『チルドレン・オブ・モルタ~家族の絆の物語~』紹介。シンプルなアクションと壮麗なピクセルアートで紡がれる上質なおとぎ話

DMM GAMESは12月17日、『チルドレン・オブ・モルタ~家族の絆の物語~』を発売する。本稿では、一連のゲームプレイを通じて受けた本作のインプレッションを、ゲームの概要とともに述べていく。

DMM GAMESは12月17日、『チルドレン・オブ・モルタ~家族の絆の物語~』を発売する。対応プラットフォームは、PS4/Nintendo Switch/PC(DMM GAME PLAYER)。価格は、パッケージ版が3980円(税抜)で、ダウンロード版が3600円(税抜)となる。

本作のジャンルはアクションRPG。美麗なピクセルアートと家族をテーマとした重厚なストーリーをベースに、プレイヤーは多彩なキャラクター・能力を駆使して危険なダンジョンに挑んでいく。ローカルでの協力プレイにも対応しており、最大2人での冒険も可能だ。そんな本作のPS4版のゲームコードをDMM GAMESから先んじて頂いた。よって本稿では、一連のゲームプレイを通じて受けた本作のインプレッションを、ゲームの概要とともに述べていく。購入する際の参考にしていただければ幸いだ。


『チルドレン・オブ・モルタ~家族の絆の物語~』は、見下ろし視点で展開される2DアクションRPGだ。舞台は忘れ去られた美しき惑星、レア。そこにはモルタと呼ばれる神聖な山がそびえ立っている。そんな山のふもとに暮らすベルグソン一家は、モルタ山を守護する存在であり、先祖代々モルタ山の守護者としての務めを果たしてきた。

しかしある日、突如として現れた悪しき存在、「堕落」がモルタ山を浸食。神秘的な土地は堕落によって蝕まれていき、いまやモルタ山とその周辺の地域はゴブリンやクリーチャーがはびこる危険なダンジョンと化している。そんな中、モルタ山を守護者するベルグソン一家は、堕落の源を断ち切り、悪の存在を打ち砕くことを決意。モルタ再生のカギを握るという3人の精霊を探し求め、家族一丸となってさまざまな危険に立ち向かっていくこととなる。


先述したように、本作の物語はベルグソン家という家族を中心に繰り広げられていく。プレイヤーが操作するのは家族の一員であり、ダンジョンに挑む際にはその中からひとりを選択。全7名のキャラクターが用意されており、ゲームの進行度とともに使用可能な人物が増えていく仕様となっている。特徴的なのは、家族の一員それぞれがまったく異なる能力を有しているという点だ。たとえば、最初のプレイアブルキャラとなるジョンは、ベルグソン家の父にあたる人物で、聡明な剣士。動きが鈍い一方、携えた剣の攻撃力は高く、広範囲にわたって敵を薙ぎ払える。アクション面においてスタンダードな能力を有するキャラクターだ。

一方、次にアンロックされるキャラクターであるリンダは、ベルグソン家の長女であり、弓使い。遠距離からの攻撃をメインとし、父のジョンとは正反対とも言える戦闘スタイルを有する。このように、ベルグソン家は家族全員が固有の戦い方を持っており、選択するキャラクターごとに敵への攻撃方法や回避手段、もっと言うとダンジョン攻略におけるプレイフィールそのものが変化する。また、ストーリー上で描写される家族の一員それぞれの立場やバックボーンも興味深いものであり、キャラクターについてはゲームシステム・ストーリーの両面において全員が主人公級の魅力を放っている印象を受けた。


本作のゲームプレイについて、基本的にプレイヤーは敵との戦闘を通じたダンジョンの攻略に挑むこととなる。ダンジョンは選択形式となっており、こちらもキャラクターと同じく、ゲームの進行度にあわせて順にアンロックされていく。本作の物語はリニアなものである一方、このダンジョンに関してはランダム要素が採用されており、そのマップ構造は挑戦するたびに変化。また、出現するアイテムも異なる。こうしたローグライク要素はダンジョン攻略にいっそうの歯ごたえを加えており、筆者は最低難易度であるノーマルモードでプレイしていたが、苦戦を強いられたシーンは決して少なくなかった。

前述したように、本作のダンジョン攻略における難易度は若干高めに設定されており、道中のアイテム運によっては厳しい場面に直面することもしばしば。ただし、本作のジャンルはあくまでアクション“RPG”だ。アクションの腕だけでなく、キャラクターの育成もダンジョン攻略に欠かせない。本作に登場するキャラクターはそれぞれベースとなる戦い方が異なるほか、レベルアップ時に取得できるスキルもすべて固有のものとなっている。たとえば父のジョンは、天から剣の雨を降らす特殊技やトゲ付き盾の装備。長女リンダは、爆破弓の発射など。これらのスキルはレベルアップ時に得られるポイントを消費することで解放できる。


このようなスキルシステム自体は同ジャンルのゲームにおいてよく見られるものであるが、その一方で、本作独自の成長要素も存在する。それが家族全体の成長だ。それぞれのキャラクターは先述したような自身を強化するユニークスキルを有しているほか、家族全体に何らかの恩恵をもたらすスキルも所有。それらを解放することで、HPアップや移動スピード上昇などのパッシブスキルが家族全員にもたらされる。つまり、キャラクターひとりの成長が全キャラクターの性能アップにもつながるシステムとなっているわけだ。この仕様は家族をテーマとした物語にも上手くマッチしており、複数のキャラクターを使ってみたいというプレイヤーの欲求を自然に引き出してくれる。

キャラクターの強化については前述したスキルのほか、ダンジョン内にドロップするアイテム(レリックや書物など)を入手することによっても特殊なアビリティを獲得できる。その種類は豊富に用意されており、武器に属性を付与するものや、範囲攻撃を展開するものなどなど。これらの能力はキャラクタースキルとは異なり、死亡した場合はすべて失われる。ここ辺りのシステムは他のローグライク要素を採用するゲームと似たものであり、この手のジャンルに慣れているプレイヤーであればすんなりと馴染めるだろう。一方、死亡しても引き継がれる要素も存在し、後述するジェムストーンやモルヴは死亡しても失われない。


ジェムストーンは、ダンジョン内に設置された宝箱の開錠に用いる石。宝箱の中にはお金のほか、レリックが入っていることもあり、頻繁に消費するアイテムだ。一方のモルヴは、本作の世界における通貨。これは拠点となるベルグソン一家の屋敷内のショップで消費でき、各キャラクターの成長による恩恵とはまた別に、家族全員の体力など、基礎ステータスをアップさせることができる。これらのように、本作にはキャラクターを強化する手段が豊富に用意されている。ダンジョン自体の難易度は若干高い一方で、キャラクター強化のハードルは低めであり、その点ではローグライク要素に慣れていなくとも取っ付きやすいシステムになっている印象を受けた。

ここまでは主に、本作のゲームシステム面について述べてきた。だが何と言っても本作の魅力は、家族をテーマとした重厚な物語と、それを鮮やかに表現するピクセルアートに詰まっている。幻想的なファンタジー世界を舞台としながらも、家族という身近なテーマを切り口に綴られていく物語は、まるでおとぎ話のようだ。その中では勇気や愛といった綺麗な面だけでなく、復讐や犠牲といった暗部にも触れられる。それらは物語に深みをもたらしており、同時にタイトルに記載される“家族の絆”をより際立たせる。


さらに特筆すべきは、日本語ボイスによる物語のナレーションだ。本作のストーリーはキャラクターのセリフによって展開されるのではなく、ナレーションによって語られるという朗読チックな手法をとっている。嬉しいことに日本語フルローカライズに対応する本作では、土師孝也氏による渋くも静謐なナレーションが収録。まるで、おとぎ話の読み聞かせの如くプレイヤーを壮麗な世界へと誘う。こうしたナレーションも含め、ローカライズの品質は非常に高く、ベルグソン一家および各キャラクターの背景や内面を丁寧に描写している。

そして何よりも、本作の物語や世界観を構築するグラフィック表現は筆舌に尽くしがたい。本作に登場するキャラクターやベルグソン一家の屋敷、ダンジョンの数々は、すべて手描きのピクセルアートで表現されている。その精細な表現には目を見張るものがあり、思わずスクリーンショットを取りたくなる場面も数多い。アニメーションについても同様に細かく作りこまれており、家族や敵のモーション、エフェクトまで非常に滑らか。美しくも堕落によって浸食された世界が、見事なまで鮮やかに描き出されている。


美麗なピクセルアートで描かれる重厚なストーリー。ランダム生成されるダンジョン攻略と、豊富なスキルから成り立つキャラクタービルド。総合的にみて本作は、アクションRPGゲームとして高品質な内容に仕上げられている。一方で、本作はあくまでストーリー主導の作品だという印象を抱いたのも事実だ。ダンジョンはランダム生成なものの、アイテム収集要素はほとんどなく、一度クリアしたダンジョンを再び訪れる必要性はないと言っていい。またダンジョンの再訪において、マップ構造にそこまで大きな変化がない点も少し物足りなく感じた。ダンジョン攻略におけるリプレイ性は低く、少なくともやり込み要素といった類のものは本作には用意されていないと言える。

しかしながら、本作における最大の魅力は、その壮麗な2Dグラフィックと、家族という身近なテーマを切り口とした壮大な物語だろう。やり込み要素の少なさこそアクションRPGゲームとして少し物足りない印象を受けるが、その反面、ゲームシステムはシンプルにまとめ上げられており、取っ付きやすさに優れているとも言える。ストーリー主導のアクションRPGとして見れば、本作は随一の輝きを放っており、プレイするほどに良質なおとぎ話のような世界に引き込まれていく感覚は、本作特有の体験だ。そして、ベルグソン一家という家族の絆を見届けたあかつきには、プレイヤーに温かな余韻を残してくれることだろう。


『チルドレン・オブ・モルタ~家族の絆の物語~』は、PS4/Nintendo Switch/PC(DMM GAME PLAYER)向けに12月17日発売予定。現在、本作の公式サイトでは、各取り扱い店舗に向けたパッケージ版の予約も受け付け中だ。

Nobuya Sato
Nobuya Sato

最近Apexにハマり始めた人。幾度となく倒されながら高ランク帯を目指す。でも疲れる時もあるよね。その時はソロ専用ゲームをちょっとプレイして寝ます。

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