い作品でありながらセーブ機能がないため、空いた時間に少し遊ぶというスタイルだと全ステージをクリアするのは難しいかもしれません。

1人でプレイすると、いまいち燃えないというのが正直な感想ですが、2人で協力すれば楽しい作品に生まれ変わります。ローカルマルチプレイを楽しむさいに必要なデバイスは、1台のiPadと2台のiPhone(iPod touch)です。

ディスプレイとなるiPadに『Joypad Game Console』を、コントローラーとして使用するiPhone(iPod touch)に『Joypad Game Controller』をインストールすれば準備完了です。あとは『Joypad Game Console』経由でゲームを起動するだけで、まるで家庭用ゲーム機で遊んでいるような気分を味わえます。操作性が向上するわけではありませんが、いつもとは違った雰囲気でゲームを楽しめる点は特筆に値します。

残念ながらJoypadのオフィシャルサイトは1年以上更新されておらず、対応作品も少ないままです。アプリ自体のアップデートも2012年の12月を最後にストップしており、いずれはiOSのバージョンによって動作しなくなる可能性もあります。賞味期限あり、ご注意ください。

 


『Spaceteam』 宇宙を旅するCo-opサバイバル

 

 

Spaceteam』は、複数のプレイヤー(2~8人)で宇宙船を操縦するシミュレーターです。IndieCade 2013でInteraction Awardを受賞した本作を手がけたのは、UIプログラマーとしてBioWareに7年間在籍した経歴を持つHenry Smith氏。影響を受けた作品は、2008年に発売されたボードゲーム『Space Alert』とのこと。筆者の経験上、もっとも盛り上がったパーティーゲームです。

『Spaceteam』をプレイするには、参加者の数だけ端末とアプリが必要です。近くに無線LANがあればローカルWi-Fi、なければBluetoothを使って遊びます。1台のデバイスだけでは遊べませんので、最低でも1人はパートナーが必要です。クロスプラットフォームに対応(Wi-Fi使用時のみ)していますので、iOSとAndroidの両方が混ざっていても問題ありません。また、初期設定では4人までに制限されていますが、Massive ModeをONにすると最大8人で宇宙船を操縦できます。

ゲームのつくりはとてもシンプルで、宇宙船のコントロールパネルを各自が分担して操作します。遊び方も簡単で、画面に表示される指令にしたがってボタンをON/OFFしたり、"つまみ"を回転させて数値を合わせたりするだけです。本作の目的は「短時間でどこまで進めるか」で、仲間と力を合わせて宇宙を旅する、いわゆるCo-opサバイバルゲームなのです。

本作を遊ぶにあたってもっとも重要なのは、「声を出す」ことです。なぜなら画面に表示される指令は他のプレイヤーが担当する機器に対するものかもしれないからです。たとえばあなたのデバイスに「Set Beta-frame to 0」と表示され、それに該当するスイッチやメーターが見当たらないのであれば、自分以外の誰かに言葉で伝えなければなりません。

指令が表示されれば読み上げる。あとはそれにしたがってボタンを押す。それだけだと簡単すぎると思うかもしれませんが、船内に緑色のスライムが大量発生したり、隕石と衝突してコントロールパネルが破壊されたりと、プレイヤーをパニック状態にさせるギミックがたくさん用意されています。それでも物足りなさを感じるというのもまた事実ですが、多人数で遊べば不満点など忘れてしまうほど盛り上がるでしょう。

 


気のあう仲間と笑いながら遊びたい

 

子どものころと比較すると、誰かの家に集まってゲームを遊ぶ機会は減ってしまいました。完全になくなったわけではありませんが、社会の歯車になればなるほど遊びに割ける時間は少なくなっていくものです。その代わりに、公園や喫茶店など小さなスペースで、モバイルデバイスを使って対戦や協力プレイを楽しむ時間が増えました。ここまでインターネットが普及しているのだから、オンラインで遊べばいいのではないかという声が聞こえてきそうですが、私にとってのローカルマルチプレイの醍醐味は「"楽しい"をその場で共有する」ことなのです。

本稿で紹介した5つの作品は、難しいことを考えずに遊べるものばかりです。友人と顔を合わせて接する機会が多い方は、無料でダウンロードできる『Spaceteam』から試してみてはいかがでしょうか。きっと、いつもとは違った交流を楽しめるはずです。


ゲームはジャンルを問わず遊びますが、1回のプレイ時間が短いものが好きです。FPSやRTSは対戦モノを積極的にプレイします。しかし緊張するとマウスを持つ手が震えるタイプでもあります。