元『Apex Legends』開発者の新作PvPレイドシューター『ハイガード(Highguard)』は『Apex』風味ありつつ全然違う「ガチンコ攻防ゲーム」だった。謎の新作を解き明かす

Wildlight Entertainmentは1月27日、PvPレイドシューター『Highguard』を配信開始した。具体的なゲームシステムやルールを紹介しつつ、本作を貫く「押し引き」の手触りについて掘り下げていく。

Wildlight Entertainmentは1月27日、PvPレイドシューター『Highguard』を配信開始した。基本プレイ無料で、対応プラットフォームはPC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S。本作は昨年末の「The Game Awards 2025」にてサプライズ的に発表されたものの、具体的なゲーム内容は長らく伏せられてきたが、このたびついにリリースを迎えた。

そんな本作に実際に触れてみて印象的だったのは、想像以上に“動的”なゲーム構造だ。馬に乗って敵を追い回す鬼ごっこのような時間があるかと思えば、次の瞬間には壁を挟んで押し合いへし合いするタクティカルシューター的な攻防へと移行する。ジャンルやルールの重心が、試合中に次々と切り替わっていくようなドタバタ感が、本作の大きな特徴だ。

そうした目まぐるしい展開の中で一貫していたのが、サッカーやラグビーのように攻守が頻繁に入れ替わる「押し引き」の感覚である。有利に見えた局面が一瞬で覆り、逆に追い詰められた側が粘り強く耐え、流れを引き戻す。プレイした試合はいずれも、勝敗へ一直線に進むのではなく、主導権が何度も行き来しながら進行していった。『Highguard』は、撃ち合いの爽快感以上に、「押すか引くか」を選ばされ続ける駆け引きが主役の体験だった。

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本稿では、『Highguard』の具体的なゲームシステムやルールを紹介しつつ、本作を貫く「押し引き」の手触りについて掘り下げていく。


目まぐるしく攻防が切り替わる、バリアブレーカー争奪戦

『Highguard』は、3対3のチームで争うPvPレイドシューターだ。プレイヤーは魔法と銃を操る戦士「ワーデン」として、神話に彩られた大陸の支配権を巡って争う。開発を手がけるWildlight Entertainmentには、『Apex Legends』や『Titanfall』に携わったスタッフが在籍しており、『Highguard』でもスピーディな銃撃戦が展開される点は特徴のひとつだ。

ただし本作の大きな特徴は銃撃戦とは別の部分にある。もっとも印象に残ったのは、試合中にルールや進行の重心がリアルタイムで変化し、強制的に押し引きが生まれる構造だ。各試合の最終目的は、敵チームのベースに攻め込み、HPを100から0にして破壊すること。そのための手段はいくつか用意されており、試合は複数のフェーズを経て進行していく。

試合開始直後は準備フェーズとなり、プレイヤーは拠点の壁を補強したり、フィールド内の宝箱から装備を集めたりしながら戦力を整える。探索や射撃の手触りは『Apex Legends』に近いものの、いつでも騎乗して高速移動できる「マウント」や、リズミカルに斧を振ることで効率よく資源「ヴェスパー」を採掘できるシステムなどが快適さやアクセントを加えている。なおヴェスパーについては消費して装備を購入することも可能だ。

試合が大きく動き出すのは、開始からおよそ3分後に出現する「バリアブレーカー(バリア破壊装置)」を巡る争奪戦だ。通常、敵ベースはバリアで守られているが、バリアブレーカーを運び込み設置することでバリアを破壊し、ベースに直接ダメージを与える「レイド」が開始される。バリアブレーカーが出現した瞬間に、試合の重心は探索や準備から、追跡と逃走へと一気に移行する。

バリアブレーカーには使用可能な時間制限があり、その位置は常にマップ上に表示される。運搬する側は急いで敵ベースへ向かう必要があり、阻止する側はそれを追いかけるか、あるいは先回りして待ち伏せる判断を迫られる。マウントに騎乗したまま射撃することも可能だが、速度が上がる分エイムは不安定だ。腰を据えて撃つか、多少精度を犠牲にしてでも追うか。味方を待つか、単独で突っ切るか。単純な撃ち合いだけではなく、状況判断が常に問われる設計だ。

レイドが始まらず時間切れになると「オーバータイム」に突入し、一時的に全員がリスポーン不可となる。たとえば、こちらが3人、敵チームが1人という数的有利の状況でありながら、敵が精密な狙撃で前線を守り切り、そのままオーバータイムを終わらせる場面もあった。人数差だけでは押し切れず、主導権が何度も入れ替わる様子は、サッカーやラグビーといったスポーツの攻防を思わせる。敵の銃撃がかすめる中をマウントのダッシュで振り切り、バリアブレーカーを打ち込めた瞬間は、試合中盤にもかかわらずガッツポーズをしたくなるほどの高揚感があった。


壁破壊とリスポーン制限が、緊張感を途切れさせないレイド

バリアブレーカーを設置してレイドが始まると、ゲームはフィールドを駆け回る展開から、ベース内部でのタクティカルな攻防へとシームレスに移行する。レイド開始時点で敵ベースのHPは30削られ、さらにベース内に存在する2つのジェネレーターに爆弾を設置して破壊すれば、それぞれ35ずつHPを減らせる。最奥部にある「楔石」を破壊できればHPが100減少し、その時点で勝利が確定する。つまり1回のレイドでジェネレーター2基、あるいは楔石の破壊まで完了すれば、一気に勝ち切ることも可能な設計だ。

もっとも、プレイする限りでは一度のレイドで勝敗が決することは少なかった。ベースのHPが残りわずか5という状況で爆弾を設置されながらも、爆発まで残り1秒で解除に成功し、防衛に転じる場面も見られた。数値上は敗北寸前であっても、最後の一瞬まで押し引きが成立するバランスが、レイドの緊張感を保っている。

このスリルを下支えしているのが、破壊可能な壁と、攻撃側にのみ課されたリスポーン回数の制限だ。ベースにある壁の多くは銃撃や近接攻撃で破壊でき、ロケットランチャーやブラストハンマーといった、壁破壊に特化した「レイドツール」も用意されている。攻撃側はどこから、どのように侵入口を作るのかを考える必要があり、防衛側は壁の修復や補強でそれに対抗する。破壊の自由度は『バトルフィールド』シリーズや『レインボーシックス シージ』ほど高くはないものの、チームごとに選択するベースの種類によって構造や導線が異なるため、攻め方の選択肢は決して少なくない。

さらに、1回のレイド中に攻撃側が復活できる回数はチーム全体で6回までと制限されている。無計画に突撃すれば、それだけでレイドが失敗に終わることもある。一方の防衛側も、敵のリスポーン回数を削るために前に出るか、確実に拠点を守るかという判断を迫られる。攻める側にも守る側にも、それぞれ異なる「押しどころ」と「引きどころ」が用意されているのだ。

一方で、レイド時の攻防については、初見では攻撃側の戦略がやや窮屈に感じられる部分もあった。レイドはバリアブレーカーを設置した地点を中心にバリアが破られるため、侵入できる範囲は比較的限定されており、視界外から大胆に回り込む動きは成立しにくい。結果として、正面からの撃ち合いに収束する場面も少なくなかった。

選択するベースによっては上下に導線が分かれていたり、バリアに小さな穴を開けて侵入口を確保する「バリアスプリッター」といった補助アイテムも用意されているため、戦術やマップ構造の理解が進めば状況は変わる可能性がある。ただ、混戦やカオスがもう一段欲しいと感じたのも正直なところだ。バランスの取れた押し引きが成立しているからこそ、その幅が広がれば、試合の表情はさらに豊かになるだろう。


戦況の「動かし方」が異なるワーデンたち

『Highguard』には、それぞれ異なるパッシブ、アクティブ、アルティメットスキルを持つ8人のワーデンが登場する。プレイを通して感じられたのは、ワーデンごとに戦況への関与の仕方が大きく異なる点だ。誰か一人がすべてを解決するのではなく、それぞれが違う形で押し引きに関与し、局面を動かす役割を担っている。

たとえば突撃タイプの「アティカス」は、前線を押し広げる存在だ。範囲攻撃の電撃を放出する槍で敵を殲滅しつつ動きを止めることで、包囲網の正面に風穴を開ける。攻めあぐねていた状況でも、アティカスが前に出ることでチーム全体が動きやすくなる感触があった。

そして偵察タイプの「コンドル」は、より間接的に攻防を支える。索敵能力によって敵の位置を共有できるため、挟撃や回避といった判断が取りやすくなる。バリアブレーカーの運搬やレイド時には、戦略の精度そのものを高めてくれる存在だった。

本作独自の役職である“破壊”タイプのワーデン「レッドメイン」にも可能性を感じた。鉤爪による攻撃や、アルティメットスキルの咆哮によって壁を破壊できるため、正面の撃ち合いとは異なる角度から局面を揺さぶれる。決定打には至らなかったものの、噛み合えば戦況を大きく変えうる手応えがあった。

ほかにも、巨大な氷の怪物に変身できる「カイ」や、コンカッショングレネードを投げる小悪魔を召喚する「ウナ」など、個性的な能力を持つワーデンが揃っている。これらの能力は単なる火力や奇抜さに留まらず、前に出るか、一度引いて立て直すかといった判断そのものに影響を与えるものが多い。すべてのキャラクターを試すことはできなかったが、ワーデンの組み合わせ次第で、試合中の押し引きのリズムが大きく変わる余地は十分に感じられた。


押し引きを主役に据えた、「ちょうどいい」ヒーローシューター

『Highguard』は、見た目だけでは体験の輪郭が掴みにくいタイトルだ。しかしプレイを通して浮かび上がってきたのは、撃ち合いの巧さだけで勝敗が決まるゲームではなく、攻めと守りの判断を何度も迫られる、“押し引き”を軸にしたPvPシューターの姿だった。

バリアブレーカーを巡る疾走感のある争奪戦、レイドのスリリングな攻防、それらがシームレスにつながり、試合中に強制的にかき混ぜられる戦況。役割やルールの重心がリアルタイムで移り変わり、ジャンルが切り替わっていくような感覚は、本作ならではの手触りだろう。有利不利が固定されず、最後まで緊張感が保たれる体験は、見た目以上に独自性のあるものだった。

一方で、その押し引きが常に最大限に発揮されているかというと、まだ発展途上に感じられる部分もある。フィールド構造や攻めの導線には、より混戦や大胆な逆転が生まれる余地が残されているように思えた。ただし、目指す方向性自体は明確であり、調整や拡張によってさらに化ける可能性を秘めている。

『Highguard』は、強烈な革新性を前面に押し出す作品ではないかもしれない。しかし、カジュアルすぎず重すぎない絶妙なラインを保ちつつ、押すか引くかを考え続けさせる設計には確かな個性がある。今後、この押し引きがどこまで磨かれていくのか、注目したい。

『Highguard』はPC(Steam)およびPS5/Xbox Series X|S向けに基本プレイ無料で配信中。

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Yusuke Sonta
Yusuke Sonta

『Fallout 3』で海外ゲームに出会いました。自由度高めで世界観にどっぷり浸れるゲームを探して日々ウェイストランドをさまよっています。

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