『レインボーシックス シージ』新シーズン「COMMANDING FORCE」先行プレイで感じた「駆け引きの前提」の崩壊。新オペレーターBRAVAは環境を変えるか

ユービーアイソフトは2月18日、『レインボーシックス シージ』の世界大会Six Invitational 2023において、新シーズンであるYEAR8シーズン1「Operation COMMANDING FORCE」 の詳細を発表した。新オペレーターBRAVAや、先行プレイでのインプレッションを紹介。

ユービーアイソフトは現地時間2月18日、『レインボーシックス シージ(以下、シージ)』の世界大会であるSix Invitational 2023において、同ゲームの新シーズンであるYEAR8シーズン1「Operation COMMANDING FORCE」(以下、COMMANDING FORCE) の詳細を発表した。新シーズンでは新規の強力なオペレーターがゲームに追加されるとともに、いくつかの興味深い変更が実装される。

テストサーバーへの実装を目前に控える中、ユービーアイソフトより「COMMANDING FORCE」先行プレイの機会をいただいた。実際に新シーズンに触れた上でのファーストインプレッションを紹介していこう。なお、一般公開前のテストサーバーの情報を含むため、ライブサーバーへの実装時と一部情報が異なる場合も想定される点に留意してほしい。




新オペレーター「BRAVA」は敵の電子ガジェットをハックし奪う

新オペレーター「BRAVA

  • サイド:攻撃
  • 専門分野:アンチガジェット、インテル
  • メインウェポン:PARA-308(アサルトライフル)、CAMRS(マークスマンライフル)
  • サブウェポン:SUPER SHORTY(ショットガン)、USP40(ハンドガン)
  • メインガジェット:クラッジドローン
  • サブガジェット:スモークグレネード、クレイモア
  • アーマー:1 スピード:3


今シーズンからレインボー部隊に参加するBRAVAはブラジル出身の攻撃側オペレーターである。彼女の経歴によれば、古株の隊員であるCAPITÃOとは従兄妹の間柄であるらしい。保有するメインガジェットは「クラッジドローン」(以下、クラッジ)。クラッジは防衛側の電子ガジェットに近寄り、光線を当てることでそのガジェットの制御権を奪うことができる。BRAVAが所持するクラッジは2機。それぞれ最大3つ、計6つの電子ガジェットを奪い操ることが可能だ。

*クラッジ操作時のインターフェイス


一般に、防衛側のガジェットは攻撃側のオペレーターの動きを阻害したり、ダメージを与える作用があるが、クラッジによって奪われたものはその作用対象が反転し、防衛側のオペレーターに害をなす存在になる。このゲームでは、BRAVAだけでなくすべてのオペレーターが固有のメインガジェットを有する。そのほとんどが電子ガジェットであり、それらを奪うクラッジがゲームプレイに及ぼす影響は大きい。

*クラッジで奪ったカメラを見ている様子


ガジェットのハックについて、いくつか具体例を挙げよう。MAESTROはイーヴィルアイという防弾仕様かつテーザー発射機構を有するカメラを持ち込める。イーヴィルアイは情報およびダメージのリソースとして強力であり、防衛側はこれをよすがに最終盤の攻防を有利に運ぶことができる。が、それがクラッジによって奪われ、逆に拠点内の情報を攻撃側に拾われ、背中をテーザーで撃たれたら……どうなるだろう?

あるいは、KAPKANが持ち込んだブービートラップ、EDDをクラッジにハックされたら?乗っ取られたEDDは防衛側のオペレーターに対して突然牙をむき、移動を制限するようになる。「真のハンターはまず足元を警戒する」とはゲーム内におけるKAPKANの言だが、まさか自分が足元を気にする羽目になるとは思っていなかったに違いない。

そして、JÄGERが所有するADS、投てき物に対する防衛機構も例外なくハックされる。ADSを置き、フラググレネードから身を守りつつ要所で撃ち合う戦術はこのゲームにおいて非常にポピュラーだ。しかしハックされたとたん、ADSはもはや頼りがいのある相棒ではなくなるし、それどころか、防衛側が投じたニトロセルや遠隔ガスグレネードを撃ち落としてしまう。

*EDDをハックされたKAPKANの運命は……


このように、新オペレーターBRAVAと彼女が持つクラッジは、これまで7年間積み重ねられた『シージ』の環境そのものをひっくり返すポテンシャルを秘めている。『シージ』のみならずほかのタクティカルFPSにも共通する点として、攻防が所有するリソースの駆け引きは勝利のために非常に重要で、どれだけリソースをかけずに相手を排除するか、あるいはどのように相手のリソースを浪費させるかがゲームの根幹となっている。このリソースのやり取りという『シージ』の「前提」において、「ガジェットを奪う」という行為は大きなアドバンテージをもたらすため、BRAVAはゲームチェンジャーとなりうる存在である。「拠点にガジェットをたくさん残しているからここではあと30秒耐えればいい」といった防衛側のシナリオは、ドローン侵入口からクラッジが1体入ってきただけで崩壊しうる。ガジェットで築き上げた堅牢な拠点がすべて裏目になる可能性があるのだ。

とはいえ、防衛側にも対策は用意されており、既存のアンチドローン集団が有効に働く。MUTEのシグナルディスラプターはクラッジの進行経路を塞ぐことができるし、MOZZIEのペストランチャーでクラッジを捕獲すれば、逆に攻撃側のガジェットを乗っ取る尖兵として利用できる(これらのガジェットをクラッジにハックされない限りは)。SOLISのエレクトロセンサーで侵入を事前に察知し食い止めることも有効だろう。新シーズンはこのクラッジをめぐる駆け引きも楽しめそうである。そもそも電子ガジェットを使わないという発想で対策することも可能で、TACHANKAやFROSTなどオールドファッションなガジェットを有するオペレーターの需要が高まるかもしれない。

余談ながら、先行プレイでは「クラッジでハックしたシグナルディスラプターによってペストで捕獲したクラッジが阻害され……」といったハックの応酬による複雑な駆け引きが見られた。ガジェットの制御権の移行のやり取りにまつわるカオスは非常に多岐にわたるため、ぜひ実際に『シージ』を起動して体験していただきたい。


ユーザーエクスペリエンスの向上に向けた取り組み~今から『シージ』を始める人へ~

BRAVAの登場によって7年煮詰めた環境が一変しそうな『シージ』。そんな折、「COMMANDING FORCE」では新たなビギナー向けの施策もスタートする。以前よりビギナー向けのチュートリアルは存在していたが、新シーズンからは「ニューカマー・チャレンジ」という新たな要素が加わる。これはオペレーターごとに割り振られたタスクと、それをクリアすることによる報酬で構成されており、マルチプレイの中でそれらのタスクを順番にこなすことで、各オペレーター固有の操作に習熟していくことを意図したものであるとのこと。さまざまな報酬が用意されているとのことだが、その中でも特筆すべきは「類似のオペレーターをアンロックする権利」であろう。

*『シージ』の代表的なオペレーターであるTHERMITEにはブリーチ、サポートが付与されており、HIBANAやBUCKと同じ分野に属する


『シージ』のオペレーターはいくつかの専門分野に類型化されており、例えば、前述のBRAVAはアンチガジェット、インテルという分野に割り振られている。ニューカマー・チャレンジで1人のオペレーターのタスクを進めると、報酬として同じ分野に属するオペレーターをアンロックすることが可能とのことだ。ゼロから始めて、ニューカマー・チャレンジを通じて好きなオペレーターの立ち回りを学び、似たオペレーターをアンロックして渡り歩くことで一人前の特殊部隊になっていく……。そのような導線が想定され、個人的には非常に楽しみな要素である。一人でも多くの新兵がレインボー部隊に定着することを祈ってやまない。


その他の変更点

以上の主要な要素に加え、特筆すべき変更点についても言及しておこう。まず、リロードのシステムが抜本的に変更される。リロードモーションをキャンセルして別の行動をとった場合、従来はリロード直前に装弾していた分の弾数が弾倉に残っていたが、新シーズンではこれが必ず1発のみになる仕様が導入される。これにより、リロードという行動を選択するリスクが増大するため、撃ち合いにおける駆け引きの変化、味方のカバーに入る重要性の増大が見込まれる。

バトルパスの報酬システムには嬉しい変更点がある。これまで、バトルパスが既定の100レベルまで達した後は、5レベルごとにスキンがランダムに封入されたアルファパックを貰うことができたが、新シーズンではこれに代わり「バトルパスチケット」と呼ばれるアイテムを貰うことができる。これはブラボーパック(アルファパックよりもレアリティの高いパック)に封入されている任意のスキンと引き換えることができるもので、いちプレイヤーとして言わせてもらえれば「そんな旨い話があっていいのか!?」という報酬である。シーズン中にたくさんプレイすることに対するインセンティブとして大いに機能しそうだ。

*大人気のブラックアイススキンも好きなものを選んで獲得できる(封入アイテムは新シーズンに変更される可能性あり)


そして、本作PlayStation/Xboxコンソール環境において、いわゆる「マウサー」問題にメスが入り、「マウス・トラップ」というユービーアイソフト独自の技術に基づく検知システムが導入される。このシステムは、パッドではなくマウスによると判断された挙動に対して少しずつ入力遅延を施し、マウスを使用するアドバンテージを低減させるとのことだ。


おわりに

以上、駆け足ではあるが、新シーズンである「COMMANDING FORCE」の概要を紹介した。BRAVAとクラッジは『シージ』の「前提」を覆し、新たな環境を創造する大きな可能性を秘めている。「COMMANDING FORCE」はYEAR8開幕の号砲として、幕開けにふさわしいフレッシュなシーズンになるだろう。

レインボーシックス シージ』は、PC/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに発売中。Xbox/PC Game Passにも対応している。YEAR8シーズン1「COMMANDING FORCE」は、日本時間2月21日にテストサーバー実装、3月7日にライブサーバー実装予定だ。

Vongole Domingo
Vongole Domingo

子供のころゲームは1日1時間だったアラサー。反動で今はRTSやFPSなど時間泥棒系のゲームに傾倒している

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