Koch MediaのパブリッシングレーベルRavenscourtは『Siege Survival: Gloria Victis』をPC(Steam)にて2021年第2四半期に発売予定だ。本作は架空の中世にて民間人になり、資源管理をして籠城するサバイバルストラテジーゲームだ。日本語字幕/UIにも対応する。本稿ではKoch Mediaより提供いただいたプレビュー版をもとに、ゲーム内容を紹介する。
『Siege Survival: Gloria Victis』は、Black Eye GamesとFishTankStudioが開発を担当するサバイバルストラテジーゲームだ。『Siege Survival: Gloria Victis』では、プレイヤーが住まうミッドランド王国が、北方のイスミール軍から侵攻を受ける。街は包囲されており、要塞に籠城する民間人を操作して極限の状況にて生き残るのだ。民間人は自分が生き残るだけでなく、要塞の兵士へ補給物資を送り続けなければならない。昼間は資源を管理してクラフト。夜は要塞を出て、物資を求め城下町を探索する。敵による要塞への襲撃をしのぎ、救援が到着するまで耐え続けるのだ。
なおBlack Eye Gamesは、本作と世界観を共有するMMORPG『Gloria Victis』を開発/パブリッシングしている。『Siege Survival: Gloria Victis』は、『Gloria Victis』のスピンオフ作品になる。
本作のゲームモードはおおまかにわけると3つある。ガイド付きメインシナリオ、通常のメインシナリオ、そしてカスタムシナリオだ。プレビュー版では、通常のメインシナリオとカスタムシナリオはプレイできなかった。カスタムシナリオでは、サバイバルをする期間や、イベントなどを編集できるのだろう。
今回はガイド付きメインシナリオ「最後の要塞」を進めつつ、ゲームを紹介していこう。またプレビュー版は、15日ほど経過するとシナリオの途中で終了する仕様であった。15日というのは、おそらくゲームの序盤のみである。それゆえにゲームのすべての要素を開放したわけではないため、ご了承いただければ幸いである。
オープニング
ゲームのオープニングでは、複数の選択肢からシチュエーションを決めていく。ミッドランド王国の兵士たちは誰を助けたのか、またどのような被害があったかを選択できるようだ。ただしプレビュー版ではどの選択肢を選んでも、資源量や開始時のキャラクターなどの初期条件に変化はないようだった。後々のイベントに変化があるのかもしれない。
最初のシチュエーションの選択を終えると、チュートリアルに従ってゲームを進めていく。最序盤は労働者のフリントを操作できるが、要塞には絶望してうずくまる男バートラムもいる。まずは彼に立ち直ってもらうことが課題だ。がれきを漁って資材を手に入れ、木挽き台で薪を割る。焚火を設置して料理をクラフトしてあげよう。何か食べさせることで、仲間に加わってくれる。次にベッドを作る必要があるが、材料が足りない。そこで夜の城下町へ資源を探しに行く。それ以降は、昼間はクラフト、夜は探索というのが基本的なサイクルになる。
キャラクターのステータスには、疲れ、飢え、渇き、怪我、病気、感情があり、これらのニーズを満たす必要がある。無色、白色、黄色、赤色と段階的にステータスは悪化していく。ニーズが黄色になると目に見えて作業効率は低下する。余裕のない物資をやりくりしつつ、食事や睡眠をとりたいところ。たとえ飲まず食わずでも、しばらくは死ぬことはない。しかし作業の遅れは、自分たちを守ってくれる要塞を弱体化させることになってしまう。
日中
昼間はクラフトをして、要塞へ物資を送る。リソースは限られているため、資源を厳しく管理しつつクラフトしていこう。調理をしたり、薪を割ったり、家畜の世話をしたりと、やるべきことは多い。セーブは任意のタイミングではできず、一日の始めにオートセーブされる。直前4日分がセーブとして保存されるので、ミスした場合でも数日前まで戻ることが可能だ。
食料と水、包帯、薬は民間人だけでなく、要塞の防衛要員にも必要だ。要塞へ定期的に送っておこう。物資の余裕はないので、つねにどちらかが飢えている状況になるだろう。民間人の生存、要塞への補給物資のバランスをとりつつ耐えていくしかない。ときには野草を噛んで飢えを紛らわせるのだ。
仲間は、序盤は2人だけで開始する。後述の探索中に民間人をリクルートすることで、仲間を増やしていける。もちろん頭数が増えると、消費する食料も増える。しかし最初の2人でゲームを進めるのは無理がある。2人だけだと過労状態になり、作業が遅れていく。バランスを考えつつ人材を増やしていこう。またキャラクターには得意や不得意があるため、どの作業に割り当てるかも大切だ。労働者のフリントはリュックの容量が多く、探索に向いている。便利屋のバートラムなら戦闘と建設に長けている、といった具合だ。
要塞には家畜として、鶏と豚がいる。鶏は食料となる卵を生み出し、豚は畑の肥料を生み出す。どちらも飼料をクラフトして与えないと、飢えて死んでしまう。できる限り生かして物資を回収し続けよう。どうしても食料が足りない場合、屠畜して肉として食べる選択も可能だ。
設備の建設画面では、黄色のエリアと、青色のエリアに設備を設置できる。黄色のエリアは包囲戦において、投石機から石が落とされたり、火矢で燃えたりする。つまり危険な場所だ。大事な設備はなるべく青いエリアへ設置したい。焚火、乾燥器、堆肥器、工作台、木挽き台、野草工房、修理室はいずれもすぐに必要になる。また各設備はアップグレードが可能だ。レシピが増えたり効率よくクラフトできるようになる。
遊んでいると、キャラクターの体調管理に気を取られ、ついつい食料をつくることに気を取られてしまう。とはいえ、なるべくはやい段階でクラフト設備を建設し、アップグレードすることも大事だろう。木材は調理や設備の建設、クラフトのすべてに使うため、バランスをとる必要があるからだ。とくに工作台は資源が尽きないうちに早めにアップグレードしたい。城下の探索エリアを広げるためにシャベルが必要である。そしてシャベルのクラフトには、アップグレード済みの工作台が必要だ。筆者は、強化した工作台がなく資源もなくなったため、探索範囲を広げられずジリ貧になって詰んでしまった経験がある。
そのほかの設備の用途としては、高炉では鉄のインゴットを、雨水集水器で水を、ネズミ捕りでは肉を入手できる。菜園では肥料を消費して野菜を作り、武器工房では鎧や斧、弓をクラフトできる。また倉庫をアップグレードすることで、各設備のクラフトバリエーションを増やせる。プレビュー版ではすべてをつくる必要はなかったが、製品版ではいずれの設備もなんらかのかたちで必要になるだろう。
夜間
日が沈んだら隠し通路から城下町へ出て、物資を回収する。敵兵が巡回しているので、彼らから見つからないようにしよう。また探索時間も無制限ではない。日が昇る前に城へ戻らないと敵兵に発見されてしまう。
夜間の探索フェイズでは、キャラクターは昼間と同じく左クリックで動かす。ダブルクリックすると走れるが、その分足音は遠くまで響く。またインベントリには限りがある。見つけたものをすべて持ち帰ることはできない。要塞に現在何が必要なのか、適切な判断が必要になるだろう。一旦探った場所のルートアイテムは固定化される。すぐに取らずとも、必要になったらまた取りにくれば良いはずだ。
城下町にはイベントが発生する場所がある。たとえば、野戦病院を発見すると、物資の物々交換が可能になる。老婆が息子を埋葬するのを手伝えば金品が貰える。または老婆が落とした斧を奪って逃げることも可能だ。しかし倫理に問題ある行動を選択するとキャラクターの感情は悪化していく。このように、市内では難しい選択に迫られることもある。
城下町はひとつながりのマップとしてデザインされており、各エリアはロードなしで移動可能だ。ただし無制限に移動することはできず、まずは要所にあるがれきを除去しなければいけない。そのためのシャベルをクラフトすることが喫緊の課題となる。最初はマーケットのみを探索でき、徐々にチープサイドやゴールデンコーナー、職人街といった区画へ探索可能エリアを広げていく。物資の量も各エリアでそれぞれ異なる。プレビュー版の15日間のサバイバルに成功したセーブデータでは、食料が豊富なゴールデンコーナーにつながるがれきをまず撤去した。進め方はさまざまである。
敵兵に見つかると、もちろん攻撃される。発見されると警戒レベルが上昇し、次の日から警備の人数が増える。一応反撃もできるが、装備が貧弱なら逃げたほうが良い。また夜間は探索ではなく、敵陣の偵察が必要になることもある。兵站だけでなく偵察も民間人が担当するのだ。1回偵察すると、次の襲撃までの日数が判明し、2回目に偵察すると敵軍の規模が判明する。
包囲戦
ゲーム開始から数日経過すると包囲戦が始まる。民間人であるキャラクターたちは、戦闘へ直接参加することはない。包囲戦では壊れた武器や防具を修理して、矢を補充するのが仕事だ。画面上の赤色が自軍の勢力、青色がイスミール軍の勢力を表す。守備隊の数と防具の状況、要塞補強の状況の3つパラメーターの合計が自軍の勢力の合計となる。勢力が敵軍より多ければ、まず戦闘には負けないはずだ。
イスミール軍は投石機で石や牛の死体を発射し、火矢を放ってくる。投石機の石は回収して、砦の補強へ使用できる。また牛の死体は放置すると病気の元になるため、すぐに松明で燃やそう。火矢が設備に直撃すると燃えてダメージを与えるため、すぐに消火したい。自軍の勢力が極端に弱まると、ゲームオーバーとなる。防衛に成功するとゲームは続行し、また資源管理とクラフト、探索のサイクルへ戻る。このようにして数週間先の救援を待ち続けよう。
また包囲戦の後やイベント発生時に、戦況を伝えるテキストもたびたび挟まれる。テキストが多いとなると、ローカライズの具合も気になるところだ。プレビュー版では、翻訳された日本語の文章は自然なものに感じられた。暗く血生臭い中世の世界観へ、すんなり入っていけるだろう。
『Siege Survival: Gloria Victis』では、限られた物資と時間の中でサバイバルする。民間人と要塞の防衛要員、どちらにリソースを割くべきか判断に悩まされるかもしれない。ときにはサバイバルに失敗して、悲惨な結末を迎えることもあるだろう。プレビュー版では防戦一方だったが、製品版では投石機を修理して反撃もできるようだ。またカスタムシナリオによって、物語を改変したり、コミュニティコンテンツも利用できる。メインシナリオクリア後も新鮮な気分でプレイできるはず。
『Siege Survival: Gloria Victis』は、Steamにて2021年第2四半期配信予定だ。