『NBA 2K23』紹介。快適操作とジョーダン伝説で、ルールもよく知らなかったバスケがどんどん好きになる

2K(日本語版はテイクツー・インタラクティブ・ジャパン)により発売された『NBA 2K23』は、『NBA 2K』シリーズの最新作だ。本稿ではマイケル・ジョーダン エディションPS5(次世代機版)をもとに、『NBA 2K23』のゲーム内容を紹介する。

2K(日本語版はテイクツー・インタラクティブ・ジャパン)により発売された『NBA 2K23』は、『NBA 2K』シリーズの最新作だ。実在のNBA(北米のプロバスケットボールリーグ)選手またはオリジナル選手を操作し、バスケットボール の試合をプレイできる。対応プラットフォームはPlayStation 4/PlayStation 5/Xbox Series One/Xbox X|S/Nintendo Switch/PC(Steam)。

本稿ではテイクツー・インタラクティブ・ジャパン提供のマイケル・ジョーダン エディションPS5(次世代機版)をもとに、『NBA 2K23』のゲーム内容を紹介する。ちなみに筆者はNBAについての知識が皆無で、さらにバスケットボールのルールさえも細かいところはよく分からない、かなりのバスケ初心者である。そんな筆者でも本作をプレイして十分に楽しむことができたので、レビューも交えながらお届けしていこう。なお操作方法については、PS5向けコントローラーであるDualSenseを基準とした説明となっている。


作品概要

本作にはさまざまなモードが用意されている。大きく分類すると、育成要素がなくすぐさまCPUまたは他プレイヤーと試合ができる「PLAYNOW」モード。オリジナル選手を作成して遊ぶ「マイキャリア」モード。実在のNBA選手たちを集めてドリームチームが組める「マイチーム」モード。選手獲得など、試合以外も含めてNBAのチームを運営する「マイNBA」モードに分けられる。

モードによって、プレイヤーは自チームのうちの一人、もしくは複数の選手を交代で操作し、ボールをパスで繋ぎながらシュートを打って得点を目指すこととなる。複数の選手を交代で操作する場合は✕ボタンを押すことで、オフェンス時には別の選手にボールパスを出し、ディフェンス時には操作対象の選手が切り替わる。この選手切り替えでは、もっともボールに近い位置にいる選手が優先的に選ばれるため、こちらがディフェンスの場合でもスムーズな操作が可能となる。相手が次々とパスを回して翻弄してくるような場面でも、即座にボールの近くにいる自チームの選手を操作できるわけだ。慌ただしい場面でも最小限の操作で対応できる、非常に便利なシステムであった。


入り口はシンプルだが、奥へ行くほど幅広い操作システム

まず、バスケ初心者の筆者でも本作を楽しむことができた理由のひとつとして、難易度選択の幅広さがある。本作の難易度はルーキー、セミプロ、プロ、オールスター、スーパースター、殿堂入りの6段階が用意。自分にあった難易度を選ぶことで、苦労することなくプレイできるだろう。筆者はもっとも易しい難易度のルーキーを選択。簡単すぎず、ちょうどよい難易度で本作を楽しむことができた。たとえば最初の試合では、中盤までは接戦状態が続き、操作に慣れてきた終盤から5、6点差をつけて勝利を収めるという試合展開であった。バスケ初心者の筆者でも気持ちよく勝てたわけだ。一方でもちろん熟練のプレイヤーであれば、もっと難易度が高く歯ごたえのある試合を遊ぶこともできるだろう。プレイヤーを選ばない難易度の幅広さは、バスケ初心者かつシリーズ未経験の筆者にとってありがたい作りであった。

さらに、基本的な操作がシンプルなことも、筆者が魅力を感じた部分だ。シュートをうつときは□ボタン、ディフェンスをするときはL2トリガーなど、もっとも基本となる動作はボタンひとつでおこなえる。一方で、応用的なテクニックも存在する。ゲームメニューから操作方法一覧を開いてみると、それらを確認可能だ。その項目の多さに初心者は面食らってしまうかもしれない。


たとえばシュートのカテゴリだけでも24個もの説明項目があり、その内訳をみてみると、ダンクシュートだけでも7種類もあることがわかる。基本のボタンに加えて、別のボタンやトリガー、スティックの動きを組み合わせることで、幅広いバリエーションが実現されているのだ。たとえば先述したダンクシュートのうち、両手でおこなうツーハンドダンクには「R2トリガーを押しながらRスティックを上に倒し続ける」という説明がついている。

もちろん、こうしたテクニックをいきなり全部覚えるのは難しいだろう。筆者のような初心者であれば、多岐にわたる技のラインナップにひるんでしまうかもしれない。しかし、こうした技をうまく使いこなせるようになれば、さらに多彩なプレイができそうな期待を抱かせてくれるのもまた事実。ただ単純に点数を稼いで勝つというだけでなく、もっと華麗でかっこいいプレイをしてみたいという、モチベーションとなってくれる。いわゆる“魅せプレイ”のような、スタイリッシュなプレイを目指すのもひとつの楽しみだろう。

ちなみに筆者のお気に入りは、「トリプルスレット クロススピンアウト」なる技。ドリブル中に敵のディフェンスをかわすときの動作である。ただ左右に動いて敵をよけるのではなく、敵の前でクルッと一回転をして抜き去るという技だ。動きが華やかでかっこよく、さらにディフェンスをくぐり抜けられたときは気持ちがいい。決まれば一石二鳥の技である。ちなみにトリプルスレットとは、バスケの用語で「ドリブル、パス、シュートの3つの動作に無駄なく移行できる体勢」を指すそうだ。一連の動作をスムーズにする技術なのだろう。


さまざまな角度からバスケを楽しむ、豊富なモード

次に本作のゲームモードのうち、筆者が特に魅力を感じた2つのモードについて紹介したい。まずは「マイキャリア」モードである。これは平たく言えばストーリーモードのようなもので、オリジナルのキャラクターを作り、好きなプロチームに入団して遊ぶことができる。

ストーリーの内容は、ルーキーの主人公が少しずつ選手として成長していき、NBAでの成功を目指すというものだ。プロチームに入団したばかりの主人公が物語をたどっていく本モードでは、バスケやNBAの知識が浅くとも話に入り込みやすい。筆者も、プロの世界で右も左もわからない主人公と気持ちを同じくして物語を進めていた。


主人公には同世代の強力なライバル選手がいて、彼としのぎを削りながら試合をこなしていくことになる。ライバルは初対面からいきなり挑発してきたり、その後もなにかと主人公に突っかかってきたりと、ハッキリ言ってちょっとイヤなやつだ。その言動に思わずムッとしてしまうこともあったが、そのぶん試合で逆転勝利したときは一段と嬉しく感じられた。以上のようにマイキャリアモードは、プロになりたての主人公や、競争相手の存在によって、すんなりと感情移入できるのが魅力的なモードであった。

筆者が特におすすめしたい2つ目のモードが、「Jordanチャレンジ」モードだ。このモードでは、与えられたミッションのクリアを目指すことになる。そのミッションというのが、それぞれマイケル・ジョーダン選手が実際に試合中で達成した15の偉業がもととなっているのである。マイケル・ジョーダン選手は言うまでもなく、今も語り継がれる偉大なバスケットボール選手だ。その名は、バスケのルールすらおぼつかない筆者にも轟いているほどだ。


「Jordanチャレンジ」モードでプレイヤーは、マイケル・ジョーダン選手として彼の偉業の再現に挑戦する。たとえば、彼がNBAプレーオフ(※)にて一試合中に1人で63点もの得点をあげた伝説的試合では、プレイヤーも同じように63得点を目指すことになる。ジョーダン選手はステータスなどが高く設定されているものの、やはり初心者である筆者にとっては難しいチャレンジであった。ちなみに、現実での63得点記録はいまだに破られていないという。本モードでは、そうしたジョーダン選手の記録の数々がいかに驚異的であるかを、身をもって知ることができるわけだ。誰も真似できなかったジョーダン選手の伝説を、彼自身として追体験できるのはゲームならではの持ち味だろう。

(※)NBAプレーオフ……レギュラーシーズン終了後に東西の各リーグ(カンファレンス)の上位チームでおこなわれるトーナメント形式の試合

さらにこのモードの魅力は、ミッションの内容だけではない。特殊なビデオフィルターのおかげで、当時の雰囲気も味わうこともできる。筆者としては懐かしい、ブラウン管テレビ風の画面である。字幕などもこだわって作られており、当時の試合を観戦しているかのような気分を盛り上げてくれる。ジョーダン選手のファンは、当時の感動を自らの操作で体験しなおすことができることだろう。

また筆者は「Jordanチャレンジ」モードでマイケル・ジョーダンという一選手の歴史に触れるうちに、次はほかのNBA選手に対する興味も湧きあがってきた。本作の多くのモードでは、ゲーム内の選手交代画面で各選手の身長体重といった基本情報から、プレイ傾向、受賞歴などを見ることができる。そうしたプロフィールを思いがけず熱心に読んでしまったり、NBAでのほかの記録について調べてしまったり。気づけばいつの間にかNBAにハマりつつあるといっても過言ではない。「Jordanチャレンジ」モードは筆者のようなバスケのルールすらおぼつかない人間にさえ、ジョーダン選手の偉大さを示してくれた。さらに、NBAに興味をもたせてくれるきっかけにもなってくれたのだ。


ここまで書いてきたとおり、『NBA 2K23』はシリーズ未経験者でも問題なく楽しめるタイトルだ。たとえNBAやバスケットボールに詳しくなくても、興味をもつきっかけとなる要素が散りばめられている。そのため、ルールさえおぼつかないような人間でも、バスケのことがいつの間にか好きになっているような作品だった。

バスケが元々好きな人も、筆者のようによく知らない人も、気になる人は『NBA 2K23』を手に取ってみてほしい。技を駆使した華麗なプレイ、オリジナルキャラでのNBA選手生活、マイケル・ジョーダンの伝説への挑戦、NBAチームの運営体験……どのような遊び方をするにせよ、あなたはいつのまにかバスケットボールとNBAの虜になっていることだろう。

NBA 2K23』はPlayStation 4/PlayStation 5/Xbox Series One/Xbox X|S/Nintendo Switch/PC(Steam)にて発売中だ。

Mie Aoki
Mie Aoki

ゲームと名のつくものなら何にでも飛びつく雑食ゲーマー。積みゲーを積むゲームを日々プレイしています。

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