無許可で『メタルギアソリッド』スネークの『鉄拳7』登場ジョークを披露したEVOに対し、スネーク役の英語声優など複数関係者が不快感
格闘ゲームの祭典EVO 2019が終了した。各イベントは盛況に終わったものの、大会主催側のジョークにより、やや後味の悪い展開を残している。ことの発端はEVOの『鉄拳7』の決勝の休憩時間だ。同時間中に会場内向けに映像が公開されたが、それは『鉄拳』シリーズを統括する原田勝弘氏と『メタルギアソリッド』のスネークが通信する映像である。
EVOでは、試合の後に新作や新キャラクターについての情報を発表するのが通例となっており、映像を見れば『鉄拳7』に新キャラクターとしてスネークが参戦すると考えるのが自然である。会場は大いに湧いたが、その後EVO運営が同映像は「ちょっとしたジョークだった」とコメント。新キャラを示唆するわけではなく、バンダイナムコに相談せずに流した映像だとも。『メタルギアソリッド』のスネーク参戦を期待したファンから嘆きの声が寄せられた。
単なるファンの嘆きを生む以上に、関係者は事態に苦慮しているようだ。映像に登場した前出の原田勝弘氏は状況を丁寧に解説。映像が流れてからバンナム陣営はすぐEVO側に猛抗議したという。シーズン3の発表の盛り上がりに対し喜びながらも、自らの関与しない事件で事態がややこしくなった点に、複雑な心情をのぞかせている。また氏は、今回の『メタルギアソリッド』のスネーク参戦示唆映像のほかにも、同大会では無監修無許諾映像が色々と存在していたと語っている。
国内向けにも説明しておくと、EVO決勝の休憩時間に会場内向け映像(中継無し)で、MGSのスネークと私が会話する数秒の謎映像が流れました。これを受けてバンナム陣営からはEVO側に猛抗議し、EVO側が勝手に作った映像である事が判明しました。他にも色々と無監修映像アリ(続)https://t.co/p9qol6F00S
— Katsuhiro Harada (@Harada_TEKKEN) August 5, 2019
今回の件については、『メタルギアソリッド』フランチャイズのナンバリング4作目まで複数のスネーク役を演じたDavid Hayter氏も悲しみのコメントを寄せている。どうやらEVOはHayter氏とコナミにも相談していなかったようで、「二度と僕のボイスを他ゲームの宣伝に使うな」と憤っている。こうしたクリエイターの嘆きの声、そして落胆によりユーザーらもEVO側への不快感が強まっており、同件に関係しないツイートについても、『メタルギアソリッド』の無許可映像を流した責任を問うリプライが寄せられている。
https://twitter.com/DavidBHayter/status/1158426744480600066
EVOは世界的に注目度の高い大会ということもあり、そこで流れる映像の注目度も高い。配信で載せていなかったとはいえ、自身の影響力を見誤ってしまったのかもしれない。大勢の人々を巻き込む立場のメーカーや運営、そしてメディアは、その影響力を加味し、最低限のコンプライアンスを守ることが求められるだろう。