『バーンアウト』開発者が手がけるレースゲーム『Dangerous Driving』はBGMなし。代わりに「Spotify」を使う

Three Fields Entertainmentは4月9日、『Dangerous Driving』を発売した。『Dangerous Driving』にはサウンドトラックが用意されておらず、レース中はBGMなし。その代わりに、「Spotify」のアプリを利用してもらう形を採用している。

イギリスのインディースタジオThree Fields Entertainmentは4月9日、レースゲーム『Dangerous Driving』をPC/PlayStation 4/Xbox One向けに発売した。国内ではXbox One版が3500円で販売中。PC版もEpic Gamesストアにて発売予定で、こちらの価格は3380円となっている。

同スタジオは、『Burnout(バーンアウト)』シリーズの開発元Criterion Gamesの元スタッフが設立したスタジオで、『Dangerous Driving』は同シリーズの再現とも言えるゲームプレイとなっている。一方、同シリーズでは有名楽曲を多く収録したサウンドトラックも特徴だったが、本作においてはユニークな手法を取っているとしてResetEraなど海外コミュニティにて話題となっている。

https://www.youtube.com/watch?v=3icPCpqd9_Y

*メニュー画面のみ、このトレイラーと同じ楽曲が用意されている

『Dangerous Driving』にはサウンドトラックが用意されておらず、レース中はBGMなし。その代わりに、プレイヤーにデジタル音楽配信サービス「Spotify」のアプリを利用してもらう形を採用している。Spotifyは、国内外の有名アーティストを含めさまざまなジャンルをカバーし、4000万以上の楽曲をストリーミングで聴くことができる。SpotifyアプリはPCはもちろん、PS4やXbox One向けにも配信されており、ゲームをプレイしながら音楽を流すことも可能だ。

本作のオーディオ設定ではSpotifyのアクティベーションコードを発行でき、これをSpotifyのWebサイトにログインして入力すると、ゲーム内でコントローラーを使った選曲操作が可能になる(プレミアムアカウントが必要)。現時点では、選択した楽曲やプレイリストがずっと流れているだけだが、将来的にはゲーム内の操作などに合わせて再生が始まるなどフル機能の実装をおこないたいとしている。

開発元Three Fields Entertainmentは、ドライブ中に聴く楽曲というものは非常に個人的なものであるため、ひとつのサウンドトラックですべてのプレイヤーを満足させることはできないと述べる。また、もし仮にそれが可能だったとしても、インディースタジオにとっては予算オーバーになってしまうだろうとしており、本作のBGMにSpotifyを利用したのは開発費を節約したい思いもあったようだ。あるいは、皆を満足させるサウンドトラックには膨大な楽曲数が必要という意味かもしれない。しかしSpotifyならプレイヤーそれぞれが好みの音楽で本作をプレイすることができ、同スタジオはこの10年の間ずっとやりたかったことが実現できたとしている。

Spotifyでは、任意の楽曲を集めてプレイリストを作成できる。Three Fields Entertainmentは、本作のためのプレイリストや、『バーンアウト3 テイクダウン』『バーンアウト リベンジ』のサウンドトラックを再現したプレイリストを公開しており、『Dangerous Driving』のプレイリストではデフ・レパードの「Rock Of Ages」や、ブライアン・アダムスの「Run To You」など92曲を収録。本作にて選曲に困ったら、このプレイリストをかけるのがベストだろう。

低予算のインディーゲームであっても、サウンドトラックを用意することを放棄するというのはあまり見られず、『Dangerous Driving』での対応は大胆である。これは、楽曲がゲームプレイにもたらす影響が比較的低いレースゲームだからできたこととも言えそうだ。また他者の楽曲を使用する場合には、契約更新時期に販売終了となる例も多いが、そうした心配もなくなる。

一方で海外フォーラムでは、Spotifyを利用するという判断は安易すぎるという声も聞かれる。予算がないのであればロイヤリティフリーの楽曲を使用したり、利用料の安いインディーアーティストに声をかければ良かったのではといった意見や、PC版をEpic Gamesストア独占にしたことでEpic Gamesから得たお金はどうしたのかという厳しい指摘もある。また、Spotifyのプレミアム会員でないと十分に活用できないことが不満点として挙げられている。ただ、Three Fields Entertainmentのコメントからはサウンドトラックへのこだわりが見て取れ、小規模スタジオにとってできる範囲内で最高のものを求めるとSpotifyしかないということだったのかもしれない。

なお、本作には数多くのゲームモードが収録されているが、現時点ではオフラインのシングルプレイのみとなっている。オンラインでのレースモードは、発売後の無料アップデートにて追加する予定とのことだ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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