エイリアン地球侵略ACT『デストロイ オール ヒューマンズ!』紹介。原作の破天荒さはそのままに、遊びやすさと美しさ向上


パブリッシャーのTHQ Nordicが、アクションアドベンチャーゲーム『デストロイ オール ヒューマンズ!(Destroy All Humans!)』を本日7月28日に発売する(Steam版は29日1時)。対応プラットフォームはPC(Steam)/PlayStation 4/Xbox Oneで、日本語字幕をサポート。THQ Nordic Japanより先んじてSteam版のコードを提供いただいたので、プレイを介してその内容を紹介したい。

本作は、2005年にPS2/Xbox向けに発売された同名タイトルのリメイク版だ(日本では2007年発売)。THQ Nordic傘下のBlack Forest GamesがUnreal Engine 4を用いてグラフィックをアップグレードし、操作も現代向けに調整。さらに、オリジナル版未収録のミッション「ロストミッション・オブ・エリア42」を再構築するなど、新たなコンテンツも追加している。

『デストロイ オール ヒューマンズ!』の主人公は、生殖機能を失いクローニングによって種を保ち続けるも、DNAの劣化に悩まされているフロンと呼ばれるエイリアンだ。彼らは、遥か昔に地球を調査した際に純粋なフロンDNAを残していたことから、仲間のひとりクリプト-136を回収のために派遣。しかし、アメリカ軍のロケット実験に巻き込まれ捕獲されてしまう。そこで、もうひとりのクローンエイリアンである「クリプト-137」が、人類を支配しDNAサンプルを大量に獲得するため、1950年代の地球に降り立つ。

本作は三人称視点の3Dアクションゲームで、クリプト-137が持つさまざまな装備や能力を駆使しながら、アメリカ各地でのミッションをこなしていく。基本的な装備としては、メイン武器の電撃銃「ザップ・O・マティック」や、一定時間飛行できる「ジェットパック」、人間や動物がいま何を考えているのか読み取ることができる「コーテックススキャン」などがある。またクリプト-137自身の能力として、念力で対象物を浮かせて投げ飛ばすことができる「サイコキネシス」や、人間の頭から脳を抽出し「DNAサンプル」を入手できるものも。ステージによっては円盤(UFO)に乗り込んで、空から強力な「殺人光線」を放つことも可能だ。


ステージには、のどかな農村や市街地、観光地、あるいは政府の秘密施設や軍事施設などさまざまな環境が用意されており、それぞれでの最終的な目標に向けて、進行中に提示されるミッションをこなしていく。ステージにはもちろん人間が多数おり、そんな中にエイリアンが登場すると街はパニックになり、警察や米軍が登場して攻撃してくるだろう。邪魔者がいるならば、クリプト-137の装備や能力をフル活用して破壊の限りを尽くすのだ。そうした破壊ミッションも多い。

一方で、人間に警戒された状態ではこなせないミッションも存在し、明確にステルスプレイを求められることもある。そこで役立つのが、クリプト-137の「ホロボブ」と呼ばれる能力だ。これは、狙った人間の姿になりすますことができる能力で、人の前に出ても怪しまれずに済む。ミッションにおいては、たとえば市長になりすまして民衆の前で演説をしたり、立ち入り禁止エリアに入るために特定の職業の人間に変装したりといった場面がある。

ただし、ホロボブ使用中に装備や能力を使うと、変装が解けるのが早まってしまうため注意が必要だ。またステージによっては、ホロボブを妨害するジャミングを発するエージェントも存在する。そんな厄介者に対しては「ヒュプノブラスト・ディストラクト」が有効だろう。マインドコントロールによって一時的に踊らせることで、ジャミングを無効化できる。また、周囲の人間の気を引いて注意を逸らすことにも繋がる。

演説ミッションでは、選択肢から市民からの問いかけに回答。ウケが悪いと怪しまれてしまう


人間を倒してDNAサンプルを集めたり、あるいはオブジェクトの破壊を求められるミッションは爽快感がある一方で、警官らは寄ってたかって攻撃してくるため油断するとすぐに死んでしまうだろう。サイコキネシスを使って巻き込んだり、ジェットパックを使って建物の上に退避し、シールドの回復を待つなど立ち回りが重要である。

そのほかにも、たとえば時間に追われるミッションも存在する。人類はテレビとやらを利用していることを知ったクリプト-137たち。自らの洗脳放送をおこなうため、各家の屋根に登りアンテナを曲げて母艦の方向に向けていくのだが、制限時間内に完了できなければ失敗だ。ここではあまり余裕がないため、敵の攻撃を上手く避けながら屋根から屋根へと飛んでいくプレイになるだろう。

本作は、このように各地で出会った人間からヒラメキを得て、いかにして人類を支配するかを計画し実行していく。ただ、人類のことをまだよく知らないエイリアンが行き当たりばったりで考えるため、本人たちが大真面目なぶん笑える内容となっている。また、ゲームを進める中では新たな装備・能力がアンロックされ、こちらもユニークなものが多い。代表的なものは「アナルプローブ」だろう。標的のお尻にホースのようなものを伸ばして“括約筋を精査”し、殺害すると同時に脳を抽出できる装備だ。


クリプト-137や円盤の装備・能力には、アップグレード要素が用意されている。たとえば、メイン武器のザップ・O・マティックであれば、標的の近くにいる人間にも電撃が連鎖するようになり、サイコキネシスでは投げたオブジェクトの攻撃力が高まる。本作では体力は自動回復するシールド制であり、その強化も可能だ。また、コーテックススキャンには変装能力ホロボブの持続時間を延ばす効果もあり、その時間もアップグレードの対象となっている。一方の円盤は、殺人光線を含むさまざまな武器やシールドを強化できる。

こうしたアップグレードをおこなうには、人間の脳幹から得られるDNAサンプルが必要だ。DNAサンプルは、ステージクリア時に報酬として入手できるほか、ステージ内にて人間から脳をスポンと取り出してゲット。不謹慎かもしれないが、本作におけるお金のようなものなので躊躇なく頂こう。また、ステージにてサイドミッションをこなすことでも稼ぐことができる。

サイドミッションは、任意の目標としてメインミッションに付随して提示されるものと、一度クリアしたステージを再プレイした際に特定の場所で請け負えるチャレンジがある。前者は、たとえば牛を池に投げ込んだり、指定の場所で人間をスキャンしたり。一方のチャレンジの内容としては、次々に襲ってくる人間を指定数倒したり、UFOに拉致していったりなどが用意されている。ステージには収集要素も存在し、やり込み要素として楽しむ中でDNAサンプルも稼げるというわけだ。


最後に、リメイク版である本作とオリジナル版との違いは冒頭で軽く触れたが、もう少し詳しく紹介しておこう。まずグラフィック面については、上の比較画像をご覧いただいた方が早いだろう(左がオリジナル版。Xbox Oneの後方互換機能を使ったもの)。モデリングやテクスチャの品質からステージの密度まで、あらゆる面で世代をひとつ飛び越えた仕上がりである。細かいところでは、たとえばサイコキネシスでオブジェクトを投げる操作が1ボタンにまとめられ直感的になり、ザップ・O・マティックや脳抽出を同時におこなうことも可能となった。ジェットパックなどでの移動も、スムーズになるよう調整されている。

そのほか、先述したクリア済みステージでプレイできるチャレンジも追加要素のひとつ。装備・能力のアップグレード項目も、オリジナル版では18種類だったのに対し、本作では66種類へと増加している。そして、オリジナル版には未収録のミッション「ロストミッション・オブ・エリア42」の追加である。こちらは、今はもう存在しないオリジナル版開発元Pandemic Studiosのアーカイブから発掘された資料をもとに、本作のために再構築して収録したのだという。

セガから国内発売されたオリジナル版では、豪華声優陣が参加しエイリアンが関西弁を喋ったり、アニメネタなどを仕込んだりと日本向けに脚本をかなりアレンジ。海外とは別の意味でカルト的人気作となった。一方、今回のリメイク版は日本語字幕のみの対応で、翻訳も本作のためにやり直されている。翻訳の品質は上々ではあるが、いわゆる“普通”のローカライズである本作。本来の物語を楽しめるという点では、価値ある作品に仕上がったと言えるのではないだろうか。もし今後オリジナルの翻訳が提供されるならば、これ以上ない作品になるだろう。

デストロイ オール ヒューマンズ!』は、PC(Steam)/PlayStation 4/Xbox One向けに、本日7月28日に国内発売される(Steam版は時差の関係で29日1時配信)。Steamでは体験版が配信されているため、興味のある方はまずこちらを試してみると良いだろう。