『ファイナルファンタジーVII エバークライシス』Steam版は、PC最適化を結構頑張っている。おかげで仕事中も遊びやすい

スクウェア・エニックスは12月7日、『ファイナルファンタジーVII エバークライシス』をSteam向けにリリースする。もともと『FF7EC』を遊んでおり、かつ普段Steam(PC)でゲームを遊ぶゲーマー目線で、感想をお伝えする。

スクウェア・エニックスは12月7日、『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS(ファイナルファンタジーVII エバークライシス)』(以下、FF7EC)をSteam向けにリリースする。すでにiOS/Android向けに配信されており、満を持してSteamでリリースされる。今回、スクウェア・エニックスの提供により、同作をちょっぴり早く遊ぶ機会に恵まれた。もともと『FF7EC』を遊んでおり、かつ普段Steam(PC)でゲームを遊ぶゲーマー目線で、感想をお伝えする。


『FF7EC』は、スクウェア・エニックスとアプリボットが開発する基本プレイ無料の運営型ゲームだ。クエストあるいはバトルをこなし、キャラ育成をしながら『ファイナルファンタジーVII』シリーズの物語や世界観を楽しむ作品となっている。たとえば、現時点では『ファイナルファンタジーVII』『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-』の2作品の物語の一部が、オリジナル版をベースとしつつも本作向けにアレンジされたかたちで楽しめる。また、その2作品だけでなく完全新作オリジナルストーリーとして『ファイナルファンタジーVII ザ ファーストソルジャー』の物語が展開されている。

好きなキャラと、その武器やマテリアなどを育成し、それらのキャラを使ってチャプターを攻略(戦闘のないチャプターもある)。物語などを読んでいくのが基本的な流れになる。物語関係なくバトルを楽しめるエンドコンテンツやマルチプレイコンテンツも備わっている。


Steam版については、大画面でプレイしやすくなったことや、4K解像度の対応、マウスでの操作、そしてモバイル版とのデータ連携が可能といった特徴があげられる。筆者はiOS/Android版リリース当初から、本作をプレイしている。もともとグラフィック面でいうとかなりリッチめな作品であったので、Steam版については画面解像度を除けばグラフィック品質の大きな変化はない。一方で、操作周り含めPCへの最適化をかなり頑張っている作品であることは感じた。

まず目を引いたのは、設定項目の多さだ。PCゲームにおいてセッティングができるゲームはごくごく当たり前ではあるものの、特に国内作品ではそうした設定項目の乏しいゲームもある。本作は画質設定、解像度変更、明るさ、フレームレート、垂直同期、アンチエイリアス、シャドウまわりを調整できる。スマホ版は画質設定こそあるものの、前述の設定はない。Steam版はこのあたりを細かくいじれるというわけだ。またSteam版は4K解像度にも対応しており、こうした点もPC版ならではの要素のひとつになるだろう(筆者のモニター解像度はフルHDなので、4K解像度は試せなかった)。


なお筆者はスマホ版をiPhone 15でプレイしており、Steam版も動作自体はスマホ版と変わらない印象を受けた。スマホのスペックが低いプレイヤーであれば、Steam版は快適に本作を遊べる選択肢となりそうだ。ただ全体的にグラフィックまわりはうまくPC向けに最適化されているがゆえに、キャンペーンやイベントで出てくる画像の素材の解像度が低めな点はやや目立っていた。ここはSteam版に限った話ではなく、素材をアップスケーリングしづらい部分でもあるので、致し方なしといったところか。


個人的に好感をもったのは、マウス&キーボードの最適化だ。本作はマウスでプレイできるだけでなく、キーボードも各操作へのショートカット導線として機能している。戦闘中はリミットブレイクに使えたり、メインメニュー欄では各メニューのアクセスに使えたり。面白いことに、そうしたキーボード入力はコンフィグ設定から変更できる。スマホからPC向けに展開された国産ソーシャルゲームで、キーコンフィグが用意されているのは珍しい印象だ。前述したオプション項目も含めて、ちゃんとPCゲーマーのツボをおさえて移植されていることがうかがい知れ、個人的には嬉しくなった。


開発元のアプリボットは技術面で定評のある会社であるし、スクウェア・エニックスの『FF7』関連チームも以前『メビウス ファイナルファンタジー』をSteamで展開。2016年当時としては運営型ゲームのSteam版リリースは珍しかったが、4K解像度対応などPC最適化を頑張っていた。そうした2社による技術やノウハウがPC移植の質に反映されているのではないか、と筆者は勝手に想像している。

こうした調整によって、“仕事中に遊びやすいゲーム”に仕上がっている印象だ。というのも、『FF7EC』は個人的に「盆栽っぽさ」の強いゲームであると考えている。オートでバトルを回し、きれいで派手なバトルをながめ、キャラを成長させ、新しいコンテンツ追加を待つ。『FF7』のストーリーを追うという目的に限れば拘束時間は少なく、可処分時間に優しいと、筆者は思っている。ただしスマホで遊ぶと、たとえば仕事の休憩時間に遊ぶ場合は連絡などがある関係でいろいろと取り回しが悪かった。一方でSteam版はいろいろ最適化されており、また非アクティブ時も動作する仕様。そのため休憩どころか仕事中であっても、デュアルモニターのうちのひとつで『FF7EC』をプレイしながら作業をするといった遊び方を実現できるようになった。“仕事中やりやすい”だけであって、仕事中に本作を遊んでいるわけではないが。


最適化の頑張りから遊びやすいSteam版ながら、いずれにせよ『FF7EC』のゲームそのものに合うかどうかが一番重要になるだろう。基本プレイ無料ということで遊びやすいゲームではあるので、一度好きなプラットフォームでプレイしてみて自分に合うか試してみるのがよさそうである。スマホ版とデータ連携もできるし。

『ファイナルファンタジーVII エバークライシス』は、iOS/Android向けに配信中。12月7日よりSteam版も配信開始予定である。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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