PC/PS4向けバトロワシューター『キュイジーヌロイヤル』紹介。キッチン用品を装備してゾンビを召喚し野獣化する、なんでもありな“本格派”


DMM GAMESは8月20日、『Cuisine Royale(キュイジーヌロイヤル)』の国内配信を開始する。対応プラットフォームはPC。少し遅れるが、国内PS4向けにもリリースを予定している。本作は基本プレイ無料のバトルロイヤル・シューターだ。Steamおよび海外向けには2018年から配信されており、キッチン用品を身にまとうユーモア全開のビジュアルを装いながらも、継続的なアップデートによって磨かれた本格派のシューター要素や、ユニークなゲームシステムが評価を得ている。本稿では、既に日本語に対応している海外版プレイのもと、数あるバトルロイヤルゲームの中で本作ならではの魅力を伝えていきたい。

『キュイジーヌロイヤル』は2018年、ロシアを拠点とするGaijin Entertainmentの第二次世界大戦MMOシューター『Enlisted』の3日間限定エイプリルフールイベントとして登場。しかしながら、制作側の想定を遥かに超える注目を集めることとなり、後に同タイトル開発元であるDarkflow Softwareによって、スタンドアロン作品としてリリースされた。そして現在に至るまで、精力的なアップデートが続けられている。

本作の特徴の一つとして、マッチを開始するまでの時間の速さが挙げられる。ゲームの参加プレイヤーは40名。他のバトルロイヤルゲームでみられる待ち受けロビーはなく、開始と同時に出現場所がランダムで選択され、戦場へと降り立つ仕組み。参加形式はソロ・デュオ・分隊(最大4人チーム)の3種類を搭載。プレイするサーバーはヨーロッパ・東ヨーロッパ・北アメリカ・東アジアからチェック形式で選択可能だ。また一定時間内にプレイヤー数が集まらなかった場合は、BOTが参戦する仕組みになっている。深夜帯などのプレイヤーが集まりにくい時間帯でも、気軽にフル人数の試合が楽しめるというわけだ。


戦場として選ばれるマップは、緑豊かな田園地帯が広がるNormandy(ノルマンディ)、砂漠地帯に遺跡が立ち並ぶMexico(メキシコ)の2種類。双方のマップは、Gaijin Entertainmentのオリジナルエンジンによる自然な光源や高繊細なテクスチャによって、美麗な景色が表現される。プレイヤーは、パンツ一丁の丸腰で降り立った場所を起点として、各地に点在する民家を回り、敵に立ち向かうための物資を整えていく。視点は一人称・三人称視点で切り替え可能。ゲームが進行するとともにゾーン制限がなされ、マップ上の円マークで覆われたゾーン外は「闇のゾーン」となり、体力が少しずつ奪われていく。トラックやジープといった車両も駆使しながら、素早いエリア移動を心がけたい。最終局面では極めて狭いエリアに制限されるため、おのずとプレイヤー同士の銃撃戦が繰り広げられる。銃撃戦に打ち勝ち、最後の一人を目指すのだ。

このように、基本ルールとしてはバトルロイヤルゲームで定着しつつある、オーソドックスなルールが採用されている。しかしながら、独自のマッチング方式や参加人数を絞ることによって、テンポの良い試合展開が実現されている。


本作に登場する武器は、サブマシンガンのベルグマンMP18やMP40、M1A1トンプソン。ショットガンのウィンチェスターM1912、拳銃のトカレフやルガーP08、ライフルのKar98kやM1ガーランド、M4A1。バズーカのパンツァーシュレックといったように、豊富な第二次世界大戦期の銃器が登場する。そのほかにも、手榴弾やスモークグレネード、ナイフやオノといった近接武器も取り揃えられている。『Enlisted』と同じアセットが使用されており、リアル志向のアクションや銃声は非常に心地よいものになっている。本作には練習モードも搭載されているため、銃器ごとの差異を確かめてみるといいだろう。

一方の防具は、うってかわってユニークなものばかりだ。頭には水切りボウル、背中には中華鍋、お尻にはワッフルメーカーと、各部位の防具として調理器具が用意されているのだ。おふさげに映る見た目なのだが、性能面は防御力を底上げしてくれる頼もしいものになっているので安心してほしい。ちなみにアップデートによって、SWATヘルメットやアサルトベストなど、世界観に忠実な軍事用装備も実装されている。防具以外には、持ち物の所持容量をアップさせる買い物袋や大型バッグ、回復アイテムとなる缶詰食品やチキンなどの美味しそうなご馳走が数々存在する。


そして、バトルロイヤルゲームとしてのオリジナリティを高めているのが特殊装備だ。どのアイテムも、リアル志向な世界観からちょっとそれたユニークな外見と性能を兼ね備えている。たとえば、「再生の点滴バッグ」を装備すれば、スタンド付きの点滴袋を背中に背負う。健康状態が心配される見た目になるが、少しずつ体力を回復してくれる有用な効果が備わる。「キューバ産の葉巻」を装備すれば、いかなる状況でもモクモクと煙を立てながら葉巻を嗜むように。アイテムには基本体力が40%アップする効果がある。きわめつけは、「セブンリーグブーツ」と称するうさぎの履物だ。ブーツを装備すると、ジャンプの高さが3倍に。うさぎのようにピョンピョンと跳ねあがり、高所から襲撃することが可能になる。特殊装備で身を固めていくことで、試合を優位に進めていくことができるだろう。

これらのアイテムを大量にゲットするチャンスとなるのが、各地に点在する冷蔵庫とスロットマシンだ。冷蔵庫は物資クレート、いわゆる宝箱のようなもので、触れると消失するまでアイテムが沸いてくる。冷蔵庫にはグレードがあり、高級な冷蔵庫ほど質の良いアイテムが詰め込まれている。一方のスロットマシンは、各地で集めたアステカ金貨を用いて回すことができる。リールに揃った図柄に応じてさまざまなアイテムが排出される。ただし、中には手榴弾が排出される図柄もあり、そのまま近くにいると爆風に巻き込まれて即死してしまうので要注意。


ゲーム開始時、プレイヤーは5名のキャラクターの中から1人を選択する。初期に選択できるのは2名。その他3人はアンロック式になっており、チャレンジを達成していくか、アイテム課金によって解放可能だ。各キャラクターには、特殊能力である「アビリティ」が設定されており、それぞれで異なるプレイングを楽しむことができる。

たとえば、男性の「クライド・“ダース”・ムリカン」は一時的に野獣化し、人知を超えた跳躍力とスピードで敵に迫り、己の筋肉で敵をねじ伏せることが可能な「ビースト」を発動できる。女性の「アニー・“ピンナップ”・アシュリー」は、タイムパラドックスを生み出すことによって、銃撃の威力を増加させ、強力なエイム補正によって敵に大量の銃弾を浴びせることが可能な「バレットタイム」を発動可能。いずれも戦況を一変させる強力な効果を持っている。なおアビリティの発動には、基本的に敵を倒すことで得られるソウル(魂)が必要となる。ここぞという時の切り札として発動させることになるだろう。

そして、もう一つの切り札となるのが「神秘のアイテム」だ。神秘のアイテムは、ゲーム開始前にあらかじめ装備しておいて持ち込む装備品。スプレーと巻物の2種類が存在する。スプレーは3つまで装備することができ、使用する際はソウルを必要とする。スプレーには、設置したトラップを踏んだプレイヤーを空高くまで跳ね飛ばす「ジャンプパッド」や、有効範囲にいるプレイヤーの体力上限を減らす「ウィークネス」など、膨大な種類が用意されている。スプレーは敵に使用するだけでなく、ジャンプパッドを自身で踏んで瞬時に屋上に登るなど、使い方を工夫することで新たな戦略が生み出せるだろう。さまざまなスプレーを試してみてほしい。


一方の巻物は、試合中に1度だけ使用できる使い切りのアイテムだ。その効果は、プレイヤーのスタミナを瞬時に回復させる、有効範囲内のプレイヤーの移動速度を80%下げる、といった比較的おとなしいものから、プレイヤー全員の足が速くなる、天候が日食になりマップ全体が暗くなる、ゾンビを大量に呼び寄せるといった、戦局を揺るがす効果を持つものまで存在する。もちろん、強力な効果を持つものほど入手難度も高いため、計画的な利用を心掛けたい。

先に述べたスプレーや巻物のほか、初期状態の衣装となる帽子・服・マスクなどは、バトルパスとなるステージ制のチャレンジを達成することで入手できる。有料の「レシピ本」を購入することで、入手できるアイテムも増える仕組み。また「キッチン」と称するアイテム作成システムも存在し、バトル報酬やレベルアップで得た通貨「ロイヤルバックス」を使用することで、ツリー状に表示されたアイテムをアンロックできる。ちなみに、衣装となる帽子や服は見た目をカスタマイズするのみだが、マスクにはスロットマシンで利用するアステカ金貨がマップ上で視認できるようになるなど、種類によって異なるバフ効果が付いているのでチェックしておこう。

以上のように、度重なるアップデートによって、ユニークな世界観や衣装、本格的なシューター要素を継承しつつ、アビリティや神秘のアイテムなどの独自システムを搭載することで、バトルロイヤルゲームとしてのオリジナリティが高められた本作。国内版の配信で新規プレイヤーも多く集まるこの機会に、気軽に参戦してみてほしい。