カワイイだけじゃない、手ごたえ十分のカジュアルTPS『GOCCO OF WAR』のセンソーゴッコで童心にかえる


『GOCCO OF WAR』はpeakvoxが開発を手がける、国産のカジュアルTPS。SteamのGreenlightを通過したのは2015年1月、SteamおよびPLAYISMで11月より販売を開始したばかりの新作だ。その名のとおり“センソーゴッコ”を童心にかえって手軽に楽しめる、というのがウリだが現時点で対人戦の要素は無く、最大8人のパーティメンバーとの協力プレイのみとなっている。

1プレイ15分程度の短さや、デフォルメされたかわいいキャラクターなどの要素から、ゲーム初心者や低年齢層向けタイトルと思う読者もいるだろう。しかし、実際にプレイしてみるとマップの特徴を理解した立ち回りや丁寧なHit & Awayが必要で、腕前に自信があれば力技で無双!とはいかない。やりこみ要素も多く、クエストの難易度次第では初心者からコアゲーマーまで幅広く、一緒に楽しめる作品だ。

 

100年前のセンソーゴッコを体験できる子供の楽園「ゴッコ・スタジオ・ジャパン」

ゲームの舞台は、たぶん日本のどこかにある「ゴッコ・スタジオ・ジャパン(GSJ)」。ホログラムで出現する敵を相手に、100年前の子供たちが遊んでいた“センソーゴッコ”を楽しめるテーマーパークになっており、プレイヤーは来園者という設定だ。各種クエストはパークのアトラクションだと思ってもらえばよい。

いきなり脱線気味で申し訳ないが、この“100年前”が具体的にいつ頃なのか?というのが筆者は気になってしかたない。GSJ内のアトラクションで使う武器は基本的にとても安全なおもちゃと認識されているが、時には相手を気絶させてしまうらしい。一応、現代日本において「気絶までは俺のシマではノーカン」という遊び方は小中学生に許されてはいないので、おそらくもっとずっと未来の日本の話だろう。お子さんのいる読者は安心してほしい。

GSJはテーマパークなので大人の係員もちゃんといる。が、契約社員は子供にも呼び捨てにされるのかと思うと、100年後の格差社会に胸が痛む。
GSJはテーマパークなので大人の係員もちゃんといる。が、契約社員は子供にも呼び捨てにされるのかと思うと、100年後の格差社会に胸が痛む。
ゴーグルもフェイスマスクも不要のサバイバルゲームだと思えば、お子様に安全なセンソーゴッコと言えなくもない……かも。
ゴーグルもフェイスマスクも不要のサバイバルゲームだと思えば、お子様に安全なセンソーゴッコと言えなくもない……かも。

操作はシンプルかつ簡単。パッドとキーボードどちらでも全く問題なく遊べる。FPS/TPSの経験があれば移動や攻撃、ジャンプといった基本操作は特に説明を読まなくても直感でプレイ可能なはずだ。キーのカスタマイズにもきちんと対応している。

プレイヤーはログイン後まずロビーに入り、NPCから遊びたいクエストと難易度をイージー・ノーマル・ハードから選択。基本的に最大4人で挑戦する共闘モードなので、他プレイヤーのパーティに入りたければ、掲示板を覗くと現在メンバー募集の一覧を確認できる。イージー・ノーマルまでは2~3人でもちょっと頑張ればクリアは可能。ただし、見た目がかわいいからといって侮ると、あっというまにゲームオーバーだ。

『GOCCO OF WAR』はパッドに完全対応。キー操作でも特に不自由することは何もない。
『GOCCO OF WAR』はパッドに完全対応。キー操作でも特に不自由することは何もない。
クエスト難易度で変わるのは報酬の金貨のみで、アイテムドロップ率は体感できるほど差がない。
ククエスト難易度で変わるのは報酬の金貨のみで、アイテムドロップ率は体感できるほど差がない。

防衛、殲滅、アトラクションのバグ探し手伝い、迷子のお子様誘導などなどクエストの種類も豊富に用意されている。

『GOCCO OF WAR』の特徴の1つは“エア”システムにある。GSJ内は“エア”と呼ばれる不思議なエネルギーで多くのものが稼働しており、攻撃や回避行動の1つ1つ、アトラクションでのドアの開閉など、すべてにエアを消費する。エアが空っぽになれば当然攻撃はできず、一時的にキャラクターは足が遅くなる大きなデメリットがあるのだ。

エアは一定時間で全回復するほか、マップのあちこちに落ちているカプセルを拾えば回復していくが、数には限りがあるし意外にエアの消費は早い。特に難易度ハードになると、ひたすら撃ち続けるのは難しく、Hit & Awayはもちろんプレイヤーがお互いフォローし合わねばクリアは難しい。「シューティングが得意なプレイヤーが一人で大暴れして、なんだかわからないうちに終わっていた」ということが無く、ゲームが進行するにつれ協力プレイの必要性もより高まっていく点はカジュアルゲームだからこそ、高く評価したい。

次のステージへ移動する際のドアも、ゴーカートならぬエアカートもGSJではすべてが“エア”エネルギーで稼働。なお、途中で気絶したメンバーを起こすのにもエアを消費する。

また、本作は特にストーリーと呼べるものは存在しないが、アトラクションにはモンスター以外に、乱暴な遊び方で迷惑なガキ大将、広い施設内で迷った小さなお子様といったNPCがたびたび登場。時にユニークな会話で楽しませてくれるので、会話はスキップせずにぜひ一度は読んでほしい。

正直、この子たちの将来が心配でならないのは筆者だけだろうか。ゲル大佐にいたってはがんがん撃ちまくって根性を叩き直してあげたくなる。

 

武器の強化、バッジシステム……やりこみ要素は十分

新たなクエストがアンロックされ、難易度を上げていくたびにプレイヤーは「今の武器ではパワーが足りない」と感じるはず。ロビーのSHOPではさまざまなタイプの新武器が販売されているものの、どれもそのままでは大差ない攻撃力だ。『GOCCO OF WAR』ではプレイヤーキャラクターにはレベルやステータス値の概念がなく、武器の強化とバッジの2つによって強いキャラへと育てていく。モンスターからのドロップ、クエスト中にまれに出現する宝箱から出る素材を使い武器をレベルアップ。クエストクリア時の報酬で入手可能なバッジにはランクとランダム効果が付与されている。もちろんランクの高いバッジほど良質だが、中には最大HPの大幅上昇と引き換えに属性耐性にマイナス補正など効果はさまざまだ。

武器をかえれば当然強化はやり直し。クエストにあわせて装備するバッジを交換したり、どれを自分のメイン武器にしていくか悩むのも楽しみの一つだ。

ヘッドショットはシステム的に無いが、武器ダメージに距離減衰はある。戦闘スタイルがかなり変わるので、まずは自分好みの武器を見つけたい。
ヘッドショットはシステム的に無いが、武器ダメージに距離減衰はある。戦闘スタイルがかなり変わるので、まずは自分好みの武器を見つけたい。
バッジの効果はランダムなので、気に入らないステータス補正はNPCに販売して金貨にしてもよい。
バッジの効果はランダムなので、気に入らないステータス補正はNPCに販売して金貨にしてもよい。

 

かわいいは正義!と言いたくなるキャラ造形と豊富なファッション

と、ここまで直感で操作可能な遊びやすさ、シンプルだがやりこみ要素もあるゲームシステムなどを紹介してきたが、『GOCCO OF WAR』真の魅力はそこではない、アバター要素にある!と声を大にして筆者は言いたい。
クエストで獲得する素材は、武器の強化やお金にかえるだけではなく「合成システム」でファッションアイテムを生産でき、その数なんと350種類。ミニスカートや花柄の麦わら帽子、制服風ジャケットといった服装はちびキャラによく似合う。服にステータス値は一切ないがランクがあり、先述のバッジを装着するスロット数に影響するが、こちらも武器同様に強化すればランクアップは可能。キャラの見た目にこだわりたい、強さを求めて気に入らない装備をつけたくないというプレイヤーには嬉しい仕様だ。また、生産したファッションアイテムは「図鑑」に登録されるので、実績解除や図鑑を埋めるのが好き……というタイプにももってこいである。

キャラ造形は、フィギュアの「ねんどろいど」を思い出させる2.5頭身で、クセがなく男女とも愛らしい。髪型とフェイスパターンをゲーム内で後から変更も可能なのも、服装にあわせてチェンジできるので嬉しい仕様だ。
キャラ造形は、ちょっとフィギュアの「ねんどろいど」を思い出させる2.5頭身で、クセがなく男女とも愛らしい。髪型とフェイスパターンをゲーム内で後から変更も可能なのも、服装にあわせてチェンジできるので嬉しい仕様だ。

あれこれ合成して組み合わせたくなる、キュートなデザインのファッションアイテム。今回一番気合を入れてスクリーンショットを撮影したかもしれない。帽子の色・柄パターン違いの種類がやけに多かったので、個人的にはもう少し水着やワンピースといったアイテムにも力を入れてほしい。本当に個人的なお願いだが……。

アイテムの合成前に完成品を教えてくれるので、素材を無駄に消費する心配もない。
アイテムの合成前に完成品を教えてくれるので、素材を無駄に消費する心配もない。

『GOCCO OF WAR』はカジュアルよりではあるものの、協力プレイのシューティングとしてはバランスよくまとまった初心者にもおすすめしやすい作品と言える。オンラインで見知らぬプレイヤーと組むのもよし。友達同士の4人で始めればワイワイにぎやかに遊べること間違いない。

1点だけ残念なのは、クエスト数が少なくコンテンツ消費が予想より早いことだ。1月21日のアップデートで新たに最大8人で遊べる殲滅クエストが追加されたが、それでもちょっぴり物足りなさを感じてしまう。今後どの程度のスパンで新クエストを実装できるのか、開発にはぜひとも期待したい。

無料の体験版も用意されているので、この機会にぜひ試してみてはいかだろう? なお体験版と製品版ではサーバーが完全に異なり一緒には遊べないので注意してほしい。