『アークナイツ:エンドフィールド』って、結局どういうゲームなの?テクニカルテストを10時間遊んでわかったこと

 

パブリッシャーのGRYPHLINEは1月12日より『アークナイツ:エンドフィールド』のテクニカルテストを開始している。『アークナイツ』を手がけてきたゲーム開発会社Hypergryphによる新作がどのようなものか、テクニカルテストに参加して得られたプレイレポートをお届けしたい。本編は日本語対応だが、今回のテストは非対応なので英語を選択。なお、プレイ時間は10時間程度となる。


『アークナイツ:エンドフィールド』はPlayStation 5/PC/iOS/Android向けにリリース予定の3Dリアルタイム戦略RPG。プレイヤーはタロIIという世界で「管理人」と呼ばれる伝説の存在。英語では”Endministrator”と独自の表記をされるのが印象的だ。記憶を失っている管理人はペリカという女性に救われ、治療のためロドスアイランドのオペレーターを探す過程でさまざまな問題を解決することになる。なお「管理人」は男女双方選択可能。

「管理人」性別選択画面

自分が記憶喪失であろう、と教えてくれるペリカ

プレイして得られた印象としては、「探索と戦闘」という広めのフィールドを舞台としたRPGに建築要素を足しており、独自の個性を感じた。キャラクターだけではなく、自らの基地を育てる事が重要になるのだ。「探索」「戦闘」「建築」を進めることでストーリーが進んでいく。自らの足で世界を広げ、必要なら戦って世界を切り開くだけではなく、開拓地では自給自足が必要であるということなのだろう。それらの要素をそれぞれ詳しく説明したい。

使うアイテムだけではなく風景も『アークナイツ』を思い出す探索

キャラクターを操作し、広大なタロIIを己の足で旅をすることでストーリーは進んでいく。開始してすぐに見られる風景ではアークナイツで見た記憶のある存在や名前が多数現れ、『アークナイツ』のプレイヤーとしてはテンションが上がる。最初にたどり着いた基地は現住生物「アンゲロス」の襲撃で破損しており、その修復を手伝うこととなる。基地を出て歩くフィールドは緑豊かな大地などではなく、おおむね荒野という印象が強い場所ばかりだ。だが、そのどこか荒涼とした風景が『アークナイツ』を思い出させる。

何の説明もないが『アークナイツ』プレイヤーならわかるウェンディゴの像がなぜここにあるかは謎

同じくエリートオペレーターたちの名前が刻まれた墓。フロストノヴァの名前が有るのが素晴らしい

アンゲロスの襲撃で焼損した基地

基地を出ると広がる風景


とはいえ延々と広がる荒涼な大地を果てしなく旅するというわけではない。見た目からオープンワールド的なゲームかと思っていたが、MMORPGのようにエリア切り替えが存在している。そのためかマップは比較的コンパクトな印象で、Mキーでマップは確認できるがほぼ見ることはなかった。マップ上で拾えるアイテムはそれなりに多くリポップも早い。マップに存在するのはワープポイントや人々が開拓した土地以外にも「Rift」と呼ばれる不思議な施設が存在している。中に入って敵と戦闘して経験値アイテムを始めとした様々なアイテムを回収することが可能だ。戦闘だけではなくパズルをクリアさせられるようなRiftも存在している。このRiftの利用には「アークナイツ」ではおなじみの「理性」を消費することとなる。

Mキーで呼び出せるマップ画面

このような形でマップ切替画面が存在する

Riftへ入る画面

Riftでの戦闘終了後画面


アークナイツを思い出させるといえば、フィールドで手に入るのは草花や鉱石なのだが、「源石」と呼ばれる物質の鉱脈が存在する。この源石は「アークナイツ」ではキーアイテムとなっているのだが、壊したりして破片が体に入ると鉱石病(オリパシー)という不治の病にかかる存在でもあったのだ。今回特にそういう警告もなく鉱脈を攻撃で砕いて源石を回収できるので「源石は無害化できたのだろうか」と思ったら直後のマップで鉱石病にかかっている病人が登場する。このような病にかかった人間を救うこともまた「管理人」の仕事ではあるようだ。

破壊可能だと気づいて叩いたら原石鉱(Originium Ore)が出てきて驚いた

鉱石病(Oripathy)に蝕まれ死にかけている人がいる、というペリカの話


スキルを的確に当てて効率的に敵を倒す必要があるリアルタイム戦闘

探索を進める際には敵を倒す必要もある。戦闘は4人でパーティを組んでリアルタイムに行われる。プレイヤーが操作するのは選ばれた1人だけで、ほかの3人は自動的に行動してくれる。通常攻撃とスキル攻撃を繰り返して戦っていくのだが、特徴的なのはスキルを利用するとリアルタイム進行がスローモーションになり、スキルの範囲や方向を指定できること。筆者はそれにしばらく気づかず、普通のアクションゲームのようにスキルを連打して痛い目を見た。スキルキーは1回押せば発動モードに入り、再度キーを押すことで発動するため、タイミングを考えて利用しなければいけない。

回復アイテムも存在するがクールタイムがあるため回復アイテムを連打しながら強引に推し進むという戦闘は事実上不可能と思われる。ボスの中には特定のタイミングでスキルを当てないと体力が減らせないものもいるのでなおさらだ。なお回復アイテムや装備は基本的には拾うものだが、中には自作することも可能なものがある。薬などは手元で作ることになるのだが、防具などはそうはいかない。ではどうやって作るのだろうか。それは次に述べるクラフト要素につながっていく。

管理人のスキルキー1を押した状態

管理人のスキル1を発動後、ペリカのスキル2を発動した状態


ワープポイント用の電源は自分で配線。防具は製造設備で自作。DIYな世界観

ストーリーが進むと管理人たちの活躍で基地が修復され、建築が行えるようになる。探索を進めたり戦闘で集めた素材を使って建物を作り、それらの建物からさまざまなアイテムを生産することになる。現時点では防具や素材の加工が中心だが、それに加えて基地を拡張するための建物も作ることが可能だ。

機械の動作には基本的には電源が必要なのだが、基地のフィールド近くであれば直接電源を引っ張ればいい。だが、遠くにある機械はどうすればよいか。その場合、Relay Towerという電柱のようなものを製造し、電線を自力配線することで利用が可能になるのだ。この手作り感が大変面白く感じられた。素材集めも武器で鉱石を殴って集めるような生活から文化的に採掘ユニットを使って回収することが可能になる。ただし、採掘ユニットに溜まった鉱石は現時点では自分で回収しなければならない。

基地の中では収集、加工、収納まではベルトコンベアで自動的に行えるようにできるのだが、一歩進んで採掘、収集、加工、収納までが自動化できれば素晴らしい。少なくとも登場人物の1人は「将来ベルトコンベアを超えてテレポートが可能になる」と語っているので、そんな世界が来ることを待ちたい。

各種生産用ユニット

電源ユニットにコンベアをつなぎ、加工ユニットと接続している

Relay Towerから電源を配線しようとしている状態



探索・戦闘・建築の三要素はどう絡み合っていくのか

テクニカルテスト版は、現在の時点では平均レベル26もあればボスまでたどり着けるだろうという場所で、レベル30のボスが登場して敗北したところである。このような突然のレベル差上昇の理由を考えると急いでストーリーを進めるだけではなく、じっくり腰を据えてゲームを進行してほしいのでは、と思わされた。建築のチュートリアルがその辺りで発生するのも余計にその印象を強めている。

建築について、現時点ではまだ拾ってきた素材を加工して防具を作成し、基地を多少広げられる程度だが、これから多くのことができるようになっていくのではないかと考えている。

ストーリー上では敵に襲われた基地を修復するところから始まったので、また襲われた基地を今度は守るような話もあるのではないだろうか。『アークナイツ』には「生息演算」という基地を作り、拠点を育てて敵の襲撃を迎え撃つというコンテンツがあった。エンドフィールドの話を聞いた時真っ先に思いだしたのがこの生息演算なので、エンドフィールドの基地で、グラフィックでそのような拠点育成と戦闘ができる日に期待したい。

10時間弱のプレイを振り返って「アークナイツ」要素を抜きにして探索、戦闘、建築のどの要素が楽しかったかと言われると、建築が一番印象深い。ただし「これができそうでできない、多分先になったらできるようになる」という期待値込みでの楽しさであった。一方探索はアイテムの回収やストーリーの進行があって新しいことを供給し続けてくれるため、純粋に物語の続きや世界を見続けるという楽しさを供給してくれる。最後に戦闘だが、スキルをタイミングよく使う緊張感がただよう戦闘ばかりではなく、レベル差があれば簡単に勝利できるという緩急が好感触。いつでもハードな戦闘ばかりでは疲れるが、と言って作業のような戦闘ばかりではつまらない。その辺りのバランスは大変よかった。

それ以外に楽しかったことは、と問われるとやはり『アークナイツ』とのつながりを匂わせる多くの要素である。ウェンディゴの像、『アークナイツ』で出会った仲間たちの墓、源石と鉱石病。もちろん『アークナイツ』に関連したことだけではなく今現在タロIIという惑星で何が起こっているか、物語の続きをぜひ追いかけさせてほしい。

アークナイツ:エンドフィールド』は、PlayStation 5/PC/iOS/Android向けに配信予定だ。