マウスコンピューターの新ゲーミングPCブランド「NEXTGEAR」をチェック。2023年の高コスパを謳うモデルの特徴はいかに

マウスコンピューターは7月26日、ゲーマー向けPCの新ブランド「NEXTGEAR」の立ち上げを発表した。これにあわせて「NEXTGEAR JG」シリーズの9機種が発売を開始している。そのうち2機種を触ってみることで実際の使用感、パフォーマンスを探ってみよう。

マウスコンピューターは7月26日、ゲーマー向けPCの新ブランド「NEXTGEAR」の立ち上げを発表した。これにあわせて「NEXTGEAR JG」シリーズの9機種が発売を開始している(関連記事)。本シリーズは公式ECサイト限定で購入可能となっている。

今回弊誌では、レビュー用にマウスコンピューターより同シリーズ内の2機種「NEXTGEAR JG-A5G1D」と「NEXTGEAR JG-A7G6T」の貸し出しを受けた。NEXTGEAR JGシリーズは“カジュアルクラスゲーミングPC”、いわゆるエントリー(初心者)向けゲーミングPCがコンセプトに掲げられたシリーズだ。前述の2機種を触ってみることで実際の使用感、パフォーマンスを探ってみよう。

クールな外観と印象的なフロントパネル


まずは両機種の外観から。本稿執筆時点でのNEXTGEAR JGシリーズ全5機種は共通してブラックのミニタワーサイズPCケースを採用している。仕様詳細によれば本シリーズのサイズは幅22cmの奥行き42.4cm、高さがおよそ41cm程度となっている。スペースに余裕のあるデスクの上であればディスプレイの横に設置することも可能なサイズ感となっている。


ケース正面の造形はアルファベットのNとXを彷彿とさせる立体的な造形となっている。その中央には「NXG」をかけ合わせたNEXTGEARオリジナルのロゴマークがある。フロントパネルの造形の随所から、本シリーズ名にもある“NEXT”がイメージされた意匠が感じられる。メッシュ構造となっている上部にはケースファンが装着されており、注文時のカスタマイズオプションで赤色LEDケースファンの追加も可能だ。メッシュから赤色の光が差し込むことでより強い存在感を演出してくれるだろう。


向かって左側の側面は標準で強化ガラスとなっており、その下部にはNEXTGEARのロゴが入っている。赤色LEDケースファンを追加している場合、強化ガラス越しに赤く照らし出された内部構造が視認できるつくりとなっている。こうしたメカニカルな構造を視覚的に楽しめるのもゲーミングPCの楽しみのひとつだろう。


本体上部フロントインターフェースには電源ボタンと並んでUSB 3.0 Type Aポートが2か所、マイク・ヘッドホン用の端子が一つずつ設けられている。



また本体上部の大部分を締めている網目の細かいフィルターは、マグネット式で取り外しが可能。特別な器具などは不要で簡単に着脱可能となっているため、こちらで受け止めたゴミや埃を一度取り外してから掃除したりと、メンテナンスをおこなう上で非常に便利な構造となっている。同様のマグネット式フィルターは本体下部にも設けられている。


主に周辺機器を接続することとなる背面には、4K解像度の出力にも対応したHDMIポートが一つにDPポートが3つ。USBポートは合計8つありUSB接続機器を複数利用する人にも安心、うち一つは常時給電にも対応している。10Gbpsの高速なデータ転送が可能なUSB ポートがType-AとType-Cを一つずつ設けられているため、外付けHDDなどの外部記憶装置を利用する際はそちらのポートを利用するのがいいだろう。

高コストパフォーマンスなエントリーモデル

今回のレビューにて貸し出しを受けたのは、JGシリーズ内でもっともリーズナブルな価格の「NEXTGEAR JG-A5G1D(WEB販売価格10万9800円税込)」と、同シリーズ内で最上位スペックを誇る「NEXTGEAR JG-A7G6T」(WEB販売価格17万9800円税込)の二機種だ。本稿執筆時点でのNEXTGEAR JGシリーズラインナップにはCPU・GPU構成のことなる9機種が存在する。

製品名:NEXTGEAR JG-A5G1D
OS:Windows 11 Home 64ビット
CPU:AMD Ryzen 5 4500プロセッサー
グラフィックス:GeForce GTX 1660 SUPER
メモリ:16GB (8GB×2 デュアルチャネル)
M.2 SSD:1TB (NVMe)
チップセット:AMD B550 チップセット
本体寸法 幅×奥行き×高さ(mm):[本体]約220×424×410
販売価格:10万9800円(税込)
https://www.mouse-jp.co.jp/store/g/gngear-jga5g1db5aaaw101dec/

製品名:NEXTGEAR JG-A7G6T
OS:Windows 11 Home 64ビット
CPU:AMD Ryzen 7 5700Xプロセッサー
グラフィックス:GeForce RTX 4060 Ti
メモリ:16GB (8GB×2 デュアルチャネル)
M.2 SSD:1TB (NVMe)
チップセット:AMD B550 チップセット
本体寸法 幅×奥行き×高さ(mm):[本体]約220×424×410
販売価格:17万9800円(税込)
https://www.mouse-jp.co.jp/store/g/gngear-jga7g6tb5abcw101dec/


今回のレビューで扱う上記の2機種を含め、シリーズ全体としてコストパフォーマンスの優れたパーツで構成されているのが特徴だ。エントリーモデルとして導入コストをおさえつつも、高コストパフォーマンスを志向されているのがNEXTGEAR JG シリーズのコンセプトというわけだ。

同シリーズの各機種は主にGPU・CPUの二つのパーツを軸にして、合計9機種が展開されている。これらのなかでも5機種を大きく二分している要素(パーツ)がCPUだろう。ここで2つのCPUの性能について大まかに確認しておこう。

表内の左列の3機種に搭載されているRyzen 5 4500。こちらはZen 2アーキテクチャを採用したCPU。おおまかな性能をあげると6コア12スレッド搭載、定格クロック3.6GHz、最大クロック4.1GHz だ。2022年4月に発売されてから本稿執筆時点では手に入れやすい価格となった一定のコストパフォーマンスを備えるCPUだ。

もう一方、表内右列の2機種に搭載されているRyzen 7 5700X。こちらはZen 3アーキテクチャを採用しており、8コア16スレッド搭載、定格クロック3.4Hz、最大クロック4.6Hz。販売時期としては前述のRyzen 5 4500と同じく2022年4月に発売されており、Ryzen 7 5700Xはアーキテクチャ・コア/スレッド数・最大クロック数など各性能においてRyzen 5 4500より優れたCPUであり、NEXTGEAR JGシリーズでは本CPU搭載モデルには基本構成で水冷クーラーが付属する。

これらCPU2種の各性能の中でもL3キャッシュの容量差は特に大きく、先に述べたRyzen 5 4500では8MB、Ryzen 7 5700X では32MBとなっている。この容量差はCPU性能の向上、特にゲームにおいてはフレームレートの向上に関わるため、より高性能で快適なゲームプレイを楽しみたい場合はRyzen 7 5700Xを搭載したモデルがおすすめだ。


ちなみに、本稿で扱うNEXTGEAR JG-A5G1Dを含むRyzen 5 4500搭載3機種については、注文時のCPUカスタマイズオプションよりL3キャッシュ16MBのRyzen 5 5500へのアップグレードが可能だ。購入を検討している人は注文時に該当項目へのチェックを忘れずに。

人気/最新タイトルでのベンチマークスコア

続いて、NEXTGEAR JG-A5G1DとNEXTGEAR JG-A7G6T でそれぞれのおおまかなパフォーマンスを確認していく。確認指標となるベンチマークスコア計測には下記タイトル公式サイトより公開されているベンチマークソフトを使用した。

それぞれの搭載するGPUはGTX 1660 SUPER(A5G1D)とRTX 4060 Ti/8GB(A7G6T)と発売時期が大きく異なるため、以下は動作性能の一例として参照いただきたい。なおRTX 4060 Ti はレイトレーシングやNVIDIA DLSSといった最新のグラフィックス技術に対応している。今後これらの最新技術を用いたタイトルのプレイを考えている人は、その点も留意されたい。

ブループロトコル

NEXTGEAR JG-A5G1D 最高画質設定でのベンチマークスコア

NEXTGEAR JG-A7G6T 最高画質設定でのベンチマークスコア


一つ目はオンラインアクションRPG『ブループロトコル』のベンチマークソフト。各機種それぞれ最高画質と中画質設定でのテストを実施。結果はいずれの機種・設定でもリザルトとしては「極めて快適」の評価を記録しており、画質を抑えた際にはより高いスコアを記録する順当な結果だ。2機種間の同画質設定におけるスコア差は主にGPU性能によるもので、RTX4060 Tiを搭載したA7G6Tが数値上は倍近いスコアを記録している。

NEXTGEAR JG-A5G1D 中画質設定でのベンチマークスコア

NEXTGEAR JG-A7G6T中画質設定でのベンチマークスコア


そのほか顕著な差としてはロード時間に挙がるだろう。A5G1Dはテスト中のロード時間がいずれの設定においても30秒を上回る。これはCPUの性能差に起因する読み込み/処理速度の差だ。ロード時間の積み重なりは短期間で見れば数秒程度の差となるものの、実際にプレイするタイトルによりロードの量/頻度は異なる。こうしたロード時間の差と蓄積をどう捉えるかによって、ユーザーとして選びたいCPU性能や選びたい機種・構成も変化してくる。検討する際に気になるポイントの一つだろう。

ストリートファイター6

NEXTGEAR JG-A5G1Dグラフィック設定NORMALでのベンチマークスコア

NEXTGEAR JG-A7G6Tグラフィック設定NORMALでのベンチマークスコア

二つ目に対戦格闘ゲーム『ストリートファイター6』のベンチマークソフト。2機種ともトータルスコアは100/100を記録。本作にて新たに追加されたワールドツアーモード中は都市部を自由に移動・探索でき、そのモードに該当するシーンではどちらの機種もフレームレートが若干低下する瞬間が見受けられた。一方対戦モード中は2機種ともに60fpsを安定して維持。一部の派手な演出を含むアクション(ドライブインパクトやスーパーアーツなど)の成立時にはっきりとしたフレームレート低下が見られたものの、それらは必ずアクションが確定した後で発生していた。よって対戦において大きな支障となるフレームレート低下はなく、2機種ともベンチマークリザルトの通り快適なプレイが可能だ。

『FF14』「暁月のフィナーレ」

NEXTGEAR JG-A5G1D 高品質(デスクトップPC)設定でのベンチマークスコア

NEXTGEAR JG-A7G6T 高品質(デスクトップPC)設定でのベンチマークスコア

最後に『FF14』「暁月のフィナーレ」のベンチマークソフト。こちらは2機種で総合評価が分かれ、スコアにおいても10000を超える差が出る結果となった。しかしながら、2機種間のロード時間の差は約4秒と『ブループロトコル』中画質設定での計測時のロード時間に見られたほどの差は生じていない。計測中に激しい戦闘が繰り広げられる場面でも大きくフレームレートが低下するような場面は見られず、いずれの機種もスムーズな動作が期待できる。

以上が今回「NEXTGEAR JG」シリーズの内2機種、「NEXTGEAR JG-A5G1D」と「NEXTGEAR JG-A7G6T」の実物を確認・ベンチマークテストをおこなっての所感となる。両機種間で販売価格が異なるため明確な性能差は存在するものの、いずれも昨今の人気タイトルを快適に楽しめることが確認できた。リーズナブルな価格で手に入るエントリーモデル「NEXTGEAR JG-A5G1D」は、はじめてのゲーミングPCにひとまず触れてみたい人におすすめの高コストパフォーマンス機種。同シリーズ内のプレミアムモデルに位置づけられた「NEXTGEAR JG-A7G6T」は、この機会にPCゲーミングを楽しむ上でスタートダッシュを切りたい人、レイトレーシング、DLSSなどの先進的な映像技術に触れたい人におすすめの機種と言えるだろう。

NEXTGEAR JGシリーズには、本稿にてとりあげた2機種のほか構成・価格の異なる7機種が存在する。同一コンセプトのエントリーモデル内で幅広い価格帯が展開されているため、これからゲーミングPCの購入を考えている人にとってはこうした選択の自由度の高さも魅力となるだろう。そのほか、備品がセットになったスターターモデルなども発売されている。その他の機種についても気になった人はマウスコンピューター公式ECサイトNEXTGEAR JGシリーズ紹介ページを参照されたい。

Toru Ishikawa
Toru Ishikawa

雑食ゲーマー、好きな言葉は「Random loot」と「Permadeath」です。

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