極彩色のドット絵が美しいアクション『Atma』Steamにて無料配信。学生チームが手がけた短編作品
インディー開発者チームTeam Atmaは7月10日、アクション・アドベンチャーゲーム『Atma』をSteamとitch.ioにて無料配信した。本作の販売元を務めるRubika Supinfogameは、ゲームや3Dアニメーションなどのデジタルクリエーションの制作指導に特化した、フランスなどに開設された学校のこと。Team Atmaは、ここに通う2年生のチームだという。
『Atma』の舞台となるのは、人間と精霊が存在する世界。霊界の守護者である主人公の「Shaya」は、生けるものと霊的な存在の間のバランスを保つ役目を担っている。彼女にはかつて「Atma」という守護者を務める恋人がいたが、ある出来事により離ればなれになってしまったため、代わって守護者に就いたのだという。
守護者は、世界の平和のバランスに関わる「Urjas」と呼ばれる強力なアーティファクトを生み出すことができる。しかしAtmaは、平和を願うあまり十分な力を備えないままUrjasの生成を試み失敗。彼は霊界と人間界の狭間に囚われ、生きているとも死んでいるとも言えない状態になってしまった。そしてShayaは、守護者としての役目に反してAtmaを蘇らせるために、彼の記憶の断片を求めて歩みを進める。
プレイヤーはShayaとなり、山間の集落のような場所を探索する。集落にはさまざまなNPCがおり、彼らからは次に向かうべき場所、あるいは本作の物語に関する話を聞くことができる。人々の装束や建物の様式などからはアジア文化の影響が感じられ、さまざまな色に染まった木々や草原、川や滝など非常に色彩豊かな環境が、精緻なドット絵にて描かれている。
本作の特徴的なゲームシステムとしては、「Mantra Mode」と呼ばれるものがある。これはいつでも好きな時に発動でき、時間が静止したなか画面にフレームが表示される。フレーム内にはカーソルがあり、光る紋章などが浮かび上がっている場合、それをなぞるように動かすと、その場所に応じた反応を得ることができる仕組みだ。
たとえば、川があり渡れない場所でMantra Modeを発動すると紋章が表示されており、これをなぞると足場となるオブジェクトが集まってきて橋になる。Atmaの記憶の断片を集める際にも、石碑の周囲に浮遊する光を、フレーム内で一筆書きのようにすべてなぞることで成功する。また、AtmaによるUrjasの生成が失敗した結果、精霊が敵となって彷徨っており、これも同じくMantra Modeの中でなぞることで攻撃可能だ。
ゲームを進める中では、Mantra Modeにもうひとつの機能「Wind Mantra」が追加される。こちらも同じようにフレームとカーソルが表示されるが、カーソルはフレームの中心から周囲8方向のいずれかに動かすようになっており、入力した方向に風を吹かせることができる。本作にはパズル要素が要所要所にあり、たとえば風でブロックを動かして床のスイッチを押したり、灯篭の火を別の場所に飛ばしたりといった場合にWind Mantraを利用することになる。
『Atma』は学生作品ということもあり、コンテンツ量はそれほど多くはなく、1時間かからずクリアできる短いゲームである。ただ、描き込まれたドット絵のビジュアルやアートスタイルには目を見張るものがあり、また物語もよく練られた印象だ。無料でプレイできるため、興味のある方は試してみてはいかがだろうか。