『V Rising』正式リリース版先行プレイ感想。吸血鬼建築サバイバルの攻略自由度と快適さがぐっとアップし、新規も既プレイヤーも始めやすく沼にハマりやすく
デベロッパーのStunlock Studiosは5月8日、長らくアーリーアクセスを続けていた吸血鬼が主役のオープンワールド・サバイバルクラフト『V Rising』をバージョン1.0として正式リリース予定。対応プラットフォームはPC(Steam)。
弊誌はStunlock Studiosより正式リリースに先がけて本作をプレイする機会をいただいた。一足先にバージョン1.0の本作をプレイしてきたので、本稿では『V Rising』がどのような変化を遂げるのかを紹介していこう。
『V Rising』とはどんなゲーム?
まずは本作の既存要素をおさらいしておこう。本作は、ダークファンタジー仕立てのオープンワールド世界「ヴァルドラン」を舞台とする見下ろし型視点サバイバルゲームだ。人類の手によって滅びの寸前まで追い込まれ、長らく眠りについていたヴァンパイアが主人公となる。なお本作はマルチプレイに対応しており、いずれかのオープンサーバーに参加するか、フレンドを招待できるクローズドサーバーを立てることでゲームを開始できる。
ゲームプレイは『ディアブロ』シリーズなどに代表されるような見下ろし型アクションとして繰り広げられ、クールダウン制のスキルなどを駆使して戦うことになる。そんな本作をユニークにしている大きなポイントのひとつは「陽の光」。昼のあいだ世界を照らしてくれる陽光はヴァンパイアにとって天敵で、しばらく浴びていると大ダメージを受けてしまう。また定期的に血を飲むこともヴァンパイアにとって不可欠。強敵の血を飲めば強力なバフを得られるものの、時には雑魚敵の血で飢えをしのぐ判断も必要となる。
そして本作には建築要素が存在する。所持品の重量制限がなかったり、ひとつの作業台に複数人が同時にアクセスできたりと、一般的なサバイバルクラフトゲームで不便になりがちな要素が撤廃されている点は本作の持ち味だ。普段クラフト系ゲームを遊ばない人でもスムーズに自分の城を築くことができるだろう。
一方でより新しいクラフト技術をアンロックするためには「Vブラッド」という強敵に立ち向かわなければならない。戦闘用の準備を備え、拠点を離れて冒険に出発。血を飲んで飢えをしのぎバフを得ながらVブラッドを倒し、自身や拠点を強化していくゲームサイクルとなっている。
攻略がより自由で快適に
そんな本作は5月8日についに正式リリースを迎え、バージョン1.0アップデートが実施される。同アップデートではさまざまな新要素や変更点が実装予定となっている。本作のバージョン1.0をプレイしてもっとも強く感じた点は「攻略の自由度・快適さの向上」だ。そして攻略を進めた先に待つエンドコンテンツも充実しており、“沼にハマる”までしっかり導いてくれる作品になっていた。
まず攻略の自由度を上げているのが、バージョン1.0アップデートで刷新されたアビリティシステムだ。従来の本作では、倒したVブラッドに対応したアビリティを獲得できるシステムだった。一方で本アップデートでは、Vブラッドごとに対応する流派のスペルポイントを獲得できるようになった。
各スペルポイントでは、それぞれの流派・ランクのスペル(アビリティ)の中から任意のスペルを選んで開放していく方式となっている。これにより特に序盤では獲得できるスペルの幅が拡大。序盤からビルドの自由度高く攻略を進められるだろう。また初心者にとっては、どのVブラッドを倒してどのスペルを獲得すればいいのかといった迷いも生じにくく、シンプルに攻略を進められるようになっている。
さらに注目の変更点として、自身の居城をほかの場所に丸ごと引っ越しすることが可能となった。これにより序盤エリアに作った拠点であっても、ストーリーの進行に応じてすぐさまほかのエリアに移すことが可能。より快適に攻略を進められるだけでなく、公開サーバーにおいて「序盤エリアにほかのプレイヤーの拠点が密集して新たに作れない」といった事態も少なくなるだろう。いわゆる野良でもオンラインサーバーで攻略を進めやすくなるはずだ。
そうした攻略に新鮮さやスムーズさをもたらす新要素は、サバイバルクラフトながらもサクサクと進められる本作の持ち味と噛み合っている。自分の城を築き上げつつ、Vブラッドを迷いなくどんどん倒して攻略していけるゲームサイクルになったといえるだろう。
作品の持ち味が強化された傍らで、エンドコンテンツも充実を見せている。まず本アップデートでは新エリアとして「モルティウムの遺跡」が実装。東の寒冷地にある荒れ地であり、ドラキュラの軍勢が眠る土地だ。ドラキュラとは、作中世界におけるかつての暴君である。
モルティウムの遺跡では、そんなドラキュラに仕えた軍勢や将軍たちを相手に死闘を繰り広げるレイドバトルのようなコンテンツに挑むことになる。クリアによりシャドウシャードを獲得。これを消費して商人からアーティファクトの欠片を購入したり、新たな作業台「地獄の目覚めの祭壇」にてパッシブアビリティをアンロックしたりすることが可能だ。そして注目したいのは、パッシブアビリティのアンロック状況がクラン全体で共有される点。協力プレイの一体感や旨味が増すエンドコンテンツとなっている。
ほか、バージョン1.0では『悪魔城ドラキュラ』シリーズとのコラボレーションが実施されるなど、さまざまな新要素・調整が用意されている。またバージョン1.0ではグラフィックの強化・最適化がおこなわれ、より精細にヴァルドランの地が描かれるようになった。そしてかねてより告知されていたとおりゲームエンジンもアップグレードされたとみられ、最適化の甲斐もあってかパフォーマンス面も向上していた印象だ。筆者は先行プレイ時にグラフィックボードとしてGeForce RTX 2060を搭載するPCでプレイしたが、問題なく快適に遊ぶことが可能であった。
多彩な新要素と共に正式リリースを迎える『V Rising』。自由度と快適さを増したゲームサイクルにより、新規プレイヤーはもちろん、早期アクセス中にじっくり遊んだプレイヤーにもおすすめできる内容となっていた。パッシブアビリティのアンロックなど協力プレイでエンドコンテンツに挑む楽しみも増しており、フレンドを誘い合って入門してみるのもいいだろう。
『V Rising』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中で、5月8日に正式リリース予定だ。またPlayStation 5向けにも年内のリリースが予定されている。