GIGABYTEの新型ゲーミングノートPC「G6X 9KG-43JP854SH」は高コスパなのにパワーあり。今年からの新機種をゲーマー目線でチェック

GIGABYTEは2月17日、「G6X」シリーズのゲーミングノートPC「G6X 9KG-43JP854SH」を発売した。本稿では、同機の実際の使用感とパフォーマンスについて紹介する。

GIGABYTEは2月17日、「G6X」シリーズのゲーミングノートPC「G6X 9KG-43JP854SH」を発売した。本製品は、ゲーミングノートPCとしてはコストパフォーマンスに優れたエントリー向けの製品となっている。

「G6X」シリーズは、GIGABYTEが2024年に新たに打ち出した新ラインナップだ。同社からはゲーミングノートPCとして銘打ったフラグシップモデルの「AORUS」シリーズが展開されている。そんなGIGABYTEから新たに登場したゲーミングノートPCであるG6Xシリーズは、ラップトップ向けGeForce RTX 40シリーズGPUおよび第13世代Intel Core i7 HXプロセッサを搭載し、「854SH」では市場想定価格を税込20万5000円と推定。コストパフォーマンスに優れたエントリー向けの製品としての立ち位置だという。

しかし、実際のところ、エントリー向けのノートPCがどれほどの性能を発揮できるのか。ゲーマーであるほど、ノートPCでゲームをプレイすることに対して懐疑的な人は多いのではないだろうか。本稿では、実際の使用感とパフォーマンスについて紹介する。


スリムさとワイド画面を両立した本体デザイン


まず、本体について見ていこう。ボディは黒を基調に、GIGABYTEのロゴが入ったデザインである。よく見ると、機械的なパターンと共に、うっすらと「X」のロゴが入っているのがわかるだろう。このパターンは、同社の商品紹介ページによるとサイボーグパターンと称されるものであるそうだ。このサイボーグパターンのおかげか、本体はシンプルというよりもシックなデザインであると感じられる。

本体サイズは幅36.1cm×奥行き25.9cm。最大高は2.89cmとなっている。ディスプレイサイズは16.0インチを採用し、作業やWebブラウジングはもちろん、ゲームプレイにも十分なサイズ感だ。また、ディスプレイを囲うベゼル(枠)がスリムに作られていて、全体を見た際の画面占有率は90%であるそうだ。よりディスプレイが大きく感じられ、画面への没入感も高まっている。

そして、ノートPCをよく持ち運ぶという人に気になる本体重量は約2.5kg。筆者が実際に持ってみた印象としては、重厚感のある見た目ほど重くはないといったところ。この重量であれば、どこかへ持っていって出先でゲームを運ぶことも可能だろう。筆者としては、有志によって催されているオフラインでのゲーム対戦会など、そういった場に持っていくのに取り回しの良い重さとサイズに感じられた。周辺機器と合わせて、大きめのカバンに入れて持ち運びたい。

本体の電源を入れると、鮮明なディスプレイに目が引かれる。本製品に搭載されているディスプレイは、前述のとおり16インチの、アスペクト比16:10、最大画面解像度1920×1200ピクセルのWUXGA液晶パネルを採用。リフレッシュレートは、最大165Hzまで対応しており、ノートPCでのゲームプレイと考えると、十分な性能だ。また、液晶パネルがノングレア処理されているおかげか、室内の蛍光灯の明かりで見づらくなるということも感じられなかった。



続いて入力デバイスをチェック

次に、キーボードに目を向けてみよう。本製品のキーボードは、ノートPCとしてはオーソドックスなパンタグラフの日本語キーボードを採用。テンキーも付いているのは、ゲーム以外の作業をする際に嬉しいところだ。LEDバックライト搭載により、暗所でもキーが視認しやすいのもポイントだろう。各キーのキーストロークは1.5mmで、ノートPCとしてはこちらも一般的なものとなっている。

キーボードの使い心地は、普段からノートPCを使用しているという人であれば、変わりなく使用できるだろう。ただし、普段メカニカルキーボードを使用している筆者は、ノートPCに不慣れなのもあってかWASDのポジションを時々見失ってしまっていた。本製品に限ったことではないが、シューティングやアクションなど、キー操作の忙しいゲームをプレイする人は、やや順応が必要そうな点に留意したい。また、外付け型キーボードを別途用意してもいいだろう。


また、キーボードの面に備え付けられているタッチパッドは、左下を押し込むことでマウスの左クリック、右下を押し込むことで右クリックとなる。タップ操作も可能な、昨今では一般的な仕様だ。タッチパッドのサイズは、横12.1cm×縦8.34cmと広めで、ゲーム目的の使用は厳しいものの、普段使いする分にはストレスなく使用できた。ちょっとしたWebブラウジングはタッチパッドで、ゲームの際は本体に接続したマウスを使うといった風に、場面ごとに使い分けるのをおすすめしたい。なお、Fnキー+F1キーの入力で、タッチパッドのオンオフを切り替えることが可能となっている。タイピング時にタッチパッド部分に手が接触してしまうのが気になるという人は、タッチパッドをオフにしてポインタ操作をマウスのみにしてみる、といった使い方もできるわけだ。


そのほか、本体に用意された各種インターフェイスポートは、USB Type-A端子が2つ、USB Type-C端子が2つ、そして、HDMI端子、3.5mmオーディオジャック、LANポートが1つずつだ。なお、USB Type-Cポートは、片方がPower Deliveryに、もう一方がDisplayPortに対応。外出先でモバイルバッテリーからの電力供給をしたり、本製品の映像を、外部のディスプレイに映したりといった使い方も可能だ。そのほか、本製品に関する細かい仕様については、後述する一覧を参照されたい。


ゲーマーが気になるハードウェア性能は


これまではおもに外観を紹介してきたが、ここからはハードウェア面について紹介していこう。「G6X」シリーズは、本稿執筆時点で2機種がラインナップとして登場。両者の大きな違いは搭載されているメモリ容量で、「G6X 9KG-43JP854SH」は16GBを搭載。一方の「G6X 9KG-43JP864SH」は、32GBを搭載している。16GBのメモリで不安だという人は後者を選ぶのも手だ。今回使用した「G6X 9KG-43JP854SH」の詳細なスペックは、以下のとおりとなる。

・OS:Windows11 home 64 bit

・CPU:Intel Core i7-13650HX Processor
(24M Cache, up to 4.9 GHz, 14 cores : 6 P-core and 8 E-core)

・ビデオグラフィック:NVIDIA GeForce RTX™ 4060 Laptop GPU 8GB GDDR6
ブーストクロック 2370MHz 最大 Graphics Power 105W

・ディスプレイ:16.0″ 165Hz 1920×1200 超狭額縁ベゼル WUXGA ノングレア(非光沢)

・システムメモリ:8GB*2 4800MHz, 2 Slots
(空きスロットなし 最大64GB)

・ストレージ:1TB M.2 PCIe Gen4 SSD(PCIe Gen4x4 スロット使用)
空きスロット×1 PCIe Gen4x4

・キーボード:15 色RGB backlit Keyboard(日本語キーボード) with 10-key

・インターフェイス:左側
1 x Type-A support USB3.2 Gen1
1 x Audio Jack support mic / headphone combo

・インターフェイス:右側
1 x Type-C support USB3.2 Gen2, Power Delivery 3.0
1 x Type-A support USB3.2 Gen2

・インターフェイス:背面
1 x Type-C support USB3.2 Gen2, DisplayPort™ 1.4
1 x DC in
1 x HDMI 2.1
1 x RJ-45

・オーディオ:2x 2W Speaker
Microphone
Dolby Atmos

・コミュニケーション:Wi-Fi: Intel Wi-Fi 6E (802.11ax 2×2)
LAN: 1G
Bluetooth: Bluetooth® V5.2

・Webカメラ:HD (720p)ウェブカメラ

・セキュリティ:Security (Kensington Type)Lock Slot
Firmware-based TPM, supports Intel Platform Trust Technology (Intel PTT)

・バッテリー:73Whバッテリー

・ACアダプター:180W AC Adapter, 100W PD

・寸法:36.1(W) x 25.9(D) x 2.51~2.89(H) cm

・重量:2.5 kg

以上が本製品のスペックである。本製品に搭載されたCore i7-13650HXは、インテルのノートPC向け 第13世代CPUであり、性能と価格のバランスが良く、コストパフォーマンスに優れたCPUだ。そして、GPUはNVIDIAのGeForce RTX 40シリーズのノートPC向け製品であるGeForce RTX 4060 Laptop GPUを搭載。本GPUはDLSS 3に対応しており、DLSS対応ゲームをプレイする際には、その機能を十分に活かせるはずだ。


ベンチマークテストでスコアを測定

さて、これまで外観やスペック面について述べてきた。ここからは、実際にゲームを動作させた時にはどうなのか、今回は『ブループロトコル』、『ストリートファイター6』、『ファイナルファンタジーXV』のベンチマークテストソフトを用いて試してみた。その結果を報告したい。

まずは、リリース日が3タイトルの中でもっとも新しい『ブループロトコル』から見ていこう。本作は、バンダイナムコオンラインおよびバンダイナムコスタジオによるオンラインアクションRPGであり、ほかのプレイヤーと協力して強敵に挑むレイドミッションなど、大人数が集まるコンテンツが用意されているため、ある程度のPCスペックが欲しくなる作品だ。

『ブループロトコル』のベンチマークテストは、グラフィック設定にいくつかのプリセット設定があるほか、設定を細かくカスタムしてテストをおこなうことが可能。今回は、プリセットの最高画質・高画質・中画質を使用して計測した。ちなみに、本作のベンチマークテストが、「G6X 9KG-43JP854SH」のフルスクリーンサイズであるWUXGA(1920×1200ピクセル)に対応していたので、そちらに設定して計測。以下がその計測結果である。

*『ブループロトコル』ベンチマークテスト最高画質の結果

*『ブループロトコル』ベンチマークテスト高画質の結果

*『ブループロトコル』ベンチマークテスト中画質の結果


『ブループロトコル』のベンチマークテストにおいては、いずれのパターンも、最高評価である「極めて快適」の計測結果となった。本作のベンチマークテストは、スコア10000以上であれば「極めて快適」の評価となる。最高画質でのテストにおいてもスコア17101と、「極めて快適」の評価を得た上に、かなり余裕のある状態のスコアを叩き出している。

次は、カプコンが2023年6月に発売した『ストリートファイター6』のベンチマークテストで計測をおこなった。本作は対戦格闘ゲームであり、フレームレートが安定することは、非常に重要な要素である。ベンチマークテストではゲーム内モードのうち、対戦・バトルハブのロビー内・ワールドツアーの3シチュエーションごとのフレームレートが測定される。評価とともに、フレームレートについても見ていきたい。なお、画質はオプション設定のHIGHEST・HIGH・NORMALの3パターン、画面解像度は1920×1080ピクセルで計測している。

*『ストリートファイター6』ベンチマークテストHIGHESTの結果

*『ストリートファイター6』ベンチマークテストHIGHの結果

*『ストリートファイター6』ベンチマークテストNORMALの結果


以上のとおり、『ストリートファイター6』ベンチマークテストの結果は、3つのグラフィック設定すべてで100点満点の最高スコアとなった。フレームレートのアベレージもすべてほぼ60FPSを叩き出しているため、HIGHEST設定でも支障なくプレイできることだろう(本作の対戦時の最大フレームレートは60FPSとなっている)。

そして、最後に計測したのが、『ファイナルファンタジーXV』のベンチマークテストだ。本作のPC版は2018年、スクウェア・エニックスより発売。ベンチマークテストも同年、発売前に配信が開始された。本作のベンチマークテストが配信されたのは約6年前ながら、ハイクオリティなグラフィックとなっているため、しばしばPCのスペックを確認するためのベンチマークテストに用いられている。

今回は、画面解像度1920×1080ピクセルの高品質設定と標準品質設定の2パターンで計測。以下がその結果となる。

*『ファイナルファンタジーXV』ベンチマークテスト高品質の結果

*『ファイナルファンタジーXV』ベンチマークテスト標準品質の結果


以上のとおり、高品質では上から2番目の評価となる「とても快適」(スコア9000~11999)、標準品質では最高評価となる「非常に快適」(スコア12000~)となった。ちなみに、高品質設定でなんとか「非常に快適」の評価を出せないものかと、GIGABYTEのユーティリティソフトControl Centerで、モードを「パフォーマンスモード」に、使用GPUを「ディスクリートGPUのみ」にしたところ、スコアが若干上昇した。高品質で最高評価にならなかったとはいえ、上から2番目の評価はプレイには問題ない結果だろう。

*設定切り替え後の『ファイナルファンタジーXV』ベンチマークテスト高品質の結果




「G6X 9KG-43JP854SH」は、ゲーミング要求を満たすスペックのノートPC

これまで挙げた3タイトルのベンチマークテストの結果から、「G6X 9KG-43JP854SH」が多くのゲームタイトルのプレイに適したPCであることは、わかってもらえただろう。ラップトップに不慣れな筆者としても、マウスや使い慣れたキーボードを用意するなど、環境を整えれば、ゲームプレイにあたってストレスフリーで使用できそうだという感触があった。自宅で使うゲーム用のPCが欲しいが置き場所がないという人は、本製品の購入を検討してみるといいだろう。

気になる点があるとすれば、本製品の排熱性能の高さから冷却ファンの音が目立つことだ。マシンパワーを必要としない作業をおこなっているときは気にならないものの、ゲームをプレイする際には、なかなかの大きさのファンの音が聞こえてくる。普段ヘッドセットを装着してPCに向かっている筆者は、それほど気にならなかったが、公共の場所で負荷のかかるゲームなどをプレイする際は、周囲に配慮する必要はありそうだ。

なお、具体的な排熱に関しては、ベンチマークテストを使用しながらキーボードを触って確認した限りでは、ほんのりと温かい程度。ただし、ユーティリティソフトのGIGABYTE Control Centerで実際はCPUがどれくらい発熱しているのか確認してみると、ベンチマークテスト中はCPU温度が80℃前後を叩き出す場面があった。本製品は、公式サイトによると熱対策を重視した設計になってはいるも。しかし、高負荷のゲームを長時間プレイする際には、冷却パッドを使用するなど、ユーザー側でも熱対策を考えるのが良さそうだ。

*本製品の公式サイトより


ゲーミングノートPC「G6X 9KG-43JP854SH」は、GIGABYTEノートPC取扱店、ECサイトなどで販売中。市場想定価格は、税込20万5000円だ。

Koutaro Sato
Koutaro Sato

何でも遊びますがメトロイドヴァニアとトレハン、ゲーム内の釣りが大好物。クリエイターやプレイヤーの人となりと、彼らが生み出す盛り上がりが大好きです。

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