教化作戦『ウルトラストリートファイターIV』 安田 VS. 岡野&四方 (前編)
「Convert This」は、弊誌執筆陣のなかで意見が分かれていたり実力差がついていたりするタイトルについて、先行者が後進を"教化"します。最終的に改宗成功するかどうかは、やってみるまでわかりません(最終的に頭部へ電極をつけたりはしないということ)。
第2弾は今をときめく『ウルトラストリートファイターIV』 。布陣は、安田 VS. 岡野&四方。安田はほとんど2D格闘ゲームの経験がない(3D格ゲーならば多少はかじったことあり)一方、残る2名はそこそこの腕前です。
企画の趣旨として一部口語調になること、また取りあつかうタイトルの性質上「極端な初心者を対象としていること」をあらかじめご了承ください。
対戦カード
[安田 伸毅] (ディフェンス)
ウルコンの金的描写に感銘を受け、ポイズンを選択。キャラを胸部で選んだ男がEvoの頂点に立ったと聞き「そういう動機でもいいだろう」と本当に確信してしまった。しかし真空波動拳コマンドどころか、波動コマンドすらまともに入力できていない。『スト4』ではゴウキを使い、斬空波動拳を撒きながら瞬獄殺をブッパするだけのBOTになっていた。なお安田家の家訓の一つは「賭け事はするな」、かけひきらしき行為は苦手。
[岡野 繁浩] (オフェンス)
今回のインストラクター。今月に弊誌へ参画したばかり。しかし持ち前のインスト力(ぢから)をいかんなく発揮し、早くもオフェンスサイドへ。最大PPは4000弱。右も左もわからない入門者へ救済の手を差し伸べる男にして、ゲームならなんでもやる系男子。
[四方 真](リベロ)
『魔女と勇者』シリーズ作者。あるいは"マイケルクエストの人"。安田つながりでゲスト出演。以前から2D格ゲーと安田とのハブ的存在だったが、「ジャンプ大K大足払いや」「とにかく全部ガードしろ」「対空しゃがみ大Pや」としか教えないため悔い改めてもらう意味もこめて強制参加。
状況開始
とりあえず岡野さんと四方でお約束の「ワカらせバトル」してください。
いろんなキャラ使いましょうか。
リュウ以外ホンダとザンギくらいしか使えないんですけどね。[数回対戦]……もしかしたらいい感じに互角なのかもしれませんね。
レベル帯近い気がしますね。PP的に。
エンドレスバトル速いなー。……使えるキャラかあ(ホンダを選択)。一番使えるキャラはリュウなんですか? こちらはヒューゴーもちょっとだけ。
そうですね。最近はそれとポイズン。だから今回の企画はわりとタイムリーだったんですよ。ヒューゴーはロマンの塊みたいなもんですね。こちらはあとコーディーもちょっとだけ使えます。
コーディーかあ……。じゃあポイズンする?
がんばってくれ。
[対戦終了]負けた。
通常技の振りがわかってるかそうでないかの差でしたね。じゃあ次ポイズン使います。
なら四方ダン使ってくれよ。
普通に波動昇竜キャラやないけ。[勝ってしまう] スト2やからなこの動き、完全に。
……リュウに戻りましょうか。
[対戦中]とにかく波動で飛ばせて昇竜で落とすんや。四半世紀これは変わらん。
まあ、だいたいPP的には同じくらいですね。
間合いや。とにかく間合いや。
はじめの一歩はどこにある
まあ、岡野さんと四方が同じくらいの実力だってのはわかった。じゃあ俺がどう学べばええんかって話やね。
そこでですね、どうやって練習するのかというのを本日のアジェンダとして書いてきました。
一気に本格的になってきたぞ!
上から順番に見てください。勝とうと思うと練習しなければなりません。ではなんのために練習するかということですね。目的を明確にしましょう。
(えっ、マジで?)
で、大前提としてゲームを楽しむことが重要です。なにが楽しいのか? 最初は勝てないので、勝つ以外のところを楽しまなければなりません。
うおおお! 今のは目から鱗が大量にはがれましたよ。
格ゲー全般にいえることですが、キャラは成長しません。結局プレイヤースキルに完全に依存します。だから、上達することに楽しみを見出すことになります。いかに上手くなるか。だから「上達している実感がある」と楽しい。
たしかに。
たとえばさっき私がやっていたセビ滅、結構コマンドがややこしいんです。ある程度すばやく入れないといけないから練習も必要です。でも「できるようになった」という実感が楽しみになるはずです。
ふむ……(まあ波動拳すらまともに出せないんだけどね)
その際に「負けていても上達している実感がある」と、つぎも楽しめるのです。初級の段階の目標をすえましょう。PPはキャラを変えても累積します。まず500を超えましょう。最低限野試合で10勝くらいすればいけます。……もう500超えてましたっけ?
いま400ちょっとですね。
じゃあもうちょっと上げて1000にしてもいいかもしれませんね。そこを超える目標にして、ある程度継続的な勝利が必要になると。で、練習が必要になります。そこで技巧的な不可能感を解消していくというラインを練習法として提唱していきたいです。
ふむ。
まず、本当に重要なのですが……「難しいコンボをやらないと強くなれない」、この思い込みを捨てましょう。
これは四方もいつも言うとるよね。ジャンプ大Kからの大足で十分やって。
そのとおりです。
ポイズンやったら中足烈火拳(ウィップ)やな。
そう。中足三段を入れていく。もう少し高度になると、ゲージがあるならばゲージを消費していきます。それもコマンド自体は複雑ではありません。
ポイズンの場合、EXウィップからのJ大K追い打ちでいいいんですよね?
そうです。
ウルコンゲージがある場合はウルコン。
そうです。まずは簡単なコンボを練習するんです。逆に、1フレ2フレの目押しは実戦でやるのはぶっちゃけ相当難しいです。
いわゆる「コアコパ中K」ですね。私はもうあきらめましたよアレ。
さっき四方さんと対戦していたときある程度やっていたので、あれくらいの確率で決めれるようにはなるんですけど、近距離でからんだときとか、「わからんなあ」っていうときに役に立つだけで、勝負のかけひきにはあまりかかわってこないんです。だから、いっそのこと最初の練習では徹底的に排除しましょう。
やらない、と。
もっと上手くなってから、という方向にしたいですね。ではオンライントレモをやってみましょう。
……やっぱSteam便利だなあ。Xbox 360版と比べると圧倒的に起動速いし。じゃ、とりあえずポイズンで。
はい。ポイズン同キャラで練習しましょう。まあ、1時間ではおさまらないとは思うんですが。最初に練習したいのが中足烈火拳です。これは3段まで入れられるわけですが、まずは「中足→ウィップ1弾目」までを入力する。これをひたすらやるのがスタート地点です。
ほう。
なぜ重要かというと、当たらないところでやっても中足が空振るだけなんです。圧倒的に隙が少ない。相手に触っていればウィップが出る。空キャンセルができないからですね。非常に便利です。
じゃあ中足を振るときはつねにウィップコマンドを入れておく?
はい。完全に入れ得です。ポイズンの場合さらに入れ得感があってですね、1発目が当たっているかを見てから次を入れるかどうか決められるんです。やってみてください。
[数回試す]ああー、なるほど!
そうです。ガードのときは1弾目で止めてください。
3弾目が出ないことが多いんですけど……。
入力が早いのかもしれません。ヒットエフェクトが出てからで間に合います。まあ、初弾がヒットしているのがわかったらワーーーッと連打していてもわりと出ます。
それは四方のよく言っているレバガチャだな。
いくで、よう見てろよ[ガガガガガガガガガガガ]
ちょっと速すぎですね。
わしいっつもこんなやで。
ゆっくり入れる感じで間に合いますよ。
[ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ] 逆に難しいぞコレ。
わし人差し指と中指でめっちゃ連射してるからな。
ムチが相手に触れたときに入れきっている、くらいの感覚がいいでしょうね。連打していると逆に反応しないかもしれません。で、基本は中足烈火です。暴発しないように。つぎ、ポイズンでいうと波動拳。波動拳の撃ち分けの練習です。端なら弱。リュウの波動拳並の性能なので、バンバン撃っていいです。中距離なら中。縦に強くなるし、引っ込むのも早くなるので飛び込み攻撃をガードできるかもしれません。見てからだと迎撃できるまであります。大はもう、使わなくていいです。
使わなくていい!
はい。唯一使うところがあるとすると、確定ダウンの上に重ねるくらいです。ウィップからだとバックステップを入れてから出すくらいでちょうどですね。近距離でダウンさせたときの重ね、そう覚えておいてください。
飛び道具としては小と中と。
キャラ問わず、中距離では襲いかかってくる突進技を持つキャラがあったりするので、そういうところでおもむろに置いておくのはアリです。
ポイズンにもラブミーテンダーありますけど、これは? 使い方がよくわからないんですけど。
ぶっちゃけ、ほとんど使わなくていいと思います。あえていうなら、中エオルスを振るような距離で、技の刺し合いでなにかに続けて小で出します。立中Kがオススメですね。つながらないんですけど、相手がうっかり動くと入ります。
小ですか。小中大でなにが違うんですか?
明確に違うのが発生後の隙です。小だと相手が昇竜をこすっていてもガードできる可能性が高いです。中と大は中距離でさりげなく出すくらい。
忘れてもいいと。追撃は絶対入れた方がいい?
はい。
連打でいいんですか?
はい。……あと昇竜(キスバイゴッデス)があるんですが、忘れてもいいかもしれません。横方向にすごく弱いんです。リバサのEXならダメージを奪えるし全身無敵もあるので有効なのですが、ひとまず忘れましょう。で、対空をどうやるか。屈大Pです。
これが当たらないんですが……。
けっこう引きつけないといけません。対空はこれでいいと思います。
これだけ!?
もうひとつ、立大Kです。うっかりした距離で不用意に飛び込んできたやつはこれで狩れます。悪くても相打ちです。相打ちになると一方的に有利です。迎撃したときに先にこっちが動けますからね。相手は着地するしかない。
具体的にどうすればいいですか?
基本的にはエオルスを重ねてください。
飛び道具をガードさせて、前ダッシュして、中足なりなんなりと。
上手い相手だとセービングを重ねてきたりするんですが、それはそれで弱みがありますから。つぎに重要なのはしゃがみ中P。これは後回しにしましょう。
はい。
では、技巧的な不可能感を段階的に解消していきましょう。トレモなり野試合なりである程度までは慣れてくるんですが、精密なコンボはどのみちほとんど不可能です。相当な鍛錬を積んで、せいぜいが成功率8割ってところです。1フレ2フレの目押しを確実に決めるというのは相当なプレッシャーです。
では忘れます(いち、にの、ポカン!)。
重要なこと、それは対戦を継続的にやることなんですが、なによりも「折れない」。心の強さとかではなくて、負けにどう納得をつけていくかです。折れない負けは納得のいく負けです。納得するためには最低限必要なルールを理解していなければなりません。ドンピシャで飛び込んでも昇竜で迎撃された、それはルールどおりです。それに文句を言ってもしかたがない。投げも同様です。そこらへんの情報を吸収していけば、折れない負けにつながります。
なるほど。
つぎに強調したいんですが、野試合でイライラしがちなんですが……
あんまりそれないんですよね。いままで人生でゲーム非ゲーム問わず大量に負けの経験を経てるんで、あんまりゲームでイラつくってのはないです。
それはすばらしい。ともあれイラつきや怒りは基本的に相手のやめてほしい行動に対するものです。しかし、それぞれちゃんと対策をしていればいいのです。基本的には"弱い行動"なんです。だから、相手に「弱い行動とってるけどそれでいいの?」っていうような気分になれたらイラつきはコントロールできています。ここで重要なのは投げです。実践してみましょう。コアコパのあとにかならず投げを入れるので、投げ抜けを入れてみてください。
わかりました。[やってみる、わりとちゃんとできる]
そうです。で、わりと投げばっかりこすってくる相手ってのはいるわけです。昔でいうところの当て投げみたいなものです。そういう相手には投げ抜けして「投げは通らんぞ」と主張するんです。重要なのは、投げ抜けしたあとは五分だということ。投げばっかりこすってる人は投げたあと安心しちゃってることが多いんですよね。だから、そのあと連携や読み合いにもっていければいいのです。
具体的にポイズンではどうすればいいですか?
これです。中段。小足や中足で暴れようとしたときに刺さります。さらに、難しいですが小パンまでつながります。上手い人だとここからウルコンまであります。だから、ポイズンとしては五分から出す技としては中段はアリです。
なるほど。
もうひとつ、ポイズンの中段はすぐに空中判定になるので、投げをこすられても勝ちます。
後編へ続きます(8月28日公開予定)。