「アイテム課金はもう飽きた」、「ガチャやスタミナのないゲームをしたい」、そして「パズルゲームをやりたい」……『サイコロンブス』はそんなプレイヤーにおすすめできる。プラットフォームはAndroid/iOS。
開発はスタジオ斬。非常に独特な全力疾走ぶりをみせつけた『ライジング ザン ザ・サムライガンマン』を製作したウエップシステムの一部メンバーらが創設したデベロッパーだ。最近ではモバイル向けに太刀筋が読みづらい作品をリリースしているが、2013年8月に発売された『サイコロンブス』は課金なし・スタミナなしのピュアなパズルゲームである。
手強いパズル
『サイコロンブス』は今時のモバイルゲームではめずらしく、プレイヤーの「実力」が試される手強さを秘めた作品だ。正着手表示やステージスキップといった、現在の"本流"からすればお約束の機能も排除されている。序盤のステージこそ簡単だが、後半になるにつれ最高評価の星3(後述)を獲得するのが難しくなる。筆者は攻略するのに5か月かかった。
ゲーム内容はシビアだ。しかしゲームを起動するための精神的障壁は高くない。モバイルゲームでかつアクション性がないため、電車での移動中や職場の休憩時に気軽にプレイできる。筆者が途中で投げ出さずに5か月間プレイできたのはこの点が大きい。据え置き機やPCならば、ここまで継続しなかっただろう。そして繰り返すが本作に課金要素はない(もちろん広告はあるが)。遊びつくした今だからこそ断言できるが、この内容で事実上の無料は破格である。
基本ルールについて
画面内のすべてのサイコロを消せばステージクリア。サイコロには、転がる「赤サイコロ」と、転がらない「白サイコロ」があり、同じ数字のサイコロを3つ以上そろえると消える。画面をフリックすると赤サイコロを転がして移動できる。赤サイコロを転がして上面の数字を変え、白サイコロにあわせて消すのが基本となる。
赤サイコロはすべて同時に動くため、任意の赤サイコロだけを動かすことはできない。だから動かしたくない赤サイコロがある場合、壁や白サイコロで固定する必要がある。下のスクリーンショットのように、全部赤サイコロのステージもある。じつに厄介だ。
赤サイコロの数が足りないときは、白サイコロをステージの端から切りはなして赤サイコロに変化させる。たとえば下のステージでは赤サイコロが1つしかないため、次の赤サイコロを生成しなければ手詰まりだ。この状態で赤サイコロの生成方法は3通りある。
完全攻略への道
ステージでサイコロを動かしたターン数に応じ、星を1~3個獲得できる。最高評価の星3のためには規定ターン数以内でクリアする必要がある。星を一定量獲得すると、新たなワールドが解放される。全部で11ワールド・99ステージ、星は297個ある。
考えなしにサイコロを転がしただけでは星3は獲得できない。サイコロの配置とターン数から手順を推定し、あとは実践あるのみ。一例をあげよう。下のスクリーンショットをごらんいただきたい。ステージの星3獲得ノルマは9ターン以内だが、クリアに10ターンかかっており星2個しか獲得できなかった。悲劇的なケースだ。
最終目標である星297は、まさに開発者からの挑戦状といえる。筆者のプレイでは星280越えに3か月かかり、そこからの2か月間はほとんど悪夢だった。2時間プレイして進捗なしなどざらだ。しかし完全攻略した時のカタルシスは極上であり、いまでは「このゲームをプレイしてよかった」と思っている。
ひとつ注意していただきたいことがある。iOS版Ver. 1.0.2では最終ステージ11-9をクリアした瞬間に強制終了するバグが存在している(Android版は不明)。強制終了しても星獲得情報は残るが、ステージ11-9で星297を達成した場合イベントが見られなくなる可能性がある。
ちなみに、限界まで突き詰めると(おそらく)開発者の想定したターン数未満でクリアできる。開発者を超えた瞬間……嬉さのあまり思わずスクリーンショットを撮った心境は、伝わるかたには伝わるはずだ。蛇足だが、筆者のクリア記録を記事末尾に記載した。ご参考まで。
昔懐かしい熟考型パズル
『サイコロンブス』と類似したタイトルを探すのは難しくない。
まずプレイ画面を見て一番に思い浮かべるのは『XI[sai]』だ。サイコロを転がして、数字をそろえて消す点で共通している。しかし『XI[sai]』の基本モード(トライアル)は「いかにコンボをつなげるか」のアクションパズルであり、「いかに少ないターン数で消すか」の熟考型パズルである『サイコロンブス』とは異なる。それはつまり、『XI[sai]』のパズルモードと『サイコロンブス』はかなり似ているということでもある。
ほかに熟考型パズルとしてすぐに思い当るのは『倉庫番』、『スーパーテトリス2+ボンブリス』のパズルモード、『立体ピクロス』といった昔懐かしいゲームである。これらのタイトル名を聞いて灼熱の思い出が蘇るのならば、『サイコロンブス』を手にとってみて損はない。
"エンディング"の存在
終わりのないゲームが散見される昨今だが、本作には星297という明確な到達点が用意されている。個人的な感覚だが、筆者はエンディングのないゲームをやめるのがつらい。忙しくて断念するにしろ、たんに飽きるにしろ、遊びつくしていないゲームが手元に残りつづけるのが悲しいのだ。だから、最近ではそういったゲーム――つまり終点が定義されていない作品――を意図的に避けるようにしている。
そんな折、『サイコロンブス』に出会えたのは幸運だった。星297という不動のエンディングと、それに至る高難度のパズル達は、筆者の心に「ゲームクリアの達成感」を注いでくれた。この手強さ、満足感を堪能できるゲーマーは読者のなかにもいるはずだ。
ステージ | クリアターン数 / 星3ノルマ |
---|---|
5-5 | 8 / 9 |
5-7 | 29 / 31 |
6-5 | 28 / 29 |
7-1 | 17 / 19 |
7-3 | 11 / 12 |
7-4 | 15 / 16 |
7-5 | 11 / 13 |
7-6 | 6 / 8 |
8-5 | 21 / 22 |
9-7 | 17 / 19 |
10-5 | 17 / 22 |
10-8 | 20 / 22 |
11-2 | 17 / 18 |
11-9 | 33 / 53 |