オープンワールドFPS最新作『ファークライ6』先行プレイレポート。ド派手なシューティングの傍ら、ワニが敵を喰らい、ニワトリが車を燃やす

オープンワールドFPS最新作『ファークライ6』先行プレイレポート。ド派手なシューティングの傍ら、ワニが敵を喰らい、ニワトリが車を燃やす。今回の先行プレイでは、そんなアミーゴたちとの出会いや交流を楽しんだ。

FPSの楽しさのベースには、“何かを撃つ”というシンプルなゲームプレイがある。シューティングというワードを含むジャンルが持つ至高の、中毒性すら伴う楽しさだ。いくら上質な物語やサイドコンテンツ、美麗なグラフィックを用意したとて、シューティングが楽しくなくては、モチベーションの低下を招きかねない。

その点『ファークライ6』は、ユービーアイソフトが培ってきた密度の高いオープンワールドのデザインを踏襲しつつ、シューティングの楽しさを全力で引き立てることで、過去作と比較しても一皮むけた印象がある。6時間を超える先行プレイを終えたあともなお、もっともっとプレイしたい、銃を撃ちたいと思える内容であった。本稿では、そうした先行プレイで触れたコンテンツのインプレッションをお伝えする。


『ファークライ6』はオープンワールドFPSシリーズの最新作だ。アントン・カスティロ率いる独裁政権に支配された熱帯の島国「ヤーラ」の解放を目指し、プレイヤーはゲリラの兵士「ダニー・ロハス」となって、ブッ飛んだ武器や装備で破壊工作を試みる。

先行プレイは2部制となっていて、まずはゲーム最序盤、「サントアリオ島」の脱出を目指すストーリーラインを辿る。続いて、ゲーム中盤で訪れる地域「エル・エステ」を舞台に、ストーリーやサイドミッションを自由に探るという構成だ。


まずはチュートリアルから

今回の先行プレイは、物語序盤、カスティロの迫害によって路頭に迷った主人公ダニーが、ゲリラのリーダー、クララ・ガルシアのキャンプへ向かう場面から始まった。最初はヤーラを離れる意思を見せるダニーだが、クララの勧誘によってゲリラ再建の手助けをすることになり、さまざまなキャラクターに出会っていく。

こうした序盤の物語は、本作におけるチュートリアルも兼ねている。クララのキャンプへ向かう道中では、移動や射撃、ステルスキルなどの基本操作をはじめ、グラップルを駆使して高い場所に登ったり、素材を集めたり、装備品を手に入れたりと、ゲームの根幹にあるシステムを知ることになる。

アミーゴたちとのふれあい

道中、ゲリラを手助けしてくれる仲間のひとり、フアン・コルテスと出会う。そしてコルテスが従えるワニ「グアポ」が相棒となり、主人公に同行するようになる。こうした動物の仲間は「アミーゴ」と呼ばれ、戦闘を手助けしてくれる。グアポのほかに、下半身に車輪がついたダックスフンド「チョリソー」や、誇り高きニワトリ「チチャロン」が、今回の先行プレイでは確認できた。アミーゴごとにチャレンジミッションのようなものが設けられており、それらをクリアすることでアビリティが開放されていくという成長要素も用意されている。

グアポは敵に飛びついてダメージを与えるほか、陽動として使うことができる。ずっしりとした見た目にそぐわぬ猛スピードでスルスルと敵に近づいていくグアポは見ていて面白く、勇猛果敢にかぶり付く姿はクールでありキュートでもある。アミーゴにもHPが定められており、HPがなくなると一時的にダウンし、プレイヤーが蘇生する必要がある。また、アミーゴとは非戦闘時には触れ合うことができる。なにか追加効果が付与されるわけではないが、愛をぶつける先があるというのは大切だ。

筆者がこの先行プレイで一番気に入ったのはニワトリのチチャロンだ。彼とは中盤で訪れる地域エル・エステでのサイドミッションを通じて出会い、そのストーリーラインをクリアすることでアミーゴに追加される。サイドミッションでは敵を突っついて攻撃するだけでなく、露店や敵兵のクルマを爆破したり、書庫にある資料を破壊して回ったりと、おおよそ予想外の展開と行動でプレイヤーを戸惑わせる。常にほかのニワトリたちの先頭に立ち続ける誇り高い姿に魅了されるだろう。

索敵とステルスが重要な拠点制圧

本作では、政府軍が設けた検問所や施設が点在し、それらを制圧する機会が数多く存在する。小さな検問所や施設であれば、計画を立てずに正面から突撃してもなんとかなるだろう。だが軍事基地のような大きな拠点を侵攻する場合や、強力な装備を持った兵士がいる場合は、ステルスプレイを心がけたほうが攻略しやすくなる。

そこで役に立つのがスマートフォンのカメラ機能だ。カメラで視界に捉えた敵や固定兵器、車両などはマークされ、オブジェクトを透過して表示される。攻略をより有利に進めるために踏むべきステップのひとつだ。小高い丘や塔を見つけて索敵しよう。さらに、カメラで注視することで「徹甲弾が有効」といった敵の弱点も表示される。使う弾の種類を決める指標になるはずだ。なお使用する弾の種類は、武器のカスタマイズによって変更できる。

上のプレイ映像では、索敵も含め、古い軍事基地への侵入の流れをダイジェストでまとめている。索敵中に見つけた洞窟から地下に向かい、敵をスムーズに無力化しつつ侵入。無事に目標を達成できた。ドラマチックにパラシュートで基地を後にする姿は、我ながら良いプレイができたと思っている。

ド派手にプレイヤーを支援するゲリラの武器

どれだけステルスに専念しても、不意に敵兵と目が合って見つかってしまう場面が来る。そこで役に立つのが多彩な武器や装備品たちだ。戦闘時、特に心強いのが、「スプレーモ」と「リゾルバー武器」だ。スプレーモとは、ダニーが背中に背負っているジェットパックのようなアイテムのことだ。これはさまざまな種類が存在し、前方にロケット弾のような爆発物を発射するものや、範囲内に回復効果を噴霧するもの、EMP効果で敵のガジェットを無力化するものなどが用意されている。一定時間のクールダウンや一定数の敵をキルすることで使えるようになる、いわば必殺技のような扱いだ。

またダニーは、リゾルバー武器と呼ばれる特殊な武器をひとつだけ装備することができる。武器ごとに個性があり、火炎放射器や、巨大なシールドと強力なリボルバーを合わせ持つもの、某ゾンビドラマよろしく一撃必殺のクロスボウなど、多種多様でどれも魅力的かつ強力だ。

スプレーモとリゾルバー武器は、長時間使い続けることはできないものの、プレイヤーのプレイスタイルをブーストしてくれる印象だ。また、周囲に炎を撒き散らすスプレーモや、ネイルガン式のリゾルバー武器など、ビジュアル的にも派手で爽快感がある。扱っていてシンプルに楽しく、シリーズに漂う狂気を感じさせる新要素となっている。

もちろん通常の武器には、サブマシンガンからスナイパーライフルまで、想像できるものはたいてい用意されている。カスタマイズ前の状態では、正直使い勝手が良いと言い難いものが多いが、ミッションや探索で得た資材を使って、弾の種類やサイト、マズルを自分好みにカスタム可能だ。

多彩なサイドコンテンツ

近年のユービーアイソフトが手掛けるオープンワールド作品には、さまざまなアクティビティが用意されているものが多く、本作もその例に漏れない。まず挙げられるのがハンティングだ。島をウロウロしていると、野生生物や水生生物の生息を示唆する文言が表示されることがあった。そうした場所では自由にハンティングや釣りを楽しむことができる。武器のカスタムなどに動物の素材を利用することもあるので、損はないはずだ。なお先行プレイ中、数回釣りに挑戦したが一度も魚は釣れなかった。筆者の忍耐力のなさが露呈したが、竿もアップグレードすることができるようだ。

また、ゲリラの拠点では「ドミノ」がプレイ可能だ。さらに、過去作でも印象的だったビークルによるレースも確認できた。クリアすることで新たな車両をアンロックすることができた。アンロックしたクルマは見た目や装飾などをカスタムでき、道さえあればいつでも呼び出すことができる。


自由行動が許された先行プレイの後半、筆者はサイドミッションとアクティビティを中心にプレイした。ステルスや撃ち合いをはじめとする戦闘のみならず、テーブルゲームやレースを堪能。さまざまな種類のゲームプレイを楽しむことができたほか、ヤーラを散歩して、そこに住まう人々の息遣いや生活の一部を垣間見ることもでき、時間があっという間に過ぎていった。

とはいえ、ゲームプレイの大部分を占めるのは銃撃を中心とした戦闘だ。敵地に赴いて敵を撃って制圧し、増援さえも撃ち倒すという、野蛮にも思えるゲームプレイに内包された普遍的な楽しさ。それは何ものにも代え難く、その強烈なゲームプレイはド派手なスプレーモとリゾルバー武器の後押しによって、より輝いて見える。余談だが、先行プレイの最後には、ヘリパイロットにヘッドショットをキメてクリアするというプレイを繰り出して身体中の血が沸いた。これだからFPSはやめられない。


最後に、ふとした瞬間に見せるヤーラの美しい風景がとても心に残っていることも記しておきたい。どこまでも続く青い海や、ヤーラの文化を感じさせる街並みは、思わずミッション目標を放り出して散歩したくなる。まさに初めての土地を観光しているときの気分だ。熱帯地域特有の植物や、クラシカルなデザインのビークルは、『ファークライ』シリーズに相応しい独特の個性を覗かせ、魅力的だ。しかしながら、ヤーラは独裁政権に支配されていることを忘れてはいけない。血飛沫舞う銃撃戦からのんびりしたフィッシングまで、さまざまな要素が散りばめられたこの国で、どのような物語が展開されるかにも注目したい。

『ファークライ6』はPS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S/PC向けに、2021年10月7日発売予定だ。

*ユービーアイソフト公式による、約1時間のゲームプレイ映像

Sakutaro Okano
Sakutaro Okano

フッ軽ゲームライター。生きている実感を得るため、FPSを中心にド派手なハリウッド的アクションゲームを貪って生きている。

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