SFコズミックホラーアクションRPG『Dolmen』先行プレイレポート。謎多きクリスタルを持ち帰るため、未知の惑星を探索するソウルライク

小説家H.P.ラブクラフトや近代ポップカルチャーから影響を受けた、SFとコズミックホラーを題材にした三人称視点のアクションRPG『Dolmen』。同作の内容を先行して紹介。

Koch Mediaの新レーベルであるPrime Matterが販売を担当し、Massive Work Studioが開発を手がける『Dolmen』。小説家H.P.ラブクラフトや近代ポップカルチャーから影響を受けた、SFとコズミックホラーを題材にした三人称視点のアクションRPGだ。本作はPlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC(Steam)向けに、2022年のリリースを予定している。

主人公は「ドルメン」と呼ばれる、謎のクリスタルのサンプルを回収する任務を与えられ、敵対生物がはびこる惑星レヴィオン・プライムを訪れる。そして過酷な環境を生き延びながら、惑星レヴィオン・プライムと謎に包まれたクリスタル「ドルメン」の真相を解き明かしていくことになる。本稿では3時間ほどの先行プレイで触れることのできたゲーム概要と、その魅力について触れていく。

ハードな世界観とマッチしたソウルライクなゲーム性

プレイの開始前にキャラクターの名前、性別、クラス、そして全身の簡単なカラーリングを決めることができる。クラスは全部で5種類あり、基礎ステータスが体力が低いものの多彩な装備適性をもつハイブリッド、遠距離攻撃に秀でたシャープシューター、スタミナに特化したバウンティハンター、大剣を持ち体力と耐久力が高いタンカー、そしてレベル1のまま最低限の装備しか持たないリクルートだ。

クラスによって初期装備やステータスが異なるものの、ステータスは後から任意の項目を上昇させることができる。しかし最序盤ではステータスの差を感じにくく、使いたい武器でクラスを選ぶ形になるだろう。カラーリングは各部位のメインカラーを変更することができる程度に留まっている。

キャラクター作成が終わったら世界観の説明がされ、いよいよ惑星レヴィオン・プライムに降り立つことになる。チュートリアルを受けながら区画を進んでいくことになる。本作は『ダークソウル』シリーズなどに端するいわゆるソウルライクなゲームシステムを採用しており、キャラクターの操作に関しては、同ジャンルのゲームを遊んだことがある方はすぐに馴染むことができるだろう。独特なのは近接武器、盾、射撃武器が固定装備となっており、これらを巧みに使い分けて戦闘をおこなうという点だ。近接攻撃や回避アクションにはスタミナを消費し、射撃攻撃はエナジーというリソースを消費する。


近接攻撃は弱攻撃と強攻撃があり、操作によって回避アクションからのローリング攻撃やジャンプ攻撃といったことも可能。攻撃動作はやや緩慢なものの、回避アクションはスムーズに動いてくれるのでストレスを感じることはないだろう。しかし敵の攻撃が全体的に素早いので、相対的にプレイヤーの動作が遅いと感じてしまうかもしれない。盾はリソースを消費することなく使用することが出来るので、慣れないうちは盾を構えながら進むことが多かった。

射撃武器はボタンを教えている間、背中から武器を取り出して構える方式だ。ロックオンにも対応しているため、正確に狙いを定めて撃つ場面はほとんどない。射撃武器は使うたびにエナジーを消費するのだが、弾を撃って消費したエナジーは時間経過で回復する。射撃武器にも弱攻撃と強攻撃が存在しており、武器によって強攻撃の内容は異なる。ハンドガンの場合はチャージショットを放つ。ライフルでは浮遊する弾を銃身に展開させ、弱攻撃と同時に追加で弾丸を発射するという攻撃だった。

押さえておきたいのが、ジャストガードに成功すると敵の体勢を崩せるというテクニック。タイミングもそこまでシビアなものではなく、ダメージを受けることなく隙を生み出すことができるので、多数の敵に囲まれていない時は積極的に狙うことが多かった。しかし本作にはガード不能な攻撃もあり、予備動作の段階で敵の頭上に赤いマーカーが光る。状況に応じて回避と使い分けていくことが求められる。

なお、本作では死んでしまうとナノマシンと呼ばれるレベルアップに使う経験値アイテムと、回収したドルメンの欠片をその場にロストしてしまう。死んだ場所には己の死体のようなデータが置かれ、回収すると通信機能回復という体裁で取り戻すことが可能だ。

有利にも不利にもはたらく属性概念

攻撃には炎上、氷結、強酸という三つの属性がある。物理防御とは別の属性防御力によってダメージが増減するだけでなく、蓄積することで状態異常が付与される。炎上は防御力の低下、氷結はスピードの低下、強酸は防御力とスピードが少しずつ低下するというもの。厄介なことに、これらの状態異常は敵に与えるだけのものではなく、敵からの攻撃によってプレイヤーも影響を受けてしまうのだ。

特にスピードの低下は攻撃や回避、移動などすべてのアクションが鈍化してしまう。先行プレイでは、攻撃を数回食らうだけで状態異常にかかってしまうので、無理して攻撃を続けてもそのまま死んでしまう場面が非常に多かった。プレイヤーの体力も少なめで攻撃を何回も受けられるほど頑丈ではないので、力押しはさせてもらえないバランスに調整されている。

しかしプレイヤーと同じように敵にも苦手な属性は設定されているので安心してほしい。敵の苦手な属性を把握し、的確に弱点を突いていくことが本作の攻略における一つの最適解といえるだろう。ちなみに属性は武器に標準で備わっており、同じ武器でも異なる属性のものを作成することができる。

探索はエナジー管理との戦い

もうひとつ、本作の戦闘に欠かせない存在としてエナジーモードと呼ばれるアクションがある。エナジーモードを起動させると、装備したリアクターの属性に応じたエフェクトが全身を包み、近接攻撃に強力な属性攻撃が付与される。同時に斬撃波も飛ばすので、二回分のダメージ判定がある。これが非常に強力で、弱点の属性を突いた状態ならばかなりのダメージを与えることができる。しかしエナジーモード中は攻撃や回避アクションをするたびにエナジーを消費してしまうので、射撃武器との併用が難しい。また、回避アクションを連打しているとすぐにエナジー切れでモードが解除されてしまうので、使い所を見極める必要がある。

ここまで解説した段階でエナジーは近接攻撃と遠距離攻撃のどちらかに絞って使わなければならないことがわかるだろう。しかし本作においてエナジーというリソースは、自然回復したら気軽に使えるほど便利なものではなかった。なぜなら本作は体力回復にエナジーを用いるという仕様があり、時として敵よりもプレイヤーを苦しめる要因となっているからだ。厳密にいえば体力回復に消費するのはエナジーではなく、エナジーの上限値だ。本作ではエナジーの上限値を削ることを引き換えに体力を回復できる。変換量はおよそ同じくらいなので、エナジーの上限値を使い切ることでおおよそ体力を全回復できるといった具合だ。もちろん使い切ってしまえばエナジーの上限値はゼロなので、エナジーモードの起動はおろか射撃武器を使うことさえできなくなってしまう。ダメージを受けてしまい体力回復にエナジーの上限値を削った結果、その戦闘が終わるまで射撃武器を使用できず苦しむ場面に直面することは多かった。

そんなエナジーの上限値を戻すためにバッテリーというアイテムが存在する。バッテリーはリスタートするたびに回復するが、持ち歩ける個数には限りがある。初期段階では4個しか持っておらず、2個使ってやっと上限値が元通りになるといった効果量だ。つまり序盤では体力を回復できる数は極めて少ないのだ。また、戦闘中では体力を回復する前にバッテリーを使用しなければならない場面に遭遇することもあり、状況によっては手順を踏まなければ体力を回復できないといった不便さもある。


とはいえ、ここまでネガティブな側面を解説してきたものの、この仕様には当然だがメリットも存在する。バッテリーを使用してエナジーの上限値を回復させると、消費して自然回復待ちだったエナジーも即時回復する。この仕様を利用して、射撃武器でエナジーを使い切ったのち、バッテリーを使用して即座に射撃を再開することも可能だ。戦闘中に使い切って空になったエナジーの上限値を削って体力回復すれば、それほど無駄にもならない。体力回復はノーモーションで即座に使用できるが、バッテリーの使用には時間がかかるので、戦闘中にそのタイミングを見極める必要がある。

先行プレイの探索は、全体を通してエナジーというリソースとの戦いだったといえる。回復できる回数は少なく、被弾を抑えるために射撃武器を使いたいが、時間が掛かる上に多数に囲まれるのは不得手。しかし近接武器では被弾のリスクが高く、貴重な回復を連打しなければならないことも多い。ボス戦は近接武器でなければまとまったダメージを与えることは難しく、エナジーモードを無駄にしないために攻撃を欲張った結果、被弾してしまうこともあった。

本作は近接攻撃と射撃武器を使い分けて戦闘することを前提につくられており、非常に難しめの難易度で調整されているという印象を受けた。筆者は3時間ほどの先行プレイのうち、半分ほどの時間を最後に待ち受けるボスに費やしたが結局勝つことができなかった。ゲームシステムへの理解と、敵の行動ルーチンを学習することが重要な作品であると感じた。与えるダメージは控えめなものの、状態異常を付与しやすく時間をかければ安全に戦える射撃武器。リスクはあるものの、高い火力で体力を削っていける近接武器。そしてエナジー管理をしっかりとおこない、持てる力のすべてで惑星レヴィオン・プライムを攻略するべきだろう。

狭いながらも心安らぐ憩いの場と、美麗なグラフィック

チェックポイントとなるビーコンからはいつでも船へと帰還することができる。船では収集した素材を用いて装備の開発をおこなったり、ナノマシンを消費してレベルを上げることができる。どのステータスに振るかは任意で選べるので、自分のプレイスタイルに合わせて育成方針を決めることができる。

ほかにはスーツのカラーリングを変更したり、一度倒したボスをリスポーンさせることもできるようだ。特に機能があるわけではないものの、さまざまななスーツが並んでいる部屋や、生活空間のある部屋、操縦室に出入りすることができる。決して広い空間とはいえないが、宇宙探索をおこなう船における生活を感じられる。

また、本作はレイトレーシングに対応しており、武器やスーツなどの金属光沢表現がとても映える作品となっている。探索中はなかなか楽しむ暇がないかもしれないが、船の中にはその美麗なグラフィックを堪能できるオブジェクトが多数配置されている。息抜きとして船内で映像美を楽しむのも一興だろう。

生き延びて人智を超えた宇宙の真相を暴け

現状ではリソース管理が非常にシビアで、攻撃と回避のタイミングも一度のミスからゲームオーバーになりやすい部類といえる本作。しかしトレーラーでは先行プレイでは触れることができなかった武器も確認されており、装備が追加されれば探索の自由度は間違いなく上がるだろう。ゲーム内には世界の謎を紐解くフレーバーが数多く残されており、プレイヤーの好奇心を刺激してくる。恐怖と隣合わせの未知の惑星を隅々まで探索できる、その日を心待ちにしたい。

『Dolmen』は、PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC(Steam)向けに、2022年のリリースを予定している。

蒼唯レン(VTuber)
蒼唯レン(VTuber)

自分のことをジーニアスだと思い込んでいる物書き系個人VTuber。FF14とドルフロをこよなく愛する特撮オタク。

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