『Crabitron』 人類を襲う「巨大宇宙ガニ」シミュレーター
『Crabitron』はオーストラリアのインディーデベロッパー Two Lives Left によって開発された「巨大宇宙ガニ・シミュレーター」です。iPad 専用で、iPhone や iPod touch には対応していません。ご注意ください。
プレイヤーは100年に一度のペースで銀河に出現する巨大宇宙ガニとなります。そして人間がカニを食べることをやめさせるべく、同じ目に合わせて思い知らせることが目的です。文にすると少し残酷なテーマにひびくかもしれませんが、ゴア表現は一切ありません。
カニになりきる操作方法
遊び方はとても簡単です。カニになりきればいいのです。合計4本の指を使い、チョキチョキするだけです。私の経験では、人差し指と中指(ピースサイン)で操作すると指に負担がかり疲労を感じたので、なるべく 画像のように親指と人差し指でチョキチョキされることをおすすめします。iPad の画面を傷つけないよう、爪の手入れもお忘れなく。
ハサミで掴んだ宇宙船を直接口に運ぶのもいいですが、私たちが卵の殻を割って食べるように、中身だけを食べるほうがスマートです。両手のハサミを巧みに操り、宇宙船を操縦する人間だけを取り出して食べるようにしましょう。もちろんそのほうが高いスコアを獲得できます。
2人で遊ぶと楽しさ2倍です。好きなあの子と一緒に遊べば自然と手と手が触れ合いそのままカニバサミで……。とにかく楽しい時間を過ごせるでしょう。たぶん。
人類と巨大宇宙ガニの壮絶な戦い
人間たちは無抵抗というわけではありません。ミサイルやレーザービームなど、さまざまな手段で巨大宇宙ガニに立ち向かいます。カニの体は画面の3分の1ほどの大きさなので、攻撃を避けることは困難ですが、頑丈なハサミを使って防ぐことができます。
動画にすると簡単そうに見えるかもしれませんが、攻撃を防ぐことはなかなか難しいです。なぜなら、さまざまな方向から攻撃が飛んでくるからです。そのため、どの攻撃を優先して防ぐかを素早く判断しなければなりません。やみくもにハサミを振り回せばどうにかなりそうですが、腕の部分に着弾するとそのままダメージを受けてしまいます。脱力感あふれるサウンドや可愛いアートスタイルからは“おバカ”な雰囲気が漂っています。しかし、ある程度のプレイヤースキルが求められることから、手抜きのアクションゲームではないといえます。
『Crabitron』には終わりがありません。ひたすら人間たちを襲い続けます。しかし、単調にならないよう複数のゾーンに分かれており、その節目に特殊なステージが登場します。ミサイルの雨が降ってきたり、カニの体内に入り込もうとするインベーダーが出現したりと、それほど多くのパターンはないもののいずれもユニークなステージです。ネタバレになってしまうためスクリーンショットは掲載しませんが、「そんな馬鹿な」と笑ってしまうステージも用意されています。
『Crabitron』の魅力
『Crabitron』最大の魅力は、巨大宇宙ガニのかわいさです。『Surgeon Simulator』ほどではありませんが、ハサミの操作には独特の不便さがあり、それによって思いもよらない小さなアクシデントが発生します。「人類に思い知らせてやる!」と意気込んでも、どうしても間抜けな結果になってしまい、それがなんとも微笑ましいのです。
コインを集めてハサミなどをアップグレードすれば、さらにスコアを伸ばすこともできます。しかし、ゲームを楽しむに際してはハイスコアなんてどうでもいいのです。カニになりきり、必死で指をチョキチョキと動かし、iPad に映る自分の“にやけ顔”を見ているだけで幸せな気分になれます。
もしあなたがこの記事を読みながら、一度でも指をチョキチョキしてしまったのであれば、カニになれる素質をお持ちです。あとは iPad で App Store にアクセスするだけ。価格は300円。
”逆”Kickstarterの試み
『Crabitron』の累計販売本数と売り上げは Crabstarter で確認できます。これは読んで字のごとく Kickstrater をもじった、あるいは揶揄したもの。“reverse Kickstarter”、すなわち逆 Kickstarter を自称しています(ただし登録されているのは本作のみ)。ストレッチゴールは、売上が開発費の10万ドルを超えた先に複数設定されています。また、ご丁寧に PAX Australia 2013 や YOGCAST の効果などもグラフ付きで公開されています。
公式サイトでは、Kinect で操作する『Crabitron』の映像が公開されています。PAX Australia 2014 で披露される可能性もけっして0とは言いきれません。