モンスター育成&農業ゲーム『Ooblets』PC版がEpic Gamesストア時限独占販売に変更。率直すぎる開発者の説明にファンの困惑広がる

インディースタジオのGlumberlandは8月2日、現在開発中の『Ooblets』のPC版について、Epic Gamesストアにて時限独占販売すると発表した。その理由説明については、賛否両論あるようだ。

インディースタジオのGlumberlandは8月2日、現在開発中の『Ooblets』のPC版について、Epic Gamesストアにて時限独占販売すると発表した。独占期間については「for a pretty long while(かなり長い間)」とだけ案内されている。なお、本作は海外Xbox One版も予定されている。

本作のPC版はもともとSteamでの販売が予定されていたが、これまで何度も見てきたように、Epic Gamesストアに突然変更された形だ。今回の発表の中で開発元Glumberlandは、Epic Gamesとの契約は大きな決断であり、軽い気持ちでおこなった訳ではないと述べる。そしてEpic Gamesからは、『Ooblets』をほかのストアで販売した際に得られるであろう売り上げ分を最低保証として、前払いの資金提供をオファーされたことを明かしている。

これはゲームが売れるかどうかという将来の不確実な要素が取り除かれることを意味し、同スタジオはお金の心配をすることなく開発に集中でき、実家に戻り両親の世話にならずに済むと率直な気持ちを語っている。また、現在はRebecca Cordingley氏とBen Wasser氏のふたりだけのスタジオだが、さらなるサポートを得るなどして開発を強化・加速させていきたいとしている。

Epic Gamesストアにて独占販売するにあたって、Epic Gamesから資金提供の申し出があったことを明かし、そしてそれを受け入れ、どのように活かしていくかを詳しく説明した形だ。小規模なインディースタジオが、お金の心配なく開発に集中できる道を選んだということについては、海外ゲーマーの間では理解を示す声が多く見られる。

一方で開発元Glumberlandは、Epic Gamesストアで独占販売することには反発もあるだろうと語る。その上で、同ストアが批判されているいくつかのポイントについて、Ben Wasser氏が自らの考えを述べている。まずは、Epic Gamesストアがほかのストアと比べて機能的に劣っている点については、ゲームを購入してプレイするにあたっては個人的には不便に思ったことはないという。そして、確かに足りない機能も存在するが、最初から完璧なソフトウェアがリリースされることがないように、Steamも15年ほどかけて改善を繰り返してきたとし、時間がかかるものであるとコメントしている。

次に、独占タイトルを囲い込むのは反消費者主義的であるという批判について。これはEpic Gamesに対するもっともよく聞かれる意見だとしながら、Wasser氏は実際に皆がそのように考えているとは思えないと述べる。たとえばコンソールであれば、独占タイトルをプレイしたいとなるとゲーム機を買い足さないといけないし、HBOやNetflixなどの独占コンテンツであればそれぞれにサブスクリプション料金を支払わなければならない。しかし、Epic Gamesストアの場合はランチャーをダウンロードして無料でアカウントを作るだけであるとしている。

Wasser氏は『Ooblets』をPCでプレイする方法を案内する中で、「ランチャーをダウンロードするなんて、あなたに多くのことを求めているのは分かっています。しかし、あなたには無料のものをダウンロードしてアカウントを作る能力があると信じています」と、皮肉たっぷりに説明しており、Epic Gamesストアの導入はハードルにすらなっていないという考えを持っているようだ。

また、Epic Gamesストアでの独占販売を決めたデベロッパーに対して、「Steamで出さないなら海賊版を入手する」と詰め寄るゲーマーもよく見かける。これについてWasser氏は本当にがっかりしているとし、未熟で有害(toxic)なゲーマーの典型であると述べる。そして、何か腹を立てる対象を探すことに魅力があることは理解するが、気候変動や人権侵害など世の中には怒りの矛先を向ける対象はほかにもあるとした。

このようにゲーマーに対する意見、またEpic Gamesストアを擁護するような意見についても率直に述べている。開発元Glumberlandの両氏はDiscordでも、今回Epic Gamesストアでの独占販売を決めた判断に批判的なゲーマーを突き放すようなコメントを繰り返しており、「お金の話だけしていればよかったのに」と失望を示すゲーマーは少なくなく、海外フォーラムなどでは先述した理解を示すコメントとが入り乱れる混沌とした状況となっている。彼らが手がける『Ooblets』は、その発表時から大きな注目を集めてきたため、今回の発表への反響も大きくなっている印象だ。

『Ooblets』は、『牧場物語 ハーベストムーン』と『ポケットモンスター』『どうぶつの森』を組み合わせたようなOobletと呼ばれる可愛いモンスターの収集・育成や、農作業を楽しめる作品である。早期アクセスでのローンチを予定しているが、発売時期は未定。今回のEpic Gamesからの資金提供により開発を加速させていくものの、まだまだすべきことが山積みであるとしている。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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