一人称視点探索型サイコホラー『Unholy』プレビュー。高い没入感と盛りだくさんなゲームプレイをあわせ持つホラー

HOOKは、Duality Gamesが手がけるサイコホラーゲーム『Unholy』Steam版を7月21日に配信予定。本稿では本作先行体験版の内容をお届けする。

パブリッシャーのHOOKとデベロッパーのDuality Gamesは、『Unholy』のPC(Steam)版を7月21日に配信する。『Unholy』は、一人称視点の探索型サイコホラーゲームだ。主人公ドロシーは、とある教団の事件に巻き込まれ失踪してしまった息子ガブリエルを追って、現実世界と不浄なる「Unholy」の2つの世界を行き来しながら手がかりを探し、「感情」を武器にする方法を学びながら、不浄なる世界の真実を解き明かしていく。


障害物の破壊や機械の起動といったステージ攻略のほか、煙幕を展開する、敵にダメージを与えるといったことも可能な4つの「感情」と、能力の向上をはじめさまざまな効果をもち、敵になりすますことも可能な「仮面」を駆使する独特なシステムが特徴。綿密な探索、難解なパズル、ステルス要素、シューティング要素を取り入れたユニークなゲームプレイが楽しめる。

今回、発売に先立って『Unholy』の先行体験版をプレイすることができたため、体験版の内容をお伝えする。


没入感を生み出す、明暗の対比と立体感のある音響

本作をプレイしてまず感じたのは、没入感の高さだ。光と影の表現力が際立っており、主に探索をおこなうパートである現実世界では、薄暗いマンションに差し込む光と、それによってできる影との対比が映える。鏡やガラスへの映り込みまで再現され、まるでその場にいるかのようなリアリティだった。また、音の遠近や方向、遮断の有無により聞こえ方が細かく変化するなど、立体感のある音響もこだわりが感じられる。



一転、異世界である「Unholy」パートでは、没入感の高さがそのまま恐怖へと変わる。青白い光が差し込む異世界と化したマンションはひかえめに言っても不気味で、影との対比はより際立つ。どこからともなく聞こえてくるなにかの軋むような音、吹き込んでくる風の音、そして緊迫した主人公の息遣いに恐怖心をかきたてられ、思わず先に進むのをためらってしまうほどだった。


本作のホラー要素は、これらの表現力の高さに支えられ、身の毛がよだつような緊張感を生み出している。不気味かつグロテスクで、現実世界との対比を感じさせる「Unholy」の世界観も魅力的だ。


さまざまな要素を取り入れた、退屈させないゲームプレイ

本作のもうひとつの特徴が、さまざまな要素を取り入れたゲームプレイだ。さまざまなものを調べながら情報を収集していく探索パートをはじめ、パズルや謎解き、敵地へ潜入するステルス、パチンコを用いたシューティングなど、場面によってゲームプレイが大きく変化していく。


現実世界の探索パートは、インタラクト可能なものが多く、調べたものに対してそれぞれ主人公のコメントが用意されている。主人公ドロシーの主観で語られるというのが面白く、登場人物同士の関係性や事件の背景が、だんだんと浮かび上がってくる。

一方「Unholy」では、「感情」と「仮面」を駆使し、ときには敵勢力をやり過ごしながらすすんでいくことになる。「感情」は特殊な弾丸のようなもので、パチンコで射出することにより電子基板を破壊し道を切り開いたり、煙幕を展開して敵の目を欺いたりといったことが可能。プレイした範囲では体験できなかったが、敵に直接ダメージを与える、敵を誘惑するといったこともできるようなので、製品版では攻略の幅がより広がりそうだ。

総じて、本作は探索型サイコホラーゲームと銘打ってはいるものの、プレイヤーが介入できる要素が多く、退屈さを感じにくいように作られている印象であった。


プレイヤーに親切なつくり。気になる点は少々

ホラーゲームをプレイしているとき、緊張感のあまり目先のことに集中してしまい、今どこにいるのか、何をすべきかわからなくなってしまうといった経験はないだろうか。本作には、ワンボタンで現在の目標をいつでも表示する機能と、インタラクト可能な対象を強調表示する機能が搭載されているため、そういった心配は無用だ。目標は主人公の認識、たとえば「○○しなければいけないわね」といった形式で表示され、強調表示機能は「仮面」の力によるものと説明されていることから、便利なだけでなく、没入感を削がないように工夫されているのも粋なところである。


プレイしていて気になった点としては、移動中足元の障害物に引っかかってしまうことがやや多かった。ツタのようなものが張り巡らされたエリアで顕著であったものの、他のエリアではあまり起こらなかったため、ストレスを感じるほどではなかった。

また、潜入中敵の視界に入った際、見つかってしまったのか、見つかりそうになっただけなのかがわかりづらいことがあった。とはいえ本作はホラーゲームであり、見つかったことがあまりに明確になってしまうと緊張感が削がれてしまうことも考えられるため、一概に欠点とは言えないかもしれない。


以上がプレビュー感想である。製品版はどのような体験に仕上がっているのだろうか。『Unholy』は、PC版(Steam)が7月21日配信予定だ。なお、コンソール版は2024年配信予定となっている。

Sou Matsubara
Sou Matsubara

机上で対戦ゲームについてあれこれ考えている時が一番幸せです。
得意なジャンルは2D格闘ゲームです。

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