『レインボーシックス シージ』新シーズン「Heavy Mettle」先行プレイレビュー。強力な新オペレーター「RAM」で破壊の限りを尽くそう
ユービーアイソフトは8月14日、『レインボーシックス シージ(以下、シージ)』の新シーズンであるYEAR8シーズン3「Operation Heavy Mettle」(以下、「Heavy Mettle」) の詳細を発表した。新シーズンでは新規の強力なオペレーター「RAM」がゲームに追加されるとともに、プレイヤー表彰システムの追加、チュートリアルの拡充、各種バランス調整が施される。
テストサーバーへの実装を目前に控える中、ユービーアイソフトより「Heavy Mettle」先行プレイの機会をいただいた。実際に新シーズンに触れた上でのファーストインプレッションを紹介していこう。なお、一般公開前のテストサーバーの情報を含むため、ライブサーバーへの実装時と一部情報が異なる場合も想定される点に留意してほしい。
新オペレーター「RAM」は向かう先すべてを破壊する“大味”なニューウェーブ
- サイド:攻撃
- メインウェポン:R4-C(アサルトライフル) or LMG-E(ライトマシンガン)
- サブウェポン:MK1 9mm(ハンドガン) or ITA12S(ショットガン)
- メインガジェット:BU-GIオートブリーチャー
- サブガジェット:スタングレネード or ハードブリーチングチャージ
- アーマー:3 スピード:1
RAMは韓国出身の女性オペレーターであり、BU-GIオートブリーチャー(以下、BU-GI)という固有のガジェットを提げて、新たに『シージ』の世界に参入する。このBU-GIが大味ながらとても強力なガジェットであり、それだけでRAMは非常に有用。それだけでなく、『シージ』中で屈指の“強武器”として知られるR4-Cに2.0倍スコープを搭載可、サブウェポンとしてショットガンを保有、サブガジェットも汎用性が高い、とその他のロードアウトについても非の打ち所がない。減点法で評価した際に隙のない優秀なオペレーターであり、様々な場面でRAMの採用が見込まれるのではないかと思う。
彼女の一番の個性であるBU-GIについて説明しよう。BU-GIは戦車のようなキャタピラを備えた自走型の大型ロボットである。下部および前部にギロチンのような機構が搭載されており、BU-GIが走行した後には不可逆的な破壊がもたらされる。補強された壁や床に対しては無力だが、画像の通り、それ以外の床には大穴が開き、加えて、設置されている各種ガジェット(有刺鉄線、展開型シールドetc…)も跡形もなく破壊されてしまう。
自走可能な時間は10秒、距離にして10mであり、一度フィールドに展開すれば任意のタイミングで起動し、発進させることができる。保有数は1ラウンドあたり4つ。RAM一人で防衛側が築いた防衛線を台無しにできる量と言える。BU-GIは機体の後方にある赤い燃料タンク以外がすべて防弾仕様となっており、防衛側は何らかのガジェットを使わなければBU-GIの前進を止めることができない。MUTEのシグナルディスラプターはBU-GIのカウンターとして効果的に機能するだろう。
RAMおよびBU-GIを初めて操作してみて、痒いところに手が届かないものの、できることが多く便利である、という所感を抱いた。BU-GIは、「① 置いてあるガジェットを破壊して攻撃側の進攻を助ける」「②床を破壊して下の階に射線を通す」という2つの破壊要素を高いレベルで両立できる。『シージ』には①が得意なASHやZOFIA、②が得意なSLEDGEやBUCKといったオペレーターがスペシャリストとして存在しており、これまで、①と②を十分に両立させるためにはそれぞれのスペシャリストを採用し、5つという狭いピック枠のうち2つ以上を割く必要があった。
【UPDATE 2023/8/14 7:19】
破壊要素についての記述を修正
ところが、RAMはいわば破壊のゼネラリストで、この①と②の両立を一人でこなすことができる。1つの枠で必要量の破壊が賄えるため、ほかの役割を持つオペレーターをラインナップに組み込むことが容易になるのだ。優れた破壊能力だけでなく、このように、攻撃側の作戦の幅が広がるという副次的な効果も彼女の魅力だろう。
加えて、前述のスペシャリストたちに対してRAMが明確に優れている点がいくつか存在する。たとえば、床を破壊して下の階に射線を通す際、SLEDGEやBUCKであれば作業中に自身が無防備になるし、防衛側はそれに対するカウンターとして下の階からニトロセル等で応戦が可能である。ところが、BU-GIによって床を壊す場合、そこにRAM自身がいる必要がないため防衛側は応戦ができず、しかもRAMは銃を構えることができる。SLEDGEやBUCKがこれまで背負っていたリスクが解消されるという点で、またしても、RAMは減点法で評価した際に隙のない優秀なオペレーターといえる。
とはいえ、痒いところに手が届かない、大味とも言える使い勝手の悪さが見受けられるため、一概にほかのオペレーターに対して卓越しているとも言い難い。BU-GIの動線の自由度が低いため、「壊したいものがある場所まで安全な位置からBU-GIを送り出せない」「必要以上に床に穴が開いてしまう」といった懸念を感じたのも事実である。このあたり、既存のオペレーターに対して個性を出しつつも、上手な調整が施されていると感じる。
以上、RAMは強力であり、8年に渡る『シージ』の歴史を振り返ってみても類を見ないようなロールをこなすことができる面白いオペレーターである。「Heavy Mettle」が開幕したら、ぜひ彼女をアンロックして使ってみてほしい。
新しいプレイヤー表彰システムで「縁の下の力持ち」が得をするように
「Heavy Mettle」の開幕とともに、プレイヤー表彰システムが新たに実装される。これは近年追加されたプレイヤー評価プログラムの一環であり、ゲーム中に善行を積むことで報酬を獲得できるという、オンライン対戦環境の改善のための取り組みである。
これまでのプレイヤー評価はいわばネガティブスクリーニングであり、ゲーム内のチャットで好ましくない表現を繰り返したり、チームキルなど意図的な嫌がらせをするプレイヤーに対する罰則として機能していた。プレイヤー表彰システムはポジティブスクリーニングであり、ゲーム中に目覚ましい働きをしたプレイヤーに対し、ゲーム後にチームメイト及び相手チームが投票を行い表彰される形となっている。
この「目覚ましい働き」は、Valor、Dedication、Guidance、Worthy Opponentの4つの部門に分かれている。ティザー映像を見る限り、Valorはチームの先頭に立つ切り込み隊長、Dedicationは味方の活躍をサポートする縁の下の力持ち、Guidanceは指示を出してチームを率いる指揮官に対して表彰することを想定されており、さまざまな観点からチームメイトを評価することができる。Worthy Opponentは手ごわかった相手プレイヤーに対して票を入れるイメージだ。プレイヤーは表彰の実績に応じてシーズンごとにゲーム内コンテンツを受け取れるなど、良いプレイを行うためのインセンティブが設計されている。
『シージ』に限らず、チーム制のFPSではチームメイトをサポートする動きは重要であるものの、数値的な評価が難しく、縁の下の力持ちタイプのプレイヤーが過小評価されがちである。今回の取り組みにより、Dedication、Guidanceで真価を発揮するタイプのプレイヤーが顕在化することは、コミュニティの健全化にとって有用であろう。実装後のコミュニティの変化に期待したい。
チュートリアルの拡充により、実はとても始めやすくなっている『シージ』
冒頭で述べた通り、「Heavy Mettle」は『シージ』のYEAR8シーズン3のコンテンツである。すなわち、このゲームは現在8年目に突入している長寿命タイトルなのだ。それゆえ、コンテンツの量は莫大だし、知っておくべき(と思われている)セオリーが多く、どうしても新規に始めるうえでハードルが高いゲームという印象が強いだろう。本作はたしかに、キャッチアップのために時間を要するゲームではある。しかしここ1年ほどで、初心者向けの教材コンテンツが相次いでゲーム内に追加されており、実はYEAR8シーズン3にして、ここ数年で一番始めやすい環境が整っているのだ。そしてダメ押しともいえる施策が、今回拡充されるチュートリアルモードと、カジュアル層向けゲームモードであるクイックマッチの仕様変更である。
チュートリアルモードはゲームの操作方法やルールを学ぶモードであり、プレイヤーはゲーム内キャラクターの指示に従って一つ一つステップをこなしていく。“基本のキ”のような情報のみを教示するかと思いきや、「基礎」の最後の課題はなかなか興味深く、画像のように、防弾ガラスに守られているbotに対しドローン口のわずかな隙間から伏せ撃ちで足を狙って倒すことを求めてくる。Six Invitational 2023におけるTeam BDS・Renshiro選手の伏せ撃ちクラッチシーンを彷彿とさせる、ある意味では「『シージ』らしい」行動をチュートリアルに盛り込んでおり、なかなかよくできているなと感じた。
また、クイックマッチに対する仕様変更として、「プリセットアップ」、「アタッカープロテクション」、「マッププール変更」が導入される。「プリセットアップ」では、防衛側が準備フェーズに壁を補強したり、逆に壁に穴をあけて拠点を守りやすくする「工事」の段階を自動的にセオリー通りの形で済ませてくれる。これにより、セオリーに対する理解に自信がないプレイヤーは、ランクマッチに出る前に実地で「工事」を学ぶことが可能となった。
「アタッカープロテクション」では、ラウンド開始後に攻撃側に無敵時間を設けることで、いきなり知らない射線から撃ち込まれてデスし、残りのラウンドの時間をもて余さずに済むようになった。「マッププール変更」では、YEAR8シーズン2時点で20以上あるマップを厳選し、10マップからランダムに試合のステージが選択されるようになった。初心者が覚える量を減らすという意味で、とてもよい修正だと思われる。
『シージ』では、多くの場合、新シーズン開始時にディスカウントや無料プレイ期間などお得なキャンペーンが行われるので、この機会にぜひプレイしてみてはいかがだろうか。今は『シージ』の季節である。
以上、駆け足ではあるが、新シーズンである「Heavy Mettle」の概要を紹介した。「Heavy Mettle」ではここで紹介した以外にも、ゲームプレイの快適性向上のためのバランス調整として、ショットガンの仕様変更やFROST、GRIMのガジェットの改良などが予定されている。ぜひ手に取って遊んでみてほしい。
『レインボーシックス シージ』は、PC/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに発売中。Xbox/PC Game Passにも対応している。YEAR8シーズン3「Heavy Mettle」は世界標準時で8月15日にテストサーバー実装、8月29日にライブサーバー実装予定だ。