“怪物使役ローグライトハクスラルーターシューター”『SYNCED』とはどんなゲームなのか。ベータテストで確認した魅力と不満

『SYNCED(シンクド)』は、中国のデベロッパーNExT Studiosが開発中のローグライトルーターシューターゲームだ。対応プラットフォームはPC(Steam)。現在オープンベータテストを実施中。本稿ではゲームプレイの様子をチュートリアル、PvE、PvPの3つにわけて紹介していく。

SYNCED(シンクド)』は、中国のデベロッパーNExT Studiosが開発中のローグライトルーターシューターゲームだ。対応プラットフォームはPC(Steam)。現在オープンベータテストを実施中であり、期間は2023年1月15日まで。舞台は近未来のポスト・アポカリプス世界。プレイヤーは「ランナー」となり、世界から隔絶された地域で人類が創り出した凶悪な生物兵器「ナノ」との戦いに身を投じることになる。それぞれ特色のことなるランナーから1体を選び、PvEやPvPで仲間と共闘。戦いの中でナノを倒すだけでなく、彼らを武器として使役もできる点が本作の特徴だ。


『SYNCED』は三人称視点のシューターであり、3人チームを組みPvEやPvPに挑む。筆者が本作の概要から想起したのは、本作と同様に滅びた世界が舞台のTPSゲームである『Remnant: From the Ashes』や『アウトライダーズ』だ。同作のファンである筆者はこの『SYNCED』に興味津々であった。12月10日より始まったオープンベータテスト(以下、OBT)も、すぐさまプレイした。本稿ではその際のゲームプレイの様子をチュートリアル、PvE、PvPの3つにわけて紹介していく。

チュートリアルによるわかりやすい説明でお出迎え

まず本作の概要についてチュートリアルミッションのプレイを通じて説明しよう。ゲーム開始時のチュートリアルでは美麗なグラフィックと丁寧な日本語ローカライズの中、わかりやすい説明で操作方法やゲームシステムを学ぶことができる。またミッションが進むにつれて、ストーリーの詳細も語られていく。


本作のストーリーは、「大崩壊」と呼ばれるテクノロジー災害をきっかけに滅んでしまった近未来の世界を舞台に繰り広げられる。プレイヤーはランナーとなり、新世界の貴重な資源「ナーヴァ」を集めることが目的だ。ナーヴァは“生粋のナノエネルギー”であり、たった一つで拠点となる施設の電力需要を一日賄えるという。しかしナーヴァが存在するのは危険な隔離地域。ここにはナノマシンの怪物であるナノが無数に存在する。プレイヤーはナノを倒しながら、ナーヴァを集める必要がある。

ミッションを進めていくと、大型のナノである「ナノ・プライム」が登場。岩のようにゴツゴツした見た目の大型ナノを、チュートリアルに従って弱点を撃ち抜き、無事討伐。そうすると、新たな機能「シンクロ」が可能となる。シンクロはナノをランナーに取り込む動作であり、ナノ・プライムを行動不能にさせることで可能となる。


そしてシンクロを終えると、本作における重要な機能「ナノコンパニオン」が登場。ナノに似た銀色の頼もしい味方を呼び出すことが可能となる。本作にはそれぞれ特色のことなる4種類のナノコンパニオンが存在。チュートリアルでお供してくれるのは近接戦闘に特化したナノコンパニオン「クラッシャー」だ。


クラッシャーはランナーの指示に従い行動する。攻撃や防御といった命令のもと、多彩なアクションやスキルを繰り出し、複数のナノを相手に大暴れ。怪物だらけの崩壊した世界において、非常に頼もしい相棒となる。また、ナノコンパニオンは呼び戻すことも可能だ。呼び戻した場合はランナーの右腕に装備するようなかたちでまとわる。そして右腕に装着されている場合でも、ナノコンパニオンの力は発揮される。エイム速度の上昇や、エイム時のシールド展開と、ナノコンパニオンの種類によって効果はさまざまだ。チュートリアルでの相棒、クラッシャーの場合は移動速度と近接攻撃速度の上昇効果を得ることができる。

クラッシャーと共にミッションを進めていくと、「エクスチェンジャー」というオブジェクトの説明が入る。エクスチェンジャーもナノコンパニオンに並ぶ、本作における重要な機能だ。マップ上でランダムに設置されており、道中で得られる「レイディア」を消費することで、一時的な強化を得ることができる。ランナーを強化するものと、ナノコンパニオンを強化するものに大きく分かれており、さまざまな種類が存在する。ランナーの攻撃にスタン効果を付与したり、ナノコンパニオンのHPや攻撃力を強化したり、新たなスキルを覚えさせることも可能だ。


その後もチュートリアルどおりにミッションを進行。最後にクラッシャーと共にナノの大群を一層し、ミッションクリア。ランナーは拠点である「ヘイヴン」へと帰還する。拠点に帰還すると、最後のチュートリアルとしてランナーとナノコンパニオンの説明が入る。本作には5種類のランナーと、4種類のナノコンパニオンが存在。それぞれ見た目やスキルが異なり、自分のプレイスタイルに合ったランナーとナノコンパニオンを選ぶことができる。筆者はランナーに“イケオジ”なヒーラー「DR.ストーン」を選択。ナノコンパニオンには、右手のキャノンがとてもクールで、遠距離攻撃が得意な「サプレッサー」を選択した。


こうしてチュートリアルは終了。チュートリアルでは新要素が登場するたび、丁寧な説明が挟まるためゲームシステムを自然と理解することができるだろう。一方で本作には固有名詞が多い。固有名詞についてはあまり明確に説明されないので、ゲームをプレイをしている最中にどういう意味の単語かわからなくなることもしばしば。今回のOBTでは、ゲーム内で何を言われているのかわからないシーンもあった。

ヘイヴンを守るため戦う、独自システムが魅力的なPvE

チュートリアルを終え、ランナーとなった筆者は早速PvEモード「デッド・セクター」へと足を踏み入れた。本モードでランナーは3人のチームを組み、拠点を守るために立ち入り禁止区域「メリディアン」でナノとの戦いを繰り広げることになる。流れとしては、3つのステージを進行し最後に待ち受けるボス「タイラント」を倒すといったかたちだ。また、「サージ濃度」と呼ばれるゲージが存在し、ミッション経過時間に応じてゲージが上昇。100%になると継続的にダメージを食らう状態になってしまうため迅速なミッションクリアが求められる。

最初のステージとなるセクター1では、「サージストーム」と呼ばれる現象が発生している場所に存在するナノの大群を殲滅するなかで「サージ形成体」なるものの場所を特定し、破壊。そうして最終的にボスとなる「タイラント」の位置を特定し、討伐することが目的となる。

本モードでは、道中のセーフハウスで拾える武器が重要だ。本作には武器のTierが4段階存在し、Tierが高ければ高いほど武器の性能も上がっていく。そのため後半になってもTierが低い武器で戦っていると、ナノ一体相手でも苦戦してしまうことになる。セーフハウスでは武器Tierの強化も可能であるため、ボス戦では武器をTier4にして挑みたいところだ。


武器のTierを上げ、いざタイラント戦へ。タイラントは2発程度の攻撃でランナーをダウンさせてしまうほどの強さ。ここで筆者が選んだDR.ストーンのスキルが活きる。DR.ストーンのスキルはドローンを展開し、一定範囲内のプレイヤーを回復、自動で蘇生するというもの。本来であればダウンした味方の蘇生時に4秒ほど無防備になってしまうが、このスキルであれば使用するだけで蘇生できる。こうしてチームメンバーを蘇生しながらナノコンパニオンと共にタイラントを攻撃。筆者も何度かダウンさせられながらも、なんとか討伐に成功した。


タイラントを討伐すると本作におけるハック&スラッシュ要素となる「MOD」がドロップする。MODはミッション出撃前に装備することができ、さまざまな効果のものが存在する。このMODの強さによってランナーの戦闘力が決まるため、重要な要素といえるだろう。また、討伐後のMODドロップはプレイヤーごとに個別にドロップするため安心してすべて拾うことができる。


こうして無事にセクター1をクリアし、筆者はさっそく次のステージとなるセクター2に向かおうとした。しかし、セクター2からは推奨戦力2000と設定されている。セクター1をクリアしたての筆者の戦力は2000にはほど遠い。前述のとおり戦力はより強力なMODを装備することで上昇する。しかし、強力なMODを手に入れるにはセクター1を周回しなければならないのだ。

セクター1にはプレイするごとの難易度の変化や特殊イベントなどがなく、リプレイ性を高める要素が見られない。筆者は7周程度プレイしたが、どの周回でもナノを倒し、サージストームを倒し、サージ形成体を探し、タイラントを倒すという流れは同じ。1プレイは約20~30分となるものの、ほとんど代わり映えのしないゲームプレイを繰り返すことになるわけだ。さらに周回で獲得できるのは、自分が持っているMODより少しだけ戦力が高いMODとなる。レアドロップで一気に自分を強化できるかもしれない期待感もないのだ。

PvEモードはルーターシューターとして要点を押さえながら、ナノコンパニオンやランナーのスキルといった本作の持ち味も感じられる。初回プレイではなかなか楽しめる体験となった。しかし難易度の変わらない同じマップの周回は、根気が必要といえる。なお記事執筆時点で、OBTにデッド・セクターは5段階存在。セクターを進めることができれば、異なるマップで異なるミッションをプレイ可能だ。

ナーヴァを奪い合う、手に汗握るPvP

続いてPvPモード「ナーヴァ・ラッシュ」に挑戦。筆者はTPSでのPvP経験は『PUBG: BATTLEGROUNDS』を数年前に少し遊んだ程度。味方の足を引っ張らないかという不安を抱えつつも挑んでみることに。本モードではそれぞれ3人のチームを組み、4チーム対抗の最大12人でナーヴァを取り合う。また、プレイヤーは3回ダウンしてしまうと強制的にヘイヴンへと帰還し、脱落となってしまう。つまりダウン回数に制限があるため、無茶な行動はできないわけだ。そのほか大まかなシステムはPvEモードと同様で、ステージ内にはナノやナノ・プライムといったBotの敵も存在。相手プレイヤーや敵を退けつつ、制限時間内にナーヴァをもっとも多く集めたチームが勝利となる。

本モードではナノコンパニオンと、ランナーの選択が重要となってくる。筆者は索敵に特化したナノコンパニオン「シアー」を選択。シアーの効果は、周囲の敵プレイヤーの居場所を壁越しであろうと透視できるという優れもの。また、ランナーも索敵に特化した「ラーニャ」を選択。ラーニャは敵の音をより早く聞きつけることが可能だ。こうして索敵特化の構成で初のナーヴァ・ラッシュへと挑んだ。

試合開始早々、ナノ・プライムをみつけシンクロ完了。無事にナノコンパニオンのシアーを召喚することができた。その後は道中のナノを殲滅しながら、ナーヴァが多く存在する地点へと向かう。するとさっそく敵チームと遭遇。初の対人戦闘に意気込みながら武器を構えるが、筆者は一瞬のうちにダウンしてしまった。敵プレイヤーのスナイパーライフルにヘッドショットされてしまったのだ。そのままシアーを召喚することもできないまま、確殺となった。その後、メンバーを1人失ったチームメンバーは厳しい戦闘を強いられたようで、すぐに自チームは全滅となってしまった。


しかし、3回ダウンするまで試合には参加し続けられる。味方と共にリスポーンした筆者。現時点で自チームの順位は最下位であり、焦燥感を抱きながらナーヴァが多く存在する地点へと向かう。するとまたもや敵チームと遭遇。先程の失敗を活かし、今度は遮蔽物をうまく利用しながら戦闘し、早い段階でシアーを召喚。シアーの効果で敵の居場所が手にとるようにわかるようになった。シューターにおいて、相手の位置を知っているとやはり非常に有利だ。今度は無事、敵パーティーに打ち勝つことができた。


敵プレイヤーを倒すと、1人につき200ナーヴァを入手できる。このときは敵チーム3人全員を倒したため、合計で600ナーヴァを獲得することができた。自チームの順位はこの勝利により一気に2位まで上昇。しかしまだ1位チームの獲得ナーヴァ数にはほど遠いため、ナーヴァが多く存在する地点に向かうことに。目的地に到着すると、大量のナーヴァの近くで待機している敵チームを発見。どうやら1位のチームのようだ。先程と同様、シアーを召喚し敵の居場所を把握。一方で相手もこちらの存在に気づいており、激しい撃ち合いとなった。敵の体力を大きく削るも、こちらが先に削られきってしまい、筆者たちはあえなくダウン。非常に惜しい結果となってしまった。筆者のエイムの悪さはもちろん、敵の武器Tierが高くこちらの武器Tierが低かったことも影響しているのだろう。その後、味方もダウンしてしまい戦闘に敗北。その後リスポーンしたものの、見どころもなく再び同じ敵チームにやられてしまった。筆者は3回ダウンしてしまったため、ゲームは終了。筆者のチームは惜しくも2位という結果だった。


試合前の不安とは裏腹に、初のナーヴァ・ラッシュで筆者は手に汗握る熱い戦闘を体験できた。一方で本作のPvPには不満点もある。武器の強さに対して、ナノコンパニオンを含むほかの要素の重要度が低い印象を受けたのだ。

ナノコンパニオンは敵の場所を透視したり、突撃してタンクをしたりと強力な存在だが、本モードのメインのダメージ源はあくまでプレイヤーの銃だ。強力なナノコンパニオンも、強いTierの銃に撃たれてしまうと簡単に倒れてしまう。そして強力な銃の前にはエクスチェンジャーによる強化もあまり意味をなさず、武器の強さがほかの要素に対して大きく幅を効かせているように感じた。

本作のPvPでは銃の撃ち合いだけでなく、ナノコンパニオンなど多彩な要素が盛り込まれている。しかしそれぞれの要素のバランス調整は、まだまだ荒削りな印象であった。なお本作では、詳細は不明ながら、今後ナーヴァ・ラッシュとは別のPvPモードとして、「ナーヴァ・リミット」が実装予定だ。

魅力的なゲームシステム:ナノコンパニオン


『SYNCED』は、パワーアップ、カスタマイズ、アップグレードと、ルーターシューターとしてユーザーが欲しいであろう要素はしっかりと押さえている。本作の先行プレイを経て筆者が一番魅力に感じたのは、やはりナノコンパニオンだ。ナノコンパニオン自体のかっこよさや目新しさに加え、使い方も豊富。敵を引き付けたり、敵を一掃したりと、さまざまな用途でナノコンパニオンを活用できる。プレイヤーによって、多彩なスタイルの戦い方が可能となりそうなナノコンパニオンの存在には魅力を感じた。一方で本作はまだOBT段階ということもあり、粗削りな部分も多い。今後プレイヤーからのフィードバックを受けて、どのように改良されていくのかに注目したい。

『SYNCED』はPC(Steam)向けに、現在オープンベータテストが実施中。期間は2023年1月15日までとなっており、無料で参加可能だ。興味のある人は、まず本作を遊んでみるといいだろう。なおベータテスト期間中は毎週新しいコンテンツがリリースされ、TwitterやDiscordサーバーでコミュニティイベントが開催されるとのことだ。

Sora Hashio
Sora Hashio

MMOからMOBAまで幅広くプレイしています。ローグライクゲームが特に好き。

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