マップ壊しまくり新作FPS『THE FINALS』オンライン体験会レポート。邪魔なものは叩き壊せ、ルールも流動する個性派FPS

 

THE FINALS』は現実世界の有名なロケーションが再現された仮想現実を舞台に、賞金争奪ゲームショーをおこなう基本プレイ無料の対戦FPS。先日開催されたオープンベータテストでは最大同時接続プレイヤー数が26万7000人を記録し、一時的に順番待ちが発生するという盛況ぶりを見せている。

国内外で大きな注目を集める『THE FINALS』。今回、そんな本作のオンライン体験会に参加する機会をいただいた。本稿では、先行プレイで確認できた内容と、実際にプレイしてみての所感を紹介していきたい。なお、本作の正式リリースにともなって仕様が変わる可能性がある点には留意してほしい。




爆破×護衛×バトロワ

はじめに試合のルールを説明したい。本作はチーム対戦型のFPSとなっており、チームは3人1組。制限時間内にあらかじめ設定されている金額を稼ぐか、制限時間の終了時にもっとも多くのキャッシュを持っているチームの勝利となる。大まかな流れとしては以下の通り。

・マップ内に配置されている金庫「キャッシュボックス」を探す
・送金装置「キャッシュアウトステーション」までキャッシュボックスを運搬
・ステーションでの送金が終わるまで防衛


対戦ルールとしてはキャッシュアウト、コインダッシュ、クイックキャッシュの3つがあり、ルールによって細部こそ違うものの、基本的には上述の3ステップが試合のオーソドックスな流れになる。一見単純そうに見えるが、段階に応じて“対戦FPSとしてのルール”そのものが変わっていくといっても過言ではない。

キャッシュボックスを探す第1段階では、周りの敵チームに注意を払いつつも、いち早くキャッシュボックスに辿り着くことが求められる。さながらバトロワ形式のゲームでチームみんなで安全地帯に駆け込んでいくときのような感覚だ。キャッシュボックスを手に入れたら第2段階として、武器が使えない運搬中のチームメイトを守らなければならない。ここの感覚は目標を守りながら移動する、いわゆる“護衛”ルールに近いものがある。

チームメイトと共にステーションに辿り着き送金が始まったら、第3段階として送金完了までその地点を守り抜かなければいけない。たとえるならば、いわゆる“爆破”ルールで敵の拠点に爆弾を設置し、守り切るまでの時間に近いだろう。こうした各段階では、運搬中のチームメイトがやられてしまうとキャッシュボックスはその場に落ちてしまうし、送金中にステーションを奪われてしまうと奪った側のチームがキャッシュを回収したことになる。


そうしたルールのため、教科書通りにキャッシュを運搬して送金するのもいいし、敵チームが必死に運搬してきたキャッシュをズル賢く横からかすめ取ってもOKだ。ステーション付近で他チームが戦闘しているようなら、混戦状態になっているところに横槍を入れて、漁夫の利を得るのもいいだろう。この運搬や送金まわりの攻防が、本作の対戦における駆け引きをよりアツくさせている印象だ。




破壊要素で深まる戦略

試合のルール説明が済んだところで、そろそろ『THE FINALS』最大の魅力であり最大のウリ、破壊要素にも触れていきたい。本作はマップに存在する壁や床、建物ほぼすべてが破壊可能。撃ち合いの最中に、屋上にバカでかい穴が開いて攻撃されたり、背にしていた壁が突然なくなるなんてことは日常茶飯事。ときには建物全体が崩壊することもある。


たいていのFPSでは、小部屋に立て籠もられてしまうとアプローチの仕方が制限されなかなか手出ししにくいが、本作においてはいたって簡単。攻める側が小部屋の天井か壁を壊してしまえばいい。防衛側になすすべがないのか、といわれるとそんなことはなく、床を壊して脱出してみたり、遮蔽物を生み出すガジェットで抵抗してみたりと、攻める側も守る側もかなりやれる事が多い。本作の戦闘はこのあたりが絶妙なバランスになっていて、単純な撃ち合いの強さよりも、地形破壊を含めた戦略や立ち回り、マップの理解度などが上回っているチームのほうが勝負に勝ちやすいようだった。

また、オブジェクトは壊すだけではなく、生み出すこともできる。後述するガジェットやアビリティを使用することで、シールドを設置したり、大きな遮蔽物を生み出したり、ジャンプパッドで屋上や高層階に乗り込んでみたりと、プレイの幅はかなり広い。ガジェット同士を組み合わせることもできるため、手持ちの材料を眺めて「思いついたことはなんでもやれる」といっても過言ではないだろう。




多彩なカスタマイズによって広がるプレイの幅

『THE FINALS』の対戦で使うキャラクターは、武器やガジェット、アビリティを組み合わせてカスタマイズすることができる。キャラクターにはライト、ミディアム、ヘヴィの3種が存在し、それぞれ装備できるものが異なる。ライトは低体力でスピード重視、ミディアムはバランス型、ヘヴィは機動力に劣るものの高体力というかたち。

装備品を例にあげると、ライトはサブマシンガンやナイフなど、機動力を活かしたものが多く、ミディアムはオーソドックスなアサルトライフルやショットガン、ヘヴィは火炎放射器やハンマー、LMGなどイメージ通り豪快なものが多い。体験会時点の仕様では試合中のキャラ変更ができなかったため、試合開始前にどんな戦略を取るのか、チームメイトと合わせたときの装備バランスはどうかなど、よく考える必要があるようだった。


また、本作にはさまざまなガジェットやアビリティが存在する。FPSではおなじみの銃やグレネード、フラッシュバンに加え、ジャンプパッドやバリア、遮蔽物を生み出す粘液グレネード、壁を壊すC4や設置型ターレット、回復ビームなど多種多様な装備品があるため、破壊に特化してみたり、サポート重視で出撃してみたりと、かなりの幅のカスタマイズをすることができるようになっている。

破壊要素とガジェット、そしてプレイヤーの「これができるかも」という想像力が組み合わさることによって、本作はただ撃ち合うだけのシューターに留まらず、プレイヤーに新鮮でひと味違ったFPS体験をもたらしてくれるだろう。

以上で駆け足気味ではあるが、『THE FINALS』の概要、実際にプレイしてみての所感を紹介した。FPSはバトロワ系や爆破ルール、脱出シューターなど、その時々で流行りは変わりつつも、昔から対戦ゲームとして数多くのゲーマーから愛されてきたジャンル。”なんでも壊せる”という強烈な個性をひっさげて現れた新人『THE FINALS』はさまざまな人気タイトルがひしめき合うFPSシーンに風穴をあけることができるのだろうか。今後の躍進に期待したい。

『THE FINALS』はPC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに近日配信予定。