全住民操作可能な『ウォッチドッグス レギオン』は、どれくらいバリエーション豊富なのか。養蜂家からマジシャンまで、主要な工作員候補を紹介

『ウォッチドッグス レギオン』は全住民操作可能なオープンワールドゲーム。では、実際どれくらいバリエーション豊富なのか。養蜂家からマジシャンまで、『ウォッチドッグス レギオン』の主要な工作員候補を紹介。

Ubisoftより10月29日に発売された『ウォッチドッグス レギオン』。どんな住民でも仲間にし、操作キャラクターとして操れるという実験的なアプローチが、発表当時から注目されてきた。外見や声が異なるのはもちろんのこと、住民によって違ったスキルを有しており、ゲームプレイに幅をもたらす。では実際のところ、住民のスキルならびに本作のゲームプレイは、どれくらいバリエーション豊富なのだろうか。30時間以上遊び、仲間探しを続けているうちに見えてきたパターンを紹介していく。

住民スキルの基本情報


『ウォッチドッグス レギオン』はBrexit後の近未来ロンドンを舞台としたオープンワールドアクションゲーム。レジスタンス組織のデッドセックは、ゼロデイという謎の存在にはめられ、街各所で起きた爆破事件の犯人に仕立て上げられる。戒厳令による民間軍事企業アルビオンの台頭、犯罪組織クラン・ケリーの悪事、情報機関SIRSの監視。抑圧的なムードが漂うロンドンを人々の手に取り戻すべく、デッドセックの工作員たちが奮闘する。

ロンドンの住民はそれぞれ0〜4個のスキルを有しており、その組み合わせが採用メンバーを選ぶ際の重要指標となる。一般的な住民は、「特定武器の使用」「特定制服の使用」「特定車両の呼び出し」「特定ドローンの召集」「ハッキング能力の強化」「個人パッシブ効果」「チーム貢献系スキル」「特殊アクション」の中からいくつかのスキルを持っている。


プラスの影響を及ぼすパッシブ効果は、被ダメージ減少・テイクダウン/ハッキングによる通貨獲得・拘留/負傷時間短縮・特定組織への追加ダメージなど。逆にマイナスの影響を及ぼすパッシブ効果は、拘留/負傷時間延長のほか、自殺願望(負傷・拘留時に一定確率で死亡)、絶望(突然死し得る)、体が不自由(ダッシュできず障害物に隠れられない)、買い物依存症(勝手にランダムな服を買う)、ギャンブル中毒(お金が増えることもあれば減ることもある)など一癖あるものが多い。なお拘留・負傷とは、工作員がダウンした際に発生するステータス。一定時間経過するまで、同工作員を再使用できなくなる。


さまざまなスキルの組み合わせが存在する中、特定のプレイスタイルに特化したスキルセットを持つ、特殊な職業の住民もいる。いわばデッドセックとして活動するにあたっての上位職。優秀なメンバーを集めたい場合、こうした専門家たちを探すことになる。また、これらの職種は、ゲームプレイ上のアプローチ方法を示すひな形として、本作の遊びの幅を提示してくれる。

なお本作のミッションは、敵対組織が支配する建物(多くはロンドンの名所・著名な建物)を偵察し潜入。目標物を探して脱出するという、各ロケーションへの潜入を土台としたものが多い(カーチェイスは少なめ)。もちろん正面突破しても良く、アプローチ方法は自由だ。

ミッション要員(非殺傷ステルス系)

以下、「ミッション要員」「ワンポイント起用」「チーム貢献要員」のカテゴリに分けて職種を紹介。どんな住民がいるのか未知の状態で遊びたい方は読み進めないよう注意。逆に、あらかじめプレイスタイルの幅がどれほどなのか知っておきたい方にとって、参考になれば幸いだ。

・ハッカー


『ウォッチドッグス』シリーズといえばハッキング能力。ハッキングの効果範囲を増幅したり、一部の扉を開けるのに必要なキー情報を遠くから入手したり、ハッキングに要する時間を短縮したりと、ハッキング能力を強化するスキルを複数会得している。『ウォッチドッグス』ならではのハッキング要素を存分に活かしたいときに重宝する。物語序盤で加入する、本シリーズとしては王道の専門職だ。

・ドローンエキスパート


今作ではドローンの種類が増え、前作以上に活躍の幅を広げた。ドローンエキスパートは、気絶レーザーを放つショックドローンを召集し、自らの手を汚さずに敵地を制圧できる。このショックドローンと、全工作員が使用できるスパイダーボットを併用すれば、ミッションの多くは敵地に足を踏み入れることなく攻略可能。敵対ドローンを味方につけたり、ドローンによるダイブ爆弾を放ったりと、万が一見つかった際の抵抗手段も備えている。ハッカーと並ぶ、『ウォッチドッグス』ならではのステルスプレイを実現する花形職といえる。

・ストリートアーティスト


前作『ウォッチドッグス2』で登場したペイントボールガンは、ユーモラスな非殺傷武器として好評だったようで、今作でも再登場する。ストリートアーティストの多くはペイントボールガンとペイント爆弾を有しており、「銃撃戦を楽しみたいけれど、殺したくはない」という方に有効な選択肢を与える。ペイントボールガンは音を立てない非殺傷武器。ペイント爆弾は、ペイント弾を放って敵を混乱状態にするものだ。敵の検知スピードを遅くする「忍び足」スキルを有していれば、ストリートアーティストの使いやすさはさらに増す。

・建設作業員


とにかく便利な貨物ドローンをいつでも呼び出せる、偵察・アイテム収集要員。貨物ドローンは人が乗れるサイズの巨大ドローンであり、ロンドンの空をゆったり移動できる。偵察・潜入時に重宝するほか、「全工作員共通スキル」のアンロックに必要なテックポイントの回収に便利。テックポイントの多くは建物屋上や高層部にあり、本来であれば、どうやってそこにたどり着くのか、ルートを探す必要がある。だが貨物ドローンに乗ればその工程をスキップできる。建設現場系の立入禁止エリアに入る際に重宝する制服も持っており、ミッション要員としても、アイテム収集要員としても使い勝手が良い。

ミッション要員(殺傷系)

・ステージマジシャン


懐中時計を使った催眠術により、敵同士で争わせる。懐中時計を使うものの、遠隔マインドコントロールといえるほどに射程距離が長い。見つからない位置から次々と催眠にかけ、敵同士で殺し合う様子を眺めているだけで拠点を一掃できてしまう。ただ見ているだけで敵を全滅させられるという、恐ろしい職種である。ほかの強力な専門職と違って、スキルを1〜2個しか持たないのだが、それだけこの催眠術が強スキルだという証拠でもある。使いすぎるとつまらなく感じるほどに強い。見つからないという意味ではステルス系。ただ死亡者を出してしまうため、殺傷系の職種に部類しておく。

・スパイ


スパイはサイレンサー付きの武器、スパイウォッチ(近くにいる敵の武器を詰まらせる)、スパイカーを持った、殺傷ステルスの定番職種。ステルス移動を基本とし、敵に見つかればスパイウォッチで攻撃を封じ、手間取っているうちにサイレンサー付きの銃で仕留める。そして任務を達成したらスパイカーで颯爽と脱出。スパイカーは隠しミサイルとクローキングデバイスを搭載しており、追撃してくる車両を爆破したり、クローキングで透明になって逃げ切ったりと、潜入から脱出までの総合力が高い職種だ。

・プロの殺し屋


プロの殺し屋は、敵に勘づかれても即座に「速攻ガンテイクダウン」を発動して対処可能。ターゲットを確実に仕留めるという仕事柄、装備できる武器もデザートイーグルやフルオート・ライフルといった殺傷力高めのもの。コンバットロールというスキルによって、回避移動しつつ銃を自動リロードできるため、隙を見せずに戦闘を続けられる。テイクダウンを中心とした近接戦、コンバットロールを駆使した銃撃戦の両方を得意とする暗殺・銃撃のプロだ。


・アルビオンの隊長 & クラン・ケリーの刺客

アルビオン兵は住民を逮捕できる


通常の警備員や警察、退役軍人など、近接武器・銃火器持ちの住民は多く、正面突破の戦闘員を探すこと自体は難しくない。敵をひたすら殺害していく、単純明快なプレイスタイルを実現する戦闘員。そんな中、民間軍事企業アルビオンの隊長クラスおよび犯罪組織クラン・ケリーの刺客クラスになると、銃火器・近接武器および該当組織の制服だけでなく、特殊なガジェットも操れるようになる。通常は敵として立ちはだかる兵器を自ら使えるという魅力がある。


アルビオンの隊長は、エリートカミカゼドローンまたはエリート戦闘クロークのスキルを有している(隊長だけでなく一部の請負業者クラスも保有)。前者は目標に突進して爆発するドローンで、後者は短期間姿を消すクローキング能力。全工作員共通スキルとしてARクロークなるものも存在するが、そちらとは違って、発砲しても透明状態を維持できる。


クラン・ケリーの刺客は、エリートスパイダータレット(設置型殺傷タレット)またはエリート追尾スパイダー(自動誘導式爆弾)を展開可能。彼/彼女らと敵対する際には厄介なガジェットであったが、味方となれば頼もしいばかり。ライトマシンガンやグレネードランチャーといった強力な殺傷武器も装備できる。自らの銃で戦っても良いし、スパイダーボットに任せても良い。

ミッション要員(格闘・変則系)

・抗議デモのリーダー


メガホンで近くにいる住民を喚起し、最大4人の同調者を連れて行動できる。基本一人行動となる本作において、複数人で敵地を攻められる数少ない職種だ。とはいえ、素手で戦う住民を連れて武装した敵に立ち向かっても、無駄死にさせるだけなので注意。また抗議デモのリーダーは催涙ガスを投げられる。敵が怯んでいるうちにテイクダウンを取るのだ。ただ、本人はガス耐性を持っているものの、連れていく仲間には催涙ガスが効いてしまう。ディストピア都市ロンドンらしい、反体制を象徴する職種・スキルであるが、使いにくさは拭えない。

・サッカーフーリガン


サッカーフーリガンは喧嘩仲間を呼ぶという、抗議デモのリーダーに近いスキルの持ち主。ただ、やってくる仲間はレンガ職人・自動車整備士・塗装工・配管工といった肉体労働が伴う職種の者たちばかり。近接武器を持ち込んでくれるので、喧嘩する上では頼もしい。ビールの一気飲みで酔っ払い、被ダメージを減らすというフーリガンらしい特殊アクションもあり。とどめを刺さなくてもノックアウトを取れるファストノックアウトといった、近接戦闘用のスキルも有している。

・ベアナックルファイター


己の拳で道を切り拓きたい方に最適。ファストノックアウトや、近接攻撃によるガジェットのクールダウン短縮、ショックウェーブストライク(最後の攻撃を決めた際、付近の敵をよろめかせる)、マウスガード(近接ダメージ減少)など、近接戦闘に特化したスキルセットの持ち主だ。本作の近接戦闘は過去作よりも強化されており、ガード・回避・カウンターが可能。ただ殴るだけではなくなった近接戦闘を存分に楽しむための職種だ。

養蜂家


ロボット蜂の群れを操り、敵を襲わせるユニークなスキル「ビースワーム」の持ち主。蜂に襲われている間、敵は行動できず、ダメージを蓄積。その間に特殊非殺傷武器のオーバーチャージャーを撃ち込めば、蜂の群れが非殺傷爆発を起こす。ビジュアルとスキル、両方の面でトップクラスのユニークさを誇る、一度は触れておきたい職種だ。なお騒がしいのでステルスにはそれほど向いていない。

ワンポイント起用

・ドライバー


ミッションでは使いづらいものの、特定のシチュエーションで輝くスキルの持ち主もいる。その代表格がドライバーだろう。カスタム車両を呼び出せるほか、運転中に追跡ドローンから追われなくなったり、追跡時間を短くしたりといった、車両運転関連のスキルを多く持ち合わせている。また付近の車と追跡ドローンを一斉にハックして混乱を巻き起こす「交通整理」スキルも。カーチェイス時に役立つのだが、カーチェイスが発生するミッションかどうか、事前に把握できる機会は稀。そのためミッション要員として使いどころが読みにくい。潜入とカーチェイスの両方で力を発揮するスパイの方が、使い勝手が良いという印象だ。

・動く銅像/用務員


動く銅像は、銅像ポーズを取るストリートパフォーマー。風景の中に溶け込み、追跡を短時間で振り切れる。さすがに敵に見られている状態でポーズを取っても効果はないが、見失われてから警戒が解かれるまでの時間を短縮できる。用務員も同様に、掃除をすることで追跡から逃れる。ドライバーのように使いどころの読みにくさがネックではある。

・パフォーマー系

トランペットやサックス、ハーモニカ、ビートボックスといった楽器演奏/パフォーマンス、ダンス、物乞いのスキルは、対象エモートを発動することで小銭稼ぎができる(少額なので効率は悪い)。キャラクターの楽器演奏やダンスを鑑賞したいとき、リラックスしたいときに起用してみるのも手だろう。物乞い中の住民の横でパフォーマンスをすると嫌がられることも。動く銅像/用務員は、この部類にも入る。

・腸内ガス/しゃっくり持ち


オナラ/しゃっくりを連発し、敵に気づかれてしまう。ダブルコンボを決めてしまった住民は、歩いているだけでヒックヒック、ブッブーとこまめに音を発する。ミッションでは使いづらいが、街中を歩き、住民の反応を観察するという遊び方も。筆者はオナラとしゃっくりが止まらない消化器医を発見。この世界の住民は屁にやたら厳しく、すれ違う住民たちに罵倒され続けた。止めたくても止められないのに。

・特定の制服持ち

敵対組織のメンバー・建設作業員・警察・医療スタッフ・女王の近衛兵は、特定エリアへの潜入時に気づかれにくくする制服を着用できる。マップから「制服着用アクセス」の項目を確認し、その制服を持った工作員を連れていけば、潜入が容易になる。ただ、敵に近づきすぎると怪しまれるので、過信は禁物だ。

チーム貢献要員


目立った個人スキルを有さないものの、チームにいるだけで貢献してくれる住民もいる。

・医療スタッフ
負傷した仲間を退院させたり、負傷時間を短縮したり。これらのスキルを持つ医療スタッフがチームにいると、負傷者の離脱時間が短くなる。

・警察/政治関係者/弁護士
逮捕された仲間の保釈や、拘留時間の短縮を図れる。医療スタッフと同様、いてくれるだけで助かる。

・金銭系スキル保持者
チームのETO(通貨)入手量が増加する「熟練投資家」や、衣料品を安くする「会員カード」は、本作のファッション要素を楽しみたい方にとっては便利。運を試したい方は「ギャンブル中毒者」を迎え入れても良いだろう。

補足情報


「深層プロファイル」というテクノロジーをアンロックしておくと、採用がはかどる。デッドセックに対し良い印象を抱いていない、「やだね」ステータスの住民の好感度を上げる方法を教えてくれるからだ。また、深層プロファイルがあると、採用ミッションをやるよりも短時間で採用できる場合もある。採用ミッションをこなさずとも、深層プロファイルで閲覧できる「採用の手掛り」タスクをこなせば仲間になってくれるからだ(本稿を執筆している2020年11月2日時点の仕様)。ほとんどの場合、そちらの方が早い。なおデッドセックのメンバー上限は45人。メニュー画面のチームタブより、枠を空けるために誰かを離脱させることも可能だ。

住民の職種自体は無数にある中、本稿では上位職および各プレイスタイルを象徴する職種・スキルを取り上げてきた。さまざまな遊び方を提示しているものの、ドローンエキスパートやストリートマジシャン、建設作業員、スパイ、殺し屋、刺客といった、明らかに使い勝手が良い職種があるのも事実。効率の良さで選んでいると、2〜3人で事足りてしまう。本作のミッションは構造が似ているものが多いため、同じ人員で進めていると作業感が増していく。いろんな選択肢を試してみたいプレイヤーの方が、本作から引き出せるものは多いだろう。なお物語上、誰を選んでも台詞には大差ない。

全住民操作可能という壮大な実験に挑んだ『ウォッチドッグス レギオン』は、PC/PS4/Xbox One向けに販売中。PS5/Xbox Series X|Sにも対応する。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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