ゲーマーのゲーミング掃除

[一部にグロテスクな写真が含まれています。ご注意ください。]

ゲームばかりしていては特殊な脳になると誰かが言っていました。真偽はともかく、たしかに日がな一日ゲームと対峙していると気が滅入ることは確か。たまには掃除をしましょう。おもにゲーム向けの。

コンソール機の掃除は難しくありません。厳密に言えば iFixit のように筐体を分解しなければならないのですが、それは現実的ではありません。ですから、せいぜいコントローラと本体のガワを拭いて、あとはファン周りのホコリを取り去ってあげる程度です。

問題は PC です。掃除すべき場所は山ほどあります。

 

キーボード煉獄

PC ゲーマーが最も汚す場所は間違いなくキーボードです。しばしば便器呼ばわりされるくらい汚染度が高いのですから、まっさきに掃除対象となります。どれくらい汚いかというと、

ほぼ視覚攻撃。
ほぼ視覚攻撃。

かようの有様です。なぜ人は、いえゲーマーは……いいえ私はキーボードの前でポテトチップスを食べ爪を切り歯を磨くのでしょうか。しかし過ぎたことを後悔しても仕方ありません。掃除の時間です。

イカしたメンバーを紹介すると、まず最重要キャラクターが使い終わった歯ブラシ。これがなければ始まりません。そして消毒・洗浄用の無水エタノール。そして写真に写っていませんが外せないのがエアダスター。洗濯ネットはキートップの禊に使います。アルコールタオルとキムワイプは仕上げ用。最後にキートップリムーバー(上掲写真左下)、これでキートップを外していきます。

職人の仕事が始まる。
職人の仕事が始まる。

このような調子で1つ1つキートップを抜き去っていきます。この作業は非常に地味かつ時間がかか [何かが割れる音]

商品自体には問題はなかったと思われます。というのも、この作業を愛機 Realforce 106S へほどこすのは4回目。殉職者は少なくとも3回を完全に耐え抜きました。ゆえに、死因は私のストレングスが上昇しすぎていたか、経年劣化があったかのどちらかです。とにかく、キーボード掃除するときはキートップリムーバーを複数用意しておきましょう。お疲れさまでした。

というわけにはまいりません。私、安田は諦めの悪い男でもあります。初志貫徹、始めてしまったことはどれだけ非効率非生産かつ危険でも無理やり進めてしまう幼い精神性の持ち主です。というわけで、マイナスドライバーさんにお越しいただきました。

言うまでもありませんが、これは完全にキーボードの本来の設計から逸脱した行為です。同様の手順を踏むとキートップを破損するリスクがあります。あくまでも私が Realforce へ全幅の信頼をおいているからこそ走った暴挙です。真似をしないでください。本当にどうしようもないときのプランB です。

このように抜き取るのだ。
このように抜き取るのだ。

キーの隙間にマイナスドライバーを突っ込み、引っこ抜きます。片側には太めのものを挿入し、もう片側は指で対応。周りに空間がないケース(Escキーなど)はマイナスドライバー2本でテコの原理のように抜き去ります。我ながら無茶苦茶です。

ともあれ、なんとか嫌な手応えや音を聞かずにすべてのキートップの除去に成功しました。所要時間は15分ほど。かなり丁寧に作業したつもりですが、死者が出ていてもおかしくありませんでした。次はキートップリムーバーを大人買いしてから挑みます。

そして、幾度となく不当な暴力にさらされてきた彼らを洗濯ネットへ。

なくさないように。
なくさないように。

これを洗濯機にかけます。が、このシーケンスも若干スパルタンです。本来であれば丁寧に手洗いするなり1つ1つ磨いてやるなりするべきなのでしょうが、そこは RF のいいところ。タフな環境にも耐え抜きます。

投入後は洗い・ゆすぎ・脱水と普通の洗濯物と同じように扱います。ただ、さすがにプラスチック製品なので強い熱のかかる乾燥はやめていたほうがいいかもしれません。今まで試したことはありません。そもそも、乾燥をしなくてもキートップはほとんど乾いた状態で回収されます。

 

キーボードの暗部

同時に複数のことができなければゲーマーはつとまりません。キートップが洗い終わるまでの1時間弱の間、掃除できるところは徹底的に掃除しましょう。

まずはキーボード本体から。

どうしてこうなった。
どうしてこうなった。

……。毎年掃除するたびに思うのですが、なぜこんなことになるのでしょうか。頭髪や陰毛、食べ物のカスはともかく、正体不明の茶色い物体が毎回正気度を削ってきます。

愚痴を言っても始まりません。まず歯ブラシをエタノールに浸します。これで筐体を徹底的に磨き上げます。汚物の蓄積した底面はもちろん、せっかくですのでフレームの部分もピカピカにしておきましょう。

エアダスターで吹けばいいのでは? と思った方もいらっしゃるでしょうが、そうはいきません。こびりついているのです。歯ブラシとエタノールというコンビネーションが生み出す湿気と摩擦で汚物を最初に剥ぎ取るのです。しかるのち、エタノールがすぐに乾くのでそこでようやくエアダスターの出番となります。

キーボードを逆さに向けて下方からエアブロウをくわえます。周囲にすさまじい量のゴミが飛散するので注意してください。商品にもよるかもしれませんが、少なくとも私が持っている掃除機では吸い取りきれません。新聞紙の上など、飛び散って上等の環境で作業するのがベストでしょう。私は机をゴミだらけにしました(1年半ぶり3回目)。

仕上げに綿棒を使う手もあるのですが、強くこすりすぎると塗装がはげてしまうので注意。

キーボード以外に着手

おそらくキーボード掃除だけには20分程度しかかかりません。ほかのゲーミングギアにも着手しましょう。

まずはマウスとマウスパッドです。

3分作業。
3分作業。

これは本当に簡単で、どちらもアルコールタオルでこするだけ。マウスパッドは水場で中性洗剤を使って丸洗いしてしまうという手もあるのですが(Airpadを使っていたときはそうしていました)、今使っている Zowie Swift はプラスチックパッドであるうえ、背面のすべり止め加工が若干脆そうだったので避けました。

マウスについてはゴミが溜まりがちなマウスソール周囲は言うまでもありませんが、レーザー/赤外線ユニットはくぼみにホコリが溜まりがちなのでこちらもエアダスターを一吹き。こちらは1年といわず1週間に1度くらいはやっておかなければ、肝心なときにマウスカーソルが動かず台パンするハメになります。

お次はモニタです。

これも簡単。キムワイプにエタノールを染み込ませて軽く拭き取るだけ。なぜか付着している歯磨き粉も簡単に取れます。もちろん電源は切っておきましょう。意外に換気部にホコリが溜まりがちですので、ついでに掃除しておくのがベター。

同じようにヘッドホン/ヘッドセットも軽く消毒しておきましょう。

あとは PC 本体のケースを外し、エアダスターと掃除機で攻撃して終わり。ファン部の入念な手入れを忘れないよう。

これだけやっても洗濯機が止まるまでまだ時間があるという場合、水場の掃除などがお薦めです。幸いなことに役目を終えた歯ブラシがあります、彼にもう一度スポットを当てるのです。……ゲームと関係ない? いいえ、違います。掃除をすることで「徳」の値が上昇し、判断力は向上し、エイムは改善し、チームは結束し、結果見違えるようなスコアに至るのです。善行を積んでいきましょう。

 

仕上げ

生まれ変わったキートップたち。
生まれ変わったキートップたち。

あとはキートップをはめていくだけです。順番がわからなくならないよう、あらかじめ写真撮影しておくなり製品の画像を表示しておくなりするとよいでしょう。間違えやすいのは同じサイズのキーとテンキー。

テンキーは冷静に見れば印字が違うので取り違えようがないのですが、RF106S の場合 Ctrl キーと Alt キーなどの大きさが同一といったトラップがあります。霞がかった頭ではミスしがち。方向キーも厄介なのですが、よく観察すれば矢印の位置やキーの傾斜から一発で判断できます。

完成です。全工程の所要時間は約1時間半。無駄な時間ではありません。けっしてお安くはないゲーマー版文房四宝は、手入れされることで寿命が長くなることでしょう。また、とくにキーボードにかんしていえば非常にキータッチが良くなります。ゲームのスコアへも直結するとまでは断言しませんが、気分が良いことは確かです。

きれいなデバイスでプレイすると気持ちがいい。
きれいなデバイスでプレイすると気持ちがいい。

PC まわりの掃除なんてしたことないや、という向きもあるかと思います。しかし、せっかくですのでたまにはきれいにしてあげてはいかがでしょうか。いきなりキートップを全部外せとは言いません。キーボードを逆さにしてエアダスターをかけてみましょう。きっと戦慄できます。ゲームより現実のほうが恐ろしいという好例です。

Nobuki Yasuda
Nobuki Yasuda
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