『聖剣伝説』ファンでもないスマホゲー好きは『聖剣伝説 ECHOES of MANA』を楽しめるのか。ざっくりインプレッション

ほとんど『聖剣伝説』の知識しかないスマホゲーム好きが、本作をプレイして楽しめたのか、そんなところをご紹介させていただきたい。ほぼ第1章をクリアしたところまでという短いものだが、その中で得た印象となる。

『聖剣伝説』といえばゲーマーなら名前を聞いたことがあるのではないだろうか。そんな著名な作品がスマホゲームで新作が出るという話になると、構えてしまう人も多いかもしれない。作る会社がオリジナル版の会社と違うと聞けばなおさらだ。だが、私は『聖剣伝説』といえば名前とアクションRPGであることぐらいしか知識がない。

一方で筆者はこれはと思うスマホゲーム新作にはとりあえず手を出すことにしている。つまり、『聖剣伝説 ECHOES of MANA』も割と気になっているのだ。そんな状態で、本作を開発する企業が昨今『ヘブンバーンズレッド』でヒットを飛ばしているWFSであると聞くと「あの会社が往年の人気作のスマホゲームをどういう作品に仕上げたのか?」というところを含めて、かなり気になってしまう。

このたびはスクウェア・エニックスから、4月27日配信予定の『聖剣伝説 ECHOES of MANA』事前プレイの場をもらった。ので、その程度の『聖剣伝説』の知識しかないスマホゲーム好きが、本作をプレイして楽しめたのか、そんなところをご紹介させていただきたい。プレイ時間はチュートリアルを終え、ほぼ第1章をクリアしたところまでという短いものだが、その中で得た印象となる。なお、今回の記事で使用したゲームアプリは開発中のもので、レベルデザイン・報酬内容などが正式サービス版とは異なる場合があるのを留意してほしい。


グラフィックは印象的、アクションはやや辛め

最初の感想としてはグラフィックの美しさが目立った。開始早々のチュートリアルでは、ドット絵か3DかLive2Dか私の目では判別はつかないのだが、比較的頭身の高いキャラクターが動き回り、寸劇を繰り広げてくれる。キャラクターの表情も比較的しっかりと描かれているため、会話シーンはこのまま進むのかと思われたが、2Dのキャラクターがアップになるモードもちゃんと存在していた。

このあたり、キャラクターの造形や動作が細かく描かれており、きっちり作り込んでいるなあと思わされる。また、キャラクターが動き回る画面での物語進行というのがなかなか斬新なところもあり、一気に興味を惹かれる部分はあった。普段なら「だるいなあ、飛ばせないかなあ」と思いがちなチュートリアル部分の説明を読み込めたのは、この部分あってこそだと思う。

キャラクターの表情がわかる
ある程度進むとキャラクターのアップ会話で物語が進む


原作はアクションRPGということだが、『聖剣伝説 ECHOES of MANA』も同様にアクションRPGとなっている。横向きのキャラクターを操作して移動、攻撃をおこなう。操作系は一般的なアクションものというよりは、MMORPGを思い出させるアクション・スキルのボタン配置。それに加え、画面のどこでも上下左右にスライドすることで移動することができる。ただ、やはりジョイスティックを使うコンシューマーゲームのアクションに比べると思ったように操作できないという辛さを感じた。

操作の辛さについてだが、実は個人的にスマホゲームのアクションものを遊んでいて「楽しい」と思わされたことがあまりない。画面をスライドしてボタンを押して、という動作にどうも爽快感がないのだ。操作の簡略化を果たした上で「自分が上手にアクションゲームを楽しんでいる」という気分にさせてくれると嬉しいのだが、なかなかそれを実現してくれる作品は少ない。そもそも画面タッチでコントローラー風の操作をさせられるのがすごく苦手という部分は大きい。もちろん『聖剣伝説 ECHOES of MANA』にも「操作が苦手」な人向けの対策は存在しているのだが、本作では「自動で戦ってくれるので安心」という方向でその問題を解決している。

自キャラが自動で戦ってくれるフルオートモードへの切り替えはボタンひとつで簡単に可能だ。加えて自キャラがオートでなくても仲間キャラは自動で戦ってくれるので、もたついているとあっという間に仲間が敵を倒してくれることも多々。自動戦闘についてはキャラクターの「作戦」からもろもろ調整可能なようなので、回復系の仲間を連れて行って自動回復してもらいつつ自分は前線で闘う、などというプレイスタイルも実現できそうだ。ただ、フルオートプレイのアクションRPGというものに若干違和感はある。「自分の技量の上昇を一切期待しないアクションゲームとは?」とヘタクソな自分でも思ってしまうのだ。

戦闘シーン
キャラクター画面
「作戦」ボタンから移動できる画面


演出面には工夫あり

ストーリーは、マナの樹に最後の希望として選ばれた主人公が世界を救うため、記憶の実をマナの樹から回収してその世界へ行くという形を取っている。これで各作品の世界へ行けるのか、と納得した次第。なお、キャラクターもマナの樹から記憶として回収することで仲間となる。マナの樹に選ばれた存在でも仲間を集めるのにお代が必要なのはちょっと世知辛いが、仕方なし。また、ストーリー面で特徴的なのは男女選べる主人公のうち、片方がお留守番として存在することだ。ここは地味かもしれないが画期的な部分だと思う。たとえば漫画化やアニメ化などという話になった場合、「自分の使っている性別の主人公が出てこない……」という気分にならない。男女2種類選べます、の次にようやくこういうゲームが来たかという気分にさせられる。

ストーリーモードの進行は、ドット絵的なパートとバストアップのパートを交えることで、体の動きと表情の細かな変化を伝えるという今までのスマホゲームでは見られなかった演出が施されており、ここは大変感心させられる部分だった。また、たまたまスキップボタンを押してしまった際に見つけたのだが「文章でストーリーだけ読んで次へ進む」という機能があるのはおもしろい。演出などを見ずに、とっとと話を進めていける。この機能はほかのシナリオを読ませるゲームにもどんどん実装してほしいぐらいだ。

地味に迷惑そうな顔をしている気がする
自分が選ばなかった方の性別のキャラもちゃんと存在
スキップしようとするとでてくる「文章でストーリーを読んで次へ進む」
こんな感じで一気に読めるように


ただ、ストーリーを進めていて「ストーリーを読む章」と「戦闘をする章」が別立てにされている部分は気になった。素材稼ぎやレベル上げで戦闘周回をする関係上戦闘部分は切り出されているというのはわかるのだが、チュートリアルでは戦闘とドット絵進行、そしてバストアップで話を進めるという展開を自然におこなっていたにもかかわらず、本編第一章からは戦闘だけが切り出されてしまっているように見える。どうも戦闘部分だけが若干浮いてしまっているのだ。

過去作とのつながりについては、1章の時点では過去作のキャラクターは出てこないようであるが、2章からは『聖剣伝説2』のキャラクターたちを交えたストーリーが進むようだ。ガチャからは『聖剣伝説3』のキャラクターが出現し、未プレイの自分でも名前は知っているレベルのキャラクターも存在している。ただ、最高レアが星4で、同じキャラクターが星3にも存在しているのは、優劣があるようで気になった。ただ、ファンが気にならないなら問題ではないだろう。

キャラクター育成については星3のキャラでも星6まで強化できる最近のスマホゲームではおなじみの仕様であるが、筆者がプレイした範囲では、レアリティの上昇が可能になるにはかなりやりこむ必要がありそうだと感じた。

また、ガチャからはキャラクターだけではなくメモリージェムという強化装備的なものが排出される。メモリージェムは章をクリアすることでも手に入るのだが、この回収過程が凝っている。章をクリアするごとに少しずつ鏡の破片のような欠片が集まり、それが完成して1つのメモリージェムになるのだ。メモリーと言うだけあって「思い出」として残る存在になる演出がとても良い。

第2章に登場する『聖剣伝説2』の登場キャラ
ガチャから出てくる『聖剣伝説』のキャラ


光る演出面、気になる戦闘面

総じてこれまでプレイしてきて気になったのは、アクションRPGと銘打たれているにも関わらず感じる戦闘パートの微妙さであった。自分がスマホゲーアクションの操作系が苦手というところを加味しても、戦闘パートはフルオートで処理できたり、ストーリーの内容と戦闘パートがうまく噛み合っていないように見えたりする部分である。ストーリー部分でのドットキャラとバストアップを行き来する表現方法や、メモリージェムの入手方法等の演出が気に入っただけに、そこに違和感を覚えてしまったのだ。おそらくこれが「アクションRPGですよ」と銘打たれておらず、ストーリーと演出を楽しむスマホゲームといわれていれば「戦闘もフルオートできるのか、楽でいいね!」という評価になっていた可能性が高い。自分は『聖剣伝説』シリーズに知見がないため、キャラクターやストーリーでのプラス評価が加味できない。シリーズファンがプレイしてみて、この戦闘がしっくりくるかどうか。まずはプレイしてから判断していただければ幸いである。

怪しい隣人
怪しい隣人

主にスマホゲームを中心に、サービス終了したゲームの情報を収集したり、開始早々ダメなことになっているゲームの情報を紹介するのが趣味です。サービス終了ゲーム死亡リストは1500件を超えました。年々ゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。

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