『オーバーウォッチ』ロールを決めてからマッチングを開始する仕組みを導入。プロシーンでも採用される2-2-2固定構成がメタゲームを揺るがす

『オーバーウォッチ』にロールキューシステムが導入される。ロールを決めてからマッチングを開始し、2-2-2の固定構成でマッチをプレイするという仕組み。マッチ中、最初に決めたロール以外のヒーローには変更できない。『オーバーウォッチ』のプロシーンでも採用される予定だ。

Blizzard Entertainmentは7月18日、『オーバーウォッチ』のクイック・プレイとライバル・プレイに、ロールを決めてからマッチングを開始する「ロールキュー」システムを導入すると発表した。必ず2ダメージ・2タンク・2サポートのチーム構成でマッチング。マッチ中、最初に決めたロール以外のヒーローには変更できないロール固定制となる。現在PCテストサーバー(PTR)にて公開されており、8月14日~9月2日にかけて本番環境にて「ロールキューベータシーズン」が開催される。

現在のクイック・プレイおよびライバル・プレイでは、他プレイヤーとマッチングしてから各自ヒーローを選択する流れとなっている。ダメージ・タンク・サポートの枠に制限はなく、ブリギッテの登場後に生まれた3タンク3サポートの「GOATS」構成や、タンク4体のクアッドタンク構成などが可能となっている。

特殊なチーム構成を生み出す可能性を秘めている一方、野良マッチングにおいてはロールの押し付け合いや、マッチ中に誰がカウンターピックに切り替えるかのコミュニケーション・エラーの発生につながることもある。ロールキュー導入後は、自分が操作したいロールを確実に選べ、マッチが終わるまでロールが固定される。具体的なピックを巡って摩擦が生じることはあるだろうが、ロール選択のストレスは軽減されると考えられる。

ただし2-2-2のチーム構成から動かせないため、いびつなチーム構成は不可能となる。この点についてディレクターのJeff Kaplan氏は開発アップデートの動画にて、「新機能の導入は、メタゲームの変更を目的としたものではありません。ヒーローのバランス調整によりメタが変わろうとしている最中ではありますが、今回のようなルール変更は特定のメタを意識した対策ではありません。またメタをコントロールすることも、私たちの目標ではありません」と説明している。「2-2-2構成を強制することで創造性を制限してしまうという意見もありましたが、それには同意できません。創造性のある人は、制限の中でこそ力を発揮します」。

プロシーンにおいても、7月下旬に始まるオーバーウォッチ リーグのシーズン4からロール固定制が採用される予定であり、『オーバーウォッチ』のメタゲームは大幅な変更を余儀なくされるだろう。そういう意味では、ロールキュー/ロール固定採用後のプロシーンがどのような展開を見せるのか気になるところである。

上の画像のように、ゲーム内のメニュー画面では、ダメージ・タンク・サポートごとの想定待機時間を確認できる(マッチメイキングレート=MMRおよびスキルレート=SRもロール別となる)。一部のロールにプレイヤーが集中する可能性もありそうだが、需要の高いロールを選んだプレイヤーに報酬を付与することで、ロール選択の均等化が目指される。なお従来どおりの自由なロール比率で遊べるクイックプレイ・クラシックが、アーケードモードに追加されるという。

ヒーローのバランス調整

2-2-2構成に固定されることを踏まえたヒーローのバランス調整も適用される予定だ。現在はテスト用サーバーのPTR上で検証されている(パッチノート)。全体的な変更としては、アルティメットのコストが12%上昇。移動速度低下効果はスタックせず、より遅くなる方の効果が適用されるようになる。ヒーロー個別の変更点がもっとも多いのはブリギッテ。現状ブリギッテは、3サポート構成の時に力を発揮するが、サポートが1〜2体の時はそこまで活躍できていない。そこで耐久力を落とす一方、回復力を上げることでサポート色が強められる。

リペア・パック
・チャージ数3個に変更
・回復量が150から120に減少
・即時回復ではなく、2秒間かけて回復
・同じヒーローが2個以上のリペア・パックを使用した場合、回復効果が2秒延長

ウィップ・ショット
・フレイルを投げる際の速度が60から80に変更
・手元に戻ってくるまでの時間が0.6秒から0.3秒に短縮

バリア・シールド
・バリアの耐久値が500から200に減少

シールド・バッシュ
・スタン時間が0.9秒から0.75秒に短縮

ラリー
・アルティメットのコストが10%増加

インスパイア(パッシブ)
・回復量が100から130に上昇
・自己回復は半減

またシンメトラのテレポーターもテコ入れされる。変更後は破壊されるまで設置したままにできるほか、設置指定距離が最大25メートルから30メートルに延長(入り口が出口から40メートルよりも離れていると破壊される)。そのかわりテレポーターが再利用可能となるまでの時間は1秒から1.5秒になり、破壊後のクールダウンは12秒から15秒にまで伸びる。

そのほかアッシュのリロード時間短縮やハンゾーの嵐ノ弓の微弱体化、オリーサのプロテクティブ・バリアのクールダウン調整(8秒→9秒)、ラインハルトの新パッシブ効果追加(ノックバック効果30%軽減)、トレーサーのパルス・ボム強化(ダメージ300→350)。レッキング・ボールのマインフィールドでばら撒かれる地雷の射出速度上昇(より広範囲にばら撒けるようになる)など変更点は多岐に渡る。

ロールキューはPTRでのテスト後、パッチ1.39にて本番環境に実装。その際にロールキューベータシーズンが開幕する。現時点では8月14日~9月2日にかけてベータシーズンを実施したのち、全面的に正式リリースする予定となっている。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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