さらなるゴア描写を求めて――Brutal DOOMで彩る『DOOM』の世界

去るE3 2015にて完全新作である新生『DOOM』が発表されて久しいが、そのほかにも今年全世界のDOOMERが歓喜したニュースがもう一つある。そう、「Brutal DOOM V20」のリリースである。DOOMERはもちろん、ゴア描写を愛するすべてのゲーマーたちよ、共に血みどろになろうではないか。

去るE3 2015にて完全新作である新生『DOOM』が発表されて久しいが、そのほかにも今年全世界のDOOMERが歓喜したニュースがもう一つある。そう、「Brutal DOOM V20」(以下、BD)のリリースである。

『DOOM』の大きな魅力の一つである「残虐性」を全面にフィーチャーし、あらゆる要素をブラッシュアップしたこのWAD(WADとは平たく言えば『DOOM』の拡張プログラム。基本的に誰でも制作可能であり、敵・武器,マップなどゲームのありとあらゆる要素を変更することができる。そして当作品誕生から今日に至るまで数多くのWADが制作され、軽い宇宙並みの量とまで言われる)は瞬く間に筆者を含む多くのプレイヤーを魅了。デーモンやゾンビの内蔵をぶち撒けようと地獄と化した火星へ飛び込んだのであった……。

というわけで本稿ではこのBDをベースに、本作が100倍楽しくなるいくつかのWADを紹介する。これらを使えばあなたの『DOOM』もより一層(主に赤く)彩られるだろう。

本来シューティングゲーム、とりわけFPSが持ち得る魅力。それは敵の攻撃を「避け」そして自らの弾丸を敵めがけて「撃つ」ことにあると言える。『DOOM』はそんなFPSの要素を初めてにして究極に突き詰めたゲームだ。そしてBDは『DOOM』をより残虐に、過激に進化させ、そして何より敵を倒し続けるという行為に麻薬的な爽快感を与える。BDとの比較もかねて、通常版『DOOM』のスクリーンショットを掲載しておく。

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一見すると、ひたすらに敵を倒し続け出口を目指す、ただそれだけのゲームに見えるかもしれない。とくに未プレイの方は、「なんだか古臭くて面白くなさそう」と思うかもしれないが、そのままこのゲームを捨てるのはあまりに早計であり、惜しい。

 

Brutal DOOM

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まずBDを起動し、エピソード1のステージ1をプレイしただけでもその血生臭さはハッキリと分かるはずだ。まず何も考えず初期装備のライフルをザコ兵士に発射してみてほしい。尋常じゃないほどの血しぶきを上げてその場に倒れこむだろう。各敵キャラクターにつき一種類しかなかった死に様が大幅に増加したのである。ショットガンを近距離で当てれば頭が粉々に吹き飛び、チェーンソーで切り刻めば敵は縦にも横にも真っ二つになり、チェーンガンを敵集団に掃射すれば肉片と赤い霧が大量生産されるという具合だ。

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さらにBDには「フェイタリティ」のシステムが搭載されている。「モータルコンバット」でお馴染みの、敵にトドメをさすアレである。一度パワーアイテムを取って敵に拳を当てれば発動するお手軽仕様で、その演出も多種多彩の豪華絢爛仕様だ。すべての技をあげるとキリがないのだが、どの技も残虐度マックスの肉片が乱れ咲く酸鼻極まるもので、元ネタをパロった技もあるのでファンの方はこれだけでもプレイする価値は十二分と言える。おまけにフェイタリティを決めると自分の体力が多少回復するので、ゴア描写が好きな人にとってはプラスにしかならないと断言しよう。とはいえ調子に乗って「北斗の拳」よろしく己の拳で世紀末覇者を目指すとあっという間にボコボコにされるので気を付けよう。

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もちろん敵もやられっぱなしではない。プレイヤー自身の死に様、“逆フェイタリティ”も進化した。うっかり強酸のエリアに居続ければ骨も残らず溶けるし、大型の敵に近づけば踏み潰され、ピンキーデーモンに最後の一撃を喰らえばプレイヤーの死体は餌になってしまう。

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こういった演出面だけでなくFPSとしての要素も大幅な進化を遂げている。武器はほぼ全てパワーアップしており、初期武器のアサルトライフル(原作のピストルから変わっているが戻すことも可能)と数個のグレネードでしばらく進めてしまうことも可能なのだ。

また、BD独自の演出としてキックがある。ダメージを与えるだけでなく敵をひるませることができる優れものだ。パワーアップアイテムを取れば蹴りの威力も上昇し、正に一蹴することができるようになる。首から血を吹き出しもがいている敵に飛び蹴りを食らわせたときの爽快感は、本作屈指のアドレナリンポイントである。そしてFPSにおける戦術的に重要な要素「ヘッドショット」も当然のように搭載しており、頭にヒットさせれば2倍のダメージが与えられる。うまくいけば素早く敵を倒せ、弾薬の節約にもなる。敵の群れを相手取る際に非常に有効な戦術になりうるのだ。

ただし敵の攻撃力も軒並み上昇し、雑魚敵でも数が集まれば簡単にプレイヤーも死亡してしまい、ボスともなれば一撃で手遅れの致命傷になってしまうほど。「やられる前にやる」というFPSの緊張感と戦略性、そしてオールドスクールならではの敵を倒すことに本質を置くゲーム性が合わさり、Brutal DOOMという傑作が生まれたのである。

BDはあくまでシステムそのものを変えるため、その要素を含んでいない(単純にステージのみを変えるなど)WADと組み合わせることが可能で、このゲーム自体に飽きが来なければ世界中のDOOMERが作った星の数にも勝るとも劣らないほどの地獄へ行き続けることができるのである。単純に敵の数を増やしたものからDLCとしか思えないほど凝った作りの作品まで多種多様なので、ぜひ自分にあった物を見つけてほしい。導入方法は極めてシンプルで、必要な物は以下のとおり。

  • 『DOOM』本体
  • DOOMエンジン(有志によって制作された改造エンジン。原作にさまざまな改良を加え、快適にプレイができるようにしたもの)
  • WAD管理ランチャー(必須ではないがあると便利)

まず何かしらのDOOMエンジンをダウンロードし(ほぼ全てのエンジンは無料)、そのフォルダにDOOM本体とWADを入れ、設定テキストなどに使用するWADの項目があるのでそこに追加するだけである。そんな暇も惜しいほど血に飢えているという人は、WADを一括で管理できるランチャーソフトもあるのでお試しあれ。

DOOMエンジンでオススメなのは「GZDoom」である。ほぼ全てのWADに対応しており、高解像度化などの細かな設定もできるためかなり使い勝手がいい。

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さらに冒頭で述べた『DOOM』を100倍楽しくするWADを以下で紹介しておく。まず、既にBD自体を進化させたWADもいくつか誕生している。その中でもおすすめなのが「Project Brutality」(以下、PB)だ。このWADはBDに新たな性能の武器、さらに攻撃力や技やプレイヤーへのアプローチが嫌らしくなった敵、血しぶき50%増量のフェイタリティを追加したいわゆるアップデートバージョンであり、筆者個人の考えではこれが完全版Brutal DOOMであると断言する。新要素が加わっただけでなく本来のV20もプレイできるので今から始める人は迷わずこのWADをプレイすることを切に推奨したい。

このPBをよりホラー寄りにするWAD「Fearrific」も忘れてはならない。なんとほぼ全てのテクスチャーを書き直しているというとんでもなく気合の入った代物で、全体的に風景がオドロオドロしく、ドス黒くなっている。さらに画面はより暗く、モンスターはより素早くなっているため、油断すると背後にモンスターの影が……なんてことも珍しくなくなる。クリア画面のBGMが基地にいた兵士の断末魔に差し替わっているなど芸が細かい。

また視覚効果なども当然のごとく変更可能で、ビジュアル的な表現ですすめたいWADが「Nice Blood on the Walls」である。このWADは壁や天井に血や内臓が飛び散った際、染み付き、さらには滴り落ちてくるようになるもので、敵を大量に倒せば血と“もつ”が雨のように降り注ぐのだ。一層の出血大サービスが楽しめるほか、そういったゴア要素を抜きにしても単純に描写がリアルになるので臨場感たっぷりである。

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「主人公はヘルメットをかぶっているのになぜこんな視界なのか」という方のために「Ultimate DoomVisor」がある。これを使えば古臭いUIがスタイリッシュなバイザー画面に早変わり。武器やアイテムなども格段に見やすくなっている、カッコよさ及び利便性を兼ね備えたクオリティの高い名WADだ。ちなみに、本稿で掲載しているスクリーンショットのほとんどは、「Ultimate DoomVisor」を使用した状態のものである。

いかがだろうか。ここまでの紹介でプレイしたくなった血みどろゴアゲーマーの諸君は、Steamで3桁で購入できる『DOOM』のセットパッケージを購入していただきたい。原作に慣れっこの老練シューターも、名前しか聞いたことがなく敬遠している平成ルーキーも初心に帰って新生『DOOM』の発売前に本作をプレイしてみてほしい。共に筋骨隆々のワンマンアーミーを駆り、ダブルバレルを振り回しながら地獄から脱出しようじゃないか。

Kenji Baba
Kenji Baba

中学生のころ「モータルコンバット」に出会い、そこからはただひたすらゲームにゴア描写を求め続け、気がつけばチェーンソーが武器一覧にあればテンションが上がる特殊なゲーマーになってしまいました。もちろんゴアがないゲームもやります。アクション/箱庭/FPS・TPSが大好物です。ゲームに大切なのは、1.爽快感 2.中毒性 3.操作性の良さをモットーに、日々自分にあったゲームを暗中模索。ほかの趣味は音楽鑑賞で、病的に聴きます。

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