『レインボーシックス シージ』新シーズン「BRUTAL SWARM」先行プレイで新風を感じた。新要素は攻撃・防衛の定石の変化をもたらすか

ユービーアイソフトは現地時間8月21日、『レインボーシックス シージ』の新シーズンであるYEAR7シーズン3「Operation Brutal Swarm」 の詳細を発表した。『レインボーシックス シージ』の新要素や、先行プレイでのファーストインプレッションを紹介。

ユービーアイソフトは現地時間8月21日、『レインボーシックス シージ』の世界大会であるSix Berlin Major 2022において、同ゲームの新シーズンであるYEAR7シーズン3「Operation Brutal Swarm」(以下、BRUTAL SWARM) の詳細を発表した。「BRUTAL SWARM」では新規のオペレーターおよびサブガジェットを始めとするさまざまな要素がゲームに追加される。ロードアウトやリコイルパターンの変更による、大幅なバランス調整が実施されることも注目だ。

テストサーバーへの実装を目前に控える中、ユービーアイソフトより「BRUTAL SWARM」先行プレイの機会をいただいた。実際に新シーズンに触れた上でのファーストインプレッションを紹介していこう。なお、一般公開前のテストサーバーの情報を含むため、ライブサーバーへの実装時と一部情報が異なる場合も想定される点に留意してほしい。



「BRUTAL SWARM」の新要素(オペレーター、サブガジェット)

新オペレーター「GRIM」

  • メインウェポン:552 Commando, SG-CQB
  • サブウェポン:P229
  • メインガジェット:カワンハイヴランチャー
  • サブガジェット:ブリーチングチャージ, クレイモア
  • アーマー:1 スピード:3


新オペレーターのGRIMは、シンガポール海軍の特殊部隊であるNDUに所属する攻撃側オペレーターである。保有するメインガジェットは「カワンハイヴランチャー」(以下、カワンランチャー)。カワンランチャーには5つのキャニスターが装填されており、射出されたキャニスターは地表に着地すると羽虫の群れのような無数のボットを半径3mの円上に展開する。


ボットの群れの中に防衛側のオペレーターが侵入すると、そのオペレーターの足元に赤いピンが打たれ、攻撃側から位置を特定されてしまう。オペレーターがボットの群れを抜け出してもボットは付きまとい、一定時間ごとに3回ピンが打たれるため、一度群れの中に侵入してしまうとしばらくは攻撃側に所在を追われることとなる。なお、ボットの群れは展開後10秒程度で消滅する。


カワンランチャーのタレットおよびボットは防弾仕様となっているため、銃撃で機械の虫を駆除することはできず、防衛側からすると非常に厄介なガジェットとなっている。ただ、対抗手段はいくつか用意されている。

ボットの展開を妨げたければ、JÄGERのADS(アクティブディフェンスシステム)で撃ち落としたり、防弾カメラのテーザーやMUTEのシグナルディスラプターを用いて起動を妨害したり、爆発物でキャニスターを吹き飛ばしたりで対処可能だ。WAMAIのMAG-NETを用いてGRIMの意図しない場所にキャニスターを逸らすこともできる。

ボットに付きまとわれてしまっても、もしあなたがVIGILを使っていればエレクトリック・レンダリング・クロークを起動することでボットの追跡を撒くことができるし、シグナルディスラプターの効果範囲に逃げ込めばボットは消えていなくなる。とはいえ、前シーズンのSENSのガジェットと比較するとカウンターの手段が少ないのは事実で、例えるなら「“それ”が見えたら終わり」とばかりに、キャニスターが視界に入った時点で付きまとわれるシーンもありそうな印象だ。


このように、カワンランチャーは索敵能力に優れているガジェットであり、その運用目的・方法としては現状、3つの可能性が考えられる。エリア獲得の高速化、拠点への集中的な投入による制圧、リテイクの抑止だ。

まずエリア獲得の高速化について、「強ポジ」や「ハイドポジ」と呼ばれる、防衛側が待ち構えがちなポジションに対してカワンランチャーを撃ち込むことで、ドローンを用いずともクリアリングを行うことができる。GRIM自身がスピード3の高速オペレーターであることもあり、建物へのエントリーからのエリア獲得を手早くおこなう一助になるかもしれない。

続いて拠点への集中的な投入による制圧について。前述の通り、このガジェットは5つのキャニスターを持つため、すべてを的確に撃ち込めば狭い部屋なら丸ごと虫の巣にすることが可能だ。カワンランチャーによって拠点内の敵の位置をすべて確定させたうえで、フラググレネードやカンデラなどほかのガジェットを使って敵を無力化させるなど、チームプレイの可能性が広がりそうである。

そしてリテイクの阻止について。防衛側がエリアを取り戻す動きであるリテイクをためらわせることもできるかもしれない。カワンランチャーのボットは10秒程度で消えてしまうため長期間の封鎖はできないものの、虫たちを見張りとして一時的に通路に置いておくことはできる。ディフューザーの設置時など、相手に裏を取られたくない瞬間に抑止力として用いることは可能だろう。また、ディフューザー設置後に設置位置に撃ち込めば、防衛側との解除の駆け引きで優位に立ち回ることもできそうだ。

現在の『レインボーシックス シージ』は攻防ともに柔軟な動きが求められており、それゆえに索敵の重要性が増している。GRIMがこれまでにない索敵の手段をゲームに持ち込むことで、どのような環境変化が起きるのか、非常に楽しみだ。


新サブガジェット「インパクトEMPグレネード」

今シーズンから、攻撃側の一部のオペレーターはインパクトEMPグレネードという新しいサブガジェットを携行可能となる。「EMPグレネード」と言えば初期オペレーターであるTHATCHERの代名詞、なんなら『レインボーシックス シージ』の代名詞ともいえるガジェットで、範囲内に存在する相手の電子ガジェットを一時的に無力化する強力な効果を持つ。

今回実装されるインパクトEMPグレネードは、簡単にいえばEMPグレネードの下位互換ガジェットである。一度に2つしか携行できず、無力化の範囲が狭く効果時間が短い。場面にもよるがある程度はEMPグレネードの代用品となりうるため、THATCHERのスペシャリティを損なわない形でほかのオペレーターの活躍の場を広げるような新ガジェットだ。


ただ、インパクトEMPグレネードが従来のEMPグレネードより優れている点も存在する。グレネードを投げた後の起爆までの挙動である。従来のEMPグレネードは投げてから少し転がり、その後起爆するというものであった。一方、インパクトEMPグレネードは壁や床にぶつかったタイミングで即座に起爆する。この仕様の違いにより、インパクトEMPグレネードには天井や壁にぶつけてその裏のガジェットを的確に無力化できる、ほかのガジェットとタイミングを合わせやすいという優位性が存在するのだ。

既存プレイヤー向けに例を出してみよう。たとえば、山荘のサンルームにつながる階段でADSを置いて待っている敵がいるとする。それに対し、外ラペからADSの裏に当たる壁にインパクトEMPグレネードをぶつけ、同時に窓からフラググレネードを投げ込むなど、防衛側が回避しにくいセットプレイを新たに作ることができそうだ。

インパクトEMPグレネードは先に紹介したGRIMのカワンランチャーと同様に、定点で守る防衛に対して刺さるガジェットだ。これらの登場によって来シーズンは定石の守り方を見直す必要が出てくるかもしれない。そんな時は、研究の鬼であるプロゲーマー各位のプレイを見ていただいて、そこから新要素の使い方を盗むのも良いだろう。観戦先の例としては、国内リーグ「Rainbow Six Japan League」などがある。


バランス調整(リコイルパターン 、ロードアウト、武器アタッチメント)

「BRUTAL SWARM」では、既存要素の変更によるオペレーター間のバランス調整が従来のシーズンと比べてかなり多い。ここでは目立った調整点を紹介する。現在の『レインボーシックス シージ』はLMGとフラググレネードの破壊力が環境を席巻しており、両者を保有するFINKAは多くのプレイヤーの間で物議を醸している。それもあってか、今回の調整はその弱体化を目的とした様子の内容が多くみられる。

「BRUTAL SWARM」では銃のリコイルパターンが刷新され、連射すればするほど段階的に反動が大きくなる仕様となる。これにより、装填数の多い銃、端的に言えばLMGによる弾幕は、射撃を続けるにつれて精度を大きく落とすこととなる。LMGのみならずARやSMGにもこの変更は影響するため、トリガーハッピーではなく細かな連射を駆使した撃ち合いが有効になっていくのではないかと思われる。上述のLMGの猛威などの武器性能差の緩和や、撃ち合いの変化にも繋がり、筆者個人は歓迎すべき変更だと感じている。


フラググレネードについて変更があり、携行可能なオペレーターが減少している。まず、「BRUTAL SWARM」ではFINKAはフラググレネードを携行できなくなる。SLEDGE、GLAZ、IANA、NOKKの4人のみが携行を許されており、オペレーターBANシステムを駆使することでフラググレネードを用いる作戦を制限できるようになった。

武器アタッチメントにも多くの変更が入っている。なかでもサプレッサーのダメージ減少効果の撤廃および、倍率スコープを所持するオペレーターの変更はプレイフィールに大きく影響を与えそうだ。

なおメディア向けの説明会では、これらのバランス調整は「テストサーバー等を通じたプレイヤーからのフィードバックを受けて柔軟に変更する」という言及がなされていたことを付記しておく。


そのほかの追加・変更要素

主要な追加・変更点に加え、いくつか特筆すべき要素も存在する。

快適なオンライン対戦環境を作るためのプレイヤー評価システムがアップデートされ、ゲーム内テキストチャットで攻撃的な言動を繰り返すプレイヤーには、ペナルティとしてチャット停止の措置がなされる。チャット停止となったプレイヤーからのメッセージはデフォルトでミュートとなっており、相手がそのプレイヤーのミュートを解除する設定をした場合にのみ相手に表示される。ペナルティ期間は30マッチと設定されている。

プレミアムバトルパス購入者へのインセンティブが強化され、ショップ内のすべてのアイテムを10%オフで購入可能となる。また、フレンドにプレミアムバトルパスをプレゼントする機能も追加される。

ランクマッチについても2点の変更がある。マップBANのシステムが変更され、5マップの候補から両チームが1マップずつBANし、残った3マップからプレイするマップがランダムに選択されるようになった。より多くのマップを経験してほしいという意図からおこなわれた変更とのことである。また、マッププールに「スタジアム ブラボー」が追加される。これは昨年実施されたRoad to S.I.イベント限定のマップであり、常設化が決まったようだ。


おわりに

以上、駆け足ではあるが、新シーズンである「BRUTAL SWARM」の概要を紹介した。GRIMおよびインパクトEMPグレネードの追加により、定点で守る防衛は再考を余儀なくされそうだ。また、LMGやフラググレネードなどのバランス調整は攻撃側のオペレーターの序列に変化をもたらすだろう。これまで定石とされてきた要素のバランスが崩れ、新たなメタが生まれることを期待したい。

レインボーシックス シージ』は、PC/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに発売中。Xbox/PC Game Passにも対応している。YEAR7シーズン3「BRUTAL SWARM」は、日本時間8月23日にテストサーバー実装、9月7日にライブサーバー実装予定だ。

Vongole Domingo
Vongole Domingo

子供のころゲームは1日1時間だったアラサー。反動で今はRTSやFPSなど時間泥棒系のゲームに傾倒している

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