ロボゲー新作『Mecha BREAK』は、ロボゲーのいいところどり+ヒーローシューターだった。ロボゲー好き筆者も期待のクオリティ

ロボゲー新作『Mecha BREAK』は、ロボゲーのいいところどりな、ヒーローシューターだった。ロボゲーの筆者的にも気に入った作品である。その内容をお届けする。

Mecha BREAK』は近未来を舞台に、多彩な戦闘スタイルを持つSFメカ、MB(メカブレイク)を操り、3対3または6対6の立体的な戦闘を繰り広げるオンライン対戦アクション。(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに開発中。今回のαテストでは未実装だったが、最大48人のPvPvE要素も実装予定のようだ。本作の開発を手がけるのは、中国を拠点に活動しているAmazing Seasun Games。

今回、本作のクローズドαテストに参加させていただくことができたため、先行プレイにて確認できた内容と、実際に対人戦などを遊んでみた所感などを紹介していきたい。参考として、筆者はさまざまなロボットゲームを遊んでいるロボゲー好きである。なお、実際にゲームがリリースされるまでに仕様が変わる可能性がある点には留意してほしい。


ロボ同士の熱いチームバトル

『Mecha BREAK』の基本的なゲームコンセプトは、「チームプレイ重視の多人数対戦」だ。チームプレイ重視と聞くとハードルが高く聞こえるかもしれないが、なんてことはない。本作に登場する機体は、機体ごとに攻撃型/支援型/狙撃型のような個性が付けられており、役割や動き方がある程度ハッキリしているため、基本的に出撃の際に選択した機体でやれることをしっかりやるだけで活躍できるようなデザインになっている。

本作を既存のタイトルでたとえるならば、操作キャラがロボになった『Team Fortress 2』や『オーバーウォッチ』といった感じだ。だが、ブーストを用いた3次元戦闘、後述するロックオンでの駆け引き、近接戦でのロボ同士のぶつかり合いといった、ロボットゲーム特有の面白さがこれでもかというくらいに詰め込まれており、「似たような遊び方ができるタイトルもあるし、別にロボットでやらなくてもいいよね」とは言わせない本作独自の盛り上がり所がしっかり設けられている。


また、公式が立体的な高速3次元戦闘をウリにしていることもあり、操作感もロボットゲームとしてはかなり軽やかな部類で、プレイヤーの思った通りに機体が動く印象。敵を照準サイトの中に捉え続けることで、自動で狙いを調整してくれるロックオン機能も存在し、ゲームスピードが速く、なおかつ自分の手で狙いを付けるタイプの作品にありがちな「弾を当てるのが難しい」という問題もしっかりクリアされているようだった。

もちろんロックオンされたら必中という訳ではなく、狙われている側は画面に表示されるアラートや警告アナウンスを頼りに、高速ブーストで回避することも可能。とはいえ、高速ブーストにはエネルギーを使用するため、ブーストだけで回避し続けることは難しい。障害物を駆使して敵のロックオンから逃れたり、一部機体が持つステルスやロックオン妨害の兵装を用いてしのいだりと、ロックオン機能を絡めた駆け引きも本作の戦闘を面白くしている印象だ。


機体紹介

『Mecha BREAK』には多種多様な戦闘スタイルを持つ、さまざまな機体が存在する。ここからは、クローズドαにて確認できた範囲の中から何機かピックアップしつつ、登場する機体の魅力と性能について紹介したい。

・龍淵(リュウエン)
チュートリアルでも使用することになる、本作の主人公機。遠距離は連射の効くENカノンとレールガン、近距離はハルバードと大型の盾を使い分けるバランスの良いオーソドックスな機体。特筆すべき点として、体力が尽きても外部装甲をパージすることで体力が回復、復活して戦い続けることができる。いわゆる「復活持ち」といえば伝わりやすいだろうか。パージで体力が回復する仕様が強力なことにくわえて、単純に扱いやすい武装が揃っているということもあり、αテストではかなり人気な部類の機体だった印象だ。


・ファルコン
変形機構をそなえた機体。戦闘機のような見た目に変形し、大量のミサイルをバラ撒く空中戦を繰り広げることができる。また、ステルス状態の敵機を探知・ロックオンできる能力も持っている。変形時の操作感がやや独特で難しい印象だったが、使いこなせるプレイヤーが操縦した際の機動力は飛びぬけて高く、対処するのに苦労させられた。


・トライセラ
こちらも変形機構を持つ機体。主兵装はガトリング砲。要塞フォームという姿に変形し、移動ができなくなる代わりに複数の防御シールドで敵の攻撃を受け止めたり、ミサイル迎撃システムで敵のミサイルを撃ち落とすことができたり、修復ドローンで付近の味方を回復できたりと、文字通りなかなか倒れない要塞となることができる。また、要塞モード中は付近の敵機のロックを強制的にトライセラに向けることができる能力も持っているため、チームの守護神的な活躍ができる機体となっている。


・鳴神(ナルカミ)

狙撃型の機体。超遠距離からロックオン可能な狙撃武器にくわえて、敵のロックオンから逃れるためのステルス武装を多数持っており、自分だけではなく味方機もステルス状態にすることができる。飛び回るファルコンに狙撃で手痛い一撃を与えられる一方で、ファルコン側はステルスを看破する武装を持っているため、ファルコンとはお互いにカウンターのような関係性がある印象。


・赤霄(セキショウ)
重装格闘型の機体。榴弾砲やバトルアックスなど、比較的オーソドックスな武装を持っている。特筆すべき点として、敵機を閉じ込めることができる設置型シールドを持っており、そこへ敵を閉じこめてタイマン、もしくは味方と囲んでタコ殴りにするという戦法がαテストではよく見受けられる印象だった。


ここで紹介した以外にもいくつかの機体が存在するため、詳しくは公式サイトおよびSteamストアページを確認してみてほしい。また、チーム内で同じ機体を使用することはできず、出撃中に使用機体を変更することはできないため、試合開始前にどのような戦略をとるのかなど、よく考える必要がありそうだった。筆者の主観ではあるが、現時点では抜けて強い機体が存在するわけではなく、チームメイトとの相性や、状況やマップとの相性、状況によって「どの機体が強いか」はかなり左右されるような印象だ。

塗装や機体性能などのカスタマイズ要素も

本作には塗装などのカスタマイズ要素も存在する。自由に機体の配色を変えられるほか、武器の色や迷彩などのカラーパターン、ステッカーなどの要素もある。塗装に必要な色アイテムはマッチ終了後に手に入る物資箱から入手可能だが、手に入る色はランダムだったため、現状ではアナウンスがないものの、このあたりはおそらく課金要素になると思われる。

また、物資箱からは機体の性能を上昇させるパーツも排出される。実際にいくつか装着してマッチに参加してみたが、筆者が入手できた限りでは飛躍的に性能が向上するようなものはなかった。あるいは、パーツは一部性能が上昇するにしても、一部性能が落ちたり、いろいろと調整されているようであった。課金要素があったとしても強烈なPay to Winになることはなさそうな印象。αテストの段階で本作のマネタイズを気にするのは気が早いかもしれないが、今後このあたりのカスタマイズ要素がどうなるのかはやや気になるところだ。


個人的に思ったことであるが、『Mecha BREAK』開発陣からは並々ならぬ”ロボ作品への愛”が感じられる。マルチプレイの出撃時にルール説明として流れる簡易的なブリーフィングや、パイロットの搭乗シーン、撃破された際に爆散する機体からパイロットが脱出する演出などの、ふとしたときに気が付くようなゲーム内での描写はもちろん、2023年12月24日の公式Xからのポストに、作中にて「クリスマス作戦」がおこなわれることで有名な作品「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」をオマージュしたであろう画像が添付されていたりと、ロボゲー・ロボアニメファンなら思わずニヤリとしてしまうような要素がゲーム内外ともに数多く存在する。


それゆえに、『Mecha BREAK』開発陣が数多くのロボゲー・ロボアニメなどの作品をリスペクトしながらも、ロボット作品のファンに向け、気合を入れて本作を開発しているのだろうというのがヒシヒシと伝わってくる。課金要素やリリース時期など、いまだ情報が出ていない部分に不安はあれど、開発陣の”ロボ愛”を信じて、続報を待ちたいところだ。

本作はチームプレイ重視のロボットシューターという、やや人を選ぶジャンルに最近の流行であるヒーローシューター的な要素をプラスすることで直感的に分かりやすく、それでいてロボットゲームに必要不可欠な「動かしているだけで楽しい」という感覚を存分に味わえるデザインになっている。また、既存のシュータージャンルにどうしても付きまとう「エイムが苦手だから攻撃を当てるのが難しい」という問題にも、しっかりロックオンという要素で応えており、開発陣の新規ユーザーや初心者への配慮がうかがえるようだった。

もちろん、本作は先述したように既存のロボ作品ファンへのサプライズも忘れていない。一方で、初心者や新規ユーザーへの配慮もしっかりしている。αテストの範囲からでも読み取れるほどに、幅広い層にアプローチすること意識したつくりの本作が新たなユーザー層を取り込み、ロボットゲームというジャンルをさらに活性化させてくれる作品になってくれることを筆者は期待している。

悲しいことに、ここ数年はマルチプレイの対戦をメインとしたロボットゲームがサービス終了を告知することが多い。2021年にネットワークサービスを終了したアーケードタイトル『星と翼のパラドクス』、2022年にサービスを終了した『機動戦士ガンダムオンライン』、2023年にサービスを終了した『GUNDAM EVOLUTION』やPS4版『BORDER BREAK』、そして2024年3月にサービス終了が予告されているアーケードゲーム『機動戦士ガンダム 戦場の絆II』。現状、オンラインでの対戦をメインにして遊ぶスタイルのロボットゲームには、向かい風が吹いていると言っても過言ではないだろう。筆者はこれらのゲームを遊んでいたので悲しさがある。老舗タイトルが次々にサービス終了していくなか、これらの代わりになるようなタイトルを個人的に待ち望んでいた。

あくまでαテストを遊んだ筆者の個人的な感想ではあるが、『Mecha BREAK』の体験は先述のタイトルに負けず劣らず非常に素晴らしく、新たなロボ作品を探し求めているユーザーを満足させるような出来だったことをここに書き記して本稿の締めとしたい。

『Mecha BREAK』は、PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに開発中。気になる方はウィッシュリストに追加しておくといいだろう。

Yusuke Oizumi
Yusuke Oizumi

どんなジャンルも遊びますが、アーケードゲームとローグライクが特に好き。中毒性の高い作品を与えると喜びます。

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